Nicotto Town



「海と波乗り達と彼女」のつづき


「カーコの仕事」

カーコが CIA で配属されたのは、
テロ対策部門で
敵のインテリジェンスに対する活動の分析官の仕事をしている。
主に国際的テロ組織「I」の 情報を集めている。
「I」は、イラクとシリアに 本拠地を置く、ただのテロ集団ではない。
残虐性、資金力及び組織力、現存の主権
国家体制を揺るがす新しいアクターの登場である。
イラクで奪取した油田の原油を密輸することで
一日に少なくとも200万米ドル(約 2 億800万円)を稼いでいる。
資金獲得の特徴は「現地調達」によってそのほとんどを賄う。
米国は、テロ組織は「全人類共通の敵」であるという標語を
政治的プロパガンダに利用している。
軍事行動はその目的別に二つに分けられる。
一つは更なる犯行の防止や報復を目的とする限定的攻撃、
そして二つ目はテロ支援国家やテロ組織の拠点がある
国家の政権交代および占領を意図した政権転覆である。
「I」の雇用・人材育成面は、他文化への関心と自国への不満はいわゆる
「ホームグロウンテロリズム」と呼ばれる新たなテロを生み出す一つの要因となっている。
テロ組織にとっても外国人を育成し彼らが自国に戻った時に
国内でテロ活動を行ってくれれば
一番効果的に成果を挙げることが可能となる。
テロ対策における軍事行動の「効果」を測る基準として、
①軍事行動の準備、もしくは空爆(及び地上戦)実施。
②テロ組織のリーダー、サブリーダー格の殺害もしくは拘束、
または構成員の大量殺害もしくは拘束。
③被支配地の奪還もしくは政権移行の達成。
④新政権の長期に亘る存続もしくは当該テロ組織の壊滅の4つである。
「これまでのテロ組織とは異なる」と評された時、
その根拠となっていたのは資金力や人材面、
もしくは国家樹立をしたという事実、また彼らの残虐性である。
テロを防ぐには、①「I」本体を倒すこと②シリアの内戦を止めること
シリアでは、大きく分けて「イスラム国」「アサド政権」「そのほか」の3つが内戦をしています。
米国がある意味で「譲歩」し、「アサド政権」勢力と「そのほか」勢力が組んで
「イスラム国」攻撃にあたれば、情勢は大きく変わる。
カーコは、アメリカ国内にいる「ホームグロウンテロリズム」
の活動の情報収集を主していた。
アメリカ国内でテロの犠牲者を出さないという強い使命感を持っていた。
両親と高校の同級生の犠牲が、彼女がこの仕事に駆り立てた。
今までやっていたハッキング技術プラス
CIA の情報網を活用して、どんどん成果を上げていった。
このチームになくてはならない存在になっていた。
自宅に帰っても「ドロシー」を使って 情報収集をしていた。
カーコは、意図的に僕に連絡を取らないようにしていた。
それは、組織の機密の漏洩に繋がるからだ。
僕は、何かあるたびに手紙を書いて送った。
何通に一通は返事が返ってきた。
短い手紙だったが、僕の体調を気遣った内容が多かった。

                            つづく




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