■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(60)
- カテゴリ:その他
- 2009/10/16 10:24:16
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|八 (7)
併しイブセンが作中の標象神秘の味は必ずしも晩年に限らず『ロスマースホルム』の如き自然主義の作にすら神秘の味はある。『幽靈』なども同様である。是れは必ずしも自然主義に對する反動ではあるまい。要は、自然主義といへば直に之れを以てあらゆる趣味を除外するものと考へるの弊にだに陷らねばよい。自然主義の眞の運命は、歐洲に於いてすら寧ろ今後に決せらるべきものでは無いか。
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*註1:併しイブセンが作中の
原本ではこの文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
「併」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shikashi.jpg
*註2:神秘の味
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。
*註3:要は、自然主義といへば
「要」の俗字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/you.jpg
*註4:弊にだに陷らねばよい
「弊」の旧字体。「敝」+「廾」。
*註5:眞の運命は
「運」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
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