Nicotto Town



Thin is "Blood Musi...


パームトップファイナンスという単語の存在を知りました。
スマホひとつで買物やオンライン決済はもちろん、借入や投資もラクラク。
まず面白く思ったのが金融における信用評価のやり方です。

同意を得た上で本人のアカウントによる動向を調べ分析します。
メールの送受信件数や相手の性別と世代、頻度、回数、レスポンスの速度、
ツイッターやインスタ、ブログ、ネットショップ等の来訪者とのやりとり等、全て。

メールのレスポンスが早い、異なる世代とやりとりも多い等々が高評価に繋がる。
それだけデジタルネイティブな社交的で「信用できる人物」であるという判断。
そうした人物の貸倒率が低いことはビッグデータで証明できるそうですよ。

うーむと唸りました。前から考えてたことが現実になってるわけなので。
ネット上の「創作/演出された自分」が社会的に「リアル」な「自分」なのです。
デジタルネイティブというのは、ここに全く抵抗を覚えない世代なのだなぁ。

次に簡単な株式投資アプリの隆盛について。凄い状況なのを再認識。
この国も海の向こうも株価絶好調です。実態無き経済成長と笑ってはいけない。
「リアル」なのは「株価」のほうです。世間の不況が間違ってるんですよ。

ポイント等でたまる電子マネーを使うミニ株が巣ごもり需要でガンと伸びた。
アメリカのロビンフッドというアプリ利用者は膨大な数になっていて、
ある企業の倒産は彼らの動向によるものだという分析もあるそうです。

ココも面白い。ゲームとして株価を操る膨大なシロウトの群れに、
経済が左右される時代がきてるんですね。旧来の勢力が大弱りしてる。
某大手証券幹部の、アプリ開発IT屋との打ち合わせにも笑いました。

「今までの価値観を全て捨ててください」と言われ証券屋幹部が呆然。
そりゃそうです。株のキャラ化、ログインボーナスにガチャに……
まったくもってスマホゲームですもの。それを楽しむ連中が経済も動かす。

シロウトの群れは「投機的動きの大きい」株に関心を示すという。
これも納得。レア何十枚集めてもダメ、とにかくSSRを引かなきゃね。
こうした「群れ」のマクロ的な動静を操作するノウハウも持ってるんでしょう。

さて本題。脳内に何か引っかかってたわけです。非常にSF的だなぁと。
しばし考え浮かんだ単語が2つ、ヴァージル=ウラムとヌーサイト。
そう、グレッグベアの『ブラッド・ミュージック』終盤を思い出したのです。

発表直後は80年代版『幼年期の終わり』と評価する方も多かったが、
あれ全く異なるものですよね。私はディストピア系の古典的名作、
『トリフィド時代』や『人類補完機構』シリーズとなんか似てると感じました。

のちに90年代版エヴァンゲリオンで見事に表現されたあの群体、
これと現在のパームトップファイナンスは正しく同一のものだと気づいた。
但し、より凄いのは、この群体を飼いならすことがおそらく『可能』だという点。

ゲーム理論、フラクタル/カオス/カタストロフィ程度の知識しかない私ですが、
本来予測不可能な群体の動向をメガデータから分析し予測することも、
管理することも可能だろうと予想します。立派なエビデンスがあるわけだから。

『幼年期の終わり』末尾でカレルレンは畏敬と憧憬の念を込め地球を眺めた。
『ブラッドミュージック』末尾では、外宇宙へと向かうヌーサイトの群れを、
生き残った科学者が追おうとした記憶がある(おぼろげ)。

国債経済を左右するヌーサイトとしての群体に入るか、敬遠するか。
デジタルネイティブなら躊躇うわけもない。みながやってる、オレもやる。
さてどうします? 家訓で株には手を出すなと厳命されてる私は……どうしよう?




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