Nicotto Town



「海と波乗り達と彼女」のつづき


第19話「カーコの失踪」

僕は、アメリカンフットボールをやって本当に良かったと思った。 
サーフィンという個人競技ではなく団体競技は、初めてだったが、 
多くの人に支えられみんなが一つの目標に向かって努力する。 
スタンフォード大学のバックバック体制。 
サンフランシスコの街全体が、勝利に沸いた。 

試合後応援に来てくれた、ハワイのホームステイ先のデビットと奥さんのモアナと娘で同級生のアメリアと、
ノースショアのボブに挨拶をして別れた。 
その晩チームの祝賀会を抜けて僕は、猛と仁とカーコと一緒に二人が泊まっているホテルの近くのレストランで 
食事をしながら 久しぶりの再会を楽しんだ。 
猛は地元の大学に進学してプロサーファーとして活躍している。 
仁は東大 医学部に合格して、医者ではなく研究者を目指して勉強している。 
次の日、四人でサンフランシスコを観光した。 
二日目の夕方 ロサンゼルス空港へから飛行機に乗って日本に帰るので、 
ロサンゼルスに行って夕方まで観光した。 

僕とカーコはロサンゼルス空港で二人に、次は日本で会うことを約束して見送った。 
僕の家族は、ロサンゼルス で滞在していたので合流して一緒に食事をした。 
次の日の晩の便で日本に帰るので 昼過ぎまで一緒にロサンゼルスを観光した。 
カーコと僕の姉妹はとっても仲良しだった。 
見てると本当の姉妹みたいに見えた。 
僕とカーコは、ロサンゼルスでもう一泊して次の日サンフランシスコへ帰った。 

寮に帰ると 冬休みなのでほとんど人がいなかった。 
スタンフォード大学に入学してから今まで アメリカンフットボールとチアリーダーの活動 以外では、 
二人で人工知能の 開発に取り組んでいた。 
何とか1回生の間に完成させたいと オフの間二人で講義以外は寮に篭ってプログラミングをした。 
2回生に上がる前にそれは完成した。 

二人で決めた人工知能の名前は「ドロシー」だった。 
ドロシーは自分でプログラミングしてどんどんバージョンアップしていった。 

春休みに アメリカンフットボール部で、2週間の合宿があった。 
合宿から帰ってくると寮のカーコ荷物がなく 姿も見えなかった。 
僕の机の上には「ごめんなさい」と書いた紙が置かれていた。 
僕が、いない間にカーコは、いなくなっていた。 
スマホに連絡しても 電話には出てくれなかった。 
LINE や Skype で連絡をとってもダメだった。 
同じ講義を受けてるので大学で 会うだろうと思ったけど彼女は講義を休んでいた。 
夏休みに入るまで僕は、カーコからの連絡を待ったが、連絡が取れなかった。 
特に喧嘩をしたわけでもなく いなくなった理由がわからなかった。 

夏休みに入ると
Netflixの
World Leaf & Surfers(世界のリーフと波乗り達)
撮影が開始された。
前回出演した、僕と カリフォルニアのジェニファーと
ハワイのサーファーの リッキー と
ジェニファー友達のプロサーファーのエマ 
今回のビーチは ロサンゼルスとハワイこの2箇所だった。 
カーコがいなくなった話をしたら
ジェニファーは、「今私は、フリーだから海の彼女になってあげる」と言った。 
僕たちは、この撮影の間に親密な関係になった。 
ジェニファーは、素晴らしい女性だった。 
この撮影で波乗りは、もうやめると彼女は言っていた。 
撮影が終わると アメリカンフットボールの合宿に行ったり試合にしたり 忙しい日が続いた。 
二つ年上のジェニファーも卒業論文の準備で忙しかった。
お互い時間がある時は、ジェニファーと二人で過ごした。 

ジェニファーといるのはとても楽しかったが、 
僕はどうしてもカーコのことが気になって仕方なかった。 
未練というよりも何がどうしてこうなったのか? 
それが知りたかった。 
彼女が黙って姿を消す理由が僕には、分からなかった。
2学期に入っても大学の講義にカーコの姿は見えなかった。 
僕は、ローズボウル2連覇に向けて アメリカンフットボールの練習に集中した。 
ローズボウルの出場が決まった数日後、
ジェニファーは、父親の映画に出演している若手の俳優と付き合うと 
言って僕の元から去っていった。 
カーコのいない寂しさを 十分埋めてくれたが 、
今は、ジェニファーを失った寂しさで胸がいっぱいだった。 
僕は、猛と仁に、ローズボウルに今年も 来ないか誘ってみた。 
ふたりは快く了承してくれた。
Netflix のギャラで 前回と同様ローズボウル観戦ツアーの費用は、僕が持つととにした。 
僕は、2人にカーコとのことは言わなかった。 
しばらくして仁から連絡があった。 
仁は、カーコが大丈夫か心配していた。 
高校時代に仁と、カーコは、ハッカーとして 二人で国際的テロリスト「I」の情報 集めていた。 
「カーコから何か聞いてる?」 
僕は Skype で仁に聞いた。 
何度かカーコからハッキングの方法について仁に連絡があったそうだ。 
確かカーコがいなくなる前にニューヨークで 小規模なテロがあった。 
国際的テロリスト「I」が、犯行声明を出していた。 

僕が、ニューヨークにカーコに会いに行った時にもうハッカーは、辞めると言っていたのになぜ? 
僕は、そのテロの記事をインターネットで探して読んだ。 
死者は、4名で一人は僕達と同い年の 女子大生だった。 
ひょっとして彼女の高校時代の同級生だったのか。 
ハッカーをしていることがばれると僕に、迷惑をかけると思って彼女は、黙って僕から離れていった。 
そう推測すると パズルがはまったように答えが出た。 
カーコを探さなくてはいけない。 
彼女は、人工知能の「ドロシー」を使って以前より詳しく情報を 収集していると思われる。 
僕は、人工知能のドロシーを使って カーコを探した。 
彼女はニューヨークにいた。 
ローズボウルの前の練習を僕は、サボって ニューヨークへ飛んだ。 
カーコは、女友達のキャッシー部屋で ルームメイトとして暮らしていた。 
カーコは僕を見て 泣いた。 
僕はカーコを泣き止むまで優しく抱きしめた。 
僕の予想していた通り 高校時代の同級生がテロに巻き込まれていた。 
カーコが集めた情報のおかげで 政府の機関は、今回のテロリストを逮捕したらしい。 
カーコは、僕と一緒にサンフランシスコに帰ると約束してくれた。 
キャッシーに、感謝を述べて サンフランシスコへ送る荷物の一緒に箱詰めを手伝った 。 
カーコは、僕の話を キャッシーにしてなかったらしい。 
ローズボウルのこともあって僕は、そこそこ有名だったみたいで 
キャッシーは、僕を見てびっくりしていた。 
その晩、キャッシー がカーコの高校時代の友達を呼んで送別会をしてくれた。 
急な誘いだったが20名ほど集まった。 
キャッシーは、カーコがハッキングしていたことは知らなかった。 
次の朝僕たちは、サンフランシスコ行きの飛行機に乗った。 
ローズボール1週間前にカーコを連れて帰ることができた。 

                       つづく




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