今をとり戻すために
- カテゴリ:小説/詩
- 2021/03/12 02:02:13
今、時は止まっているのだろうか
それとも今、時は動いているのだろうか
わかっているのは
涙が止まることなく流れ続けていることだ
あの時の今は
いったいどこに行ってしまったのだろうか
空は青く澄んでいる
白く雲は流れていく
森は緑に萌え
川は清く静かに流れていく
10年もの間、私は息を止めて
新しい記憶を持たないままそこに立ちすくす
静寂の中に私の鼓動が響き渡る
私は生きている
やはり時は動いている
重く静かに流れている
うめき声をあげながら叫びながら
今この瞬間も流れている
時に涙を預けよう
さらに明日を生きるためにも
私の今を取り戻すためにも
この瞬間を取り戻すためにも
3月11日の震災・・・
なんとなく浮かびました
生きている事への感謝の気持ちが浮かんできました
我が家のお米はずっと福島産です
確かに10年前の震災時のときよりは
復興も進んでいるようにも見えます
でもおそらくは復興をしたところだけ
マスコミが放映しているからでしょう
被害があまりに大きすぎたのかもしれません
10年では戻らないのでしょうね
世代もそのうち変わってしまい
元にはきっと戻らないままに新しい世界が東北に出来るのでしょう
原発事故では家も田畑も被害がないにもかかわらず
避難したまま戻れないなんて悲惨すぎます
ただの傍観者となっている自分
これで良いのかなっていつも思い続けています
何かをしたくても出来ないのではなく
何もしていないだけの自分を・・・
何を持って首相が「復興は最終段階」と言ったのか
正直理解が出来ません。
地元の人たちは元の住処に戻ることも叶わず
放射能は未だ土壌を汚染し続けているし、
廃炉するにはあと20年以上かかるといわれている。
課題は山積しているのに、「復興五輪」と言う言葉を消しただけで
ここでも「打つ手なし」と言うつもりなのでしょうか。
東北産の商品を買って、少しでも協力出来ないかと
微力で応援してみてます。
記憶は止まったまま
時だけが流れていく
遅れている復興
その中で必死に生きている人たち
そして何もしてあげずに
ただ傍観している自分
暖かい春に
何かを託そうかな・・・
時間だけは確実に
あの日を記した傷痕
戻った生活と
戻らない現実
ただ時間だけは確実に
希望を抱く者に
幸あれと