Nicotto Town



「海と波乗り達と彼女」のつづき


第18話「ローズボール」

スタンフォード大学カーディナルの練習は週に20時間のみ。
試合もおよそ「3時間」として数えられるため、実質17時間しかない。
シーズンがオフの間は、原則全体での練習は禁止だ。
NCAA(全米体育協会)が厳しくチェックしている。

勉強がおろそかになるのを防ぎ、学生選手の健康の管理にもつながっているという。
レギュラーシーズンゲームは、1シーズンあたり各チーム最大12試合までとされている。
シーズン終了後は、異なるカンファレンスのチームと対戦する交流戦「ボウル・ゲーム」が開催される。
現在6つのボウル・チャンピオンシップ・シリーズ が地区ごとで行われる。
1月1日(元日)に、大学のフットボールの対戦として行われる。
元日が日曜日にあたる時などには、翌日以降に実施される場合がある。
ローズボウルがその年のカレッジフットボール全米No.1決定戦に設定されることもあった。
僕は、右のワイドレシーバーとして 1回生から試合に出してもらっていた。
足の速さと波乗りで鍛えたバランスの良さで 多くのパスを受けて チームの勝利に貢献した。
カーコは、毎試合 チアリーダーとして試合を応援してくれた。

今シーズン 苦労しながらも 元旦の ローズボウルまで漕ぎ着けた
スタンフォード大学カーディナル。
試合を見に猛・仁が来てくれた。
ハワイのホームステイ先のデビットと奥さんのモアナ娘で同級生のアメリアと、
ノースショアのボブも駆け付けてくれた。
僕の両親と姉と妹も招待した。
カリフォルニアの 2歳年上のジェニファーも スタンフォード大学だったので応援に駆けつけてくれた。

ローズ・パレードは、 ローズボウル当日の1月1日に、華やかな装飾が施された巨大なフロートや騎馬隊、
マーチングバンドなどが約9・5キロのコースを2時間半かけてパレードする正月の風物詩として知られ、
沿道には80万人の観衆が詰めかけ、テレビで全米中継もされている。
今年は、フロート車42台、バンド23団体、乗馬者21組が出演した。
日本から京都橘高等学校グリーンバンドも参加した。

「あの子達は本当に高校生なの? 規律が尋常じゃない。私の国では絶対に不可能ですw」
と高い評価をもらっていた。
ローズボウル(Rose Bowl)は、
アメリカ合衆国カリフォルニア州パサデナにある多目的球技場 で行われた。
収容人員は92,542人。
対戦相手はウィスコンシン大学バジャーズ州立の大学。
白のジャージに白いパンツ。白のヘルメットに赤いWの文字。
スタンフォード大学カーディナル
真っ赤なジャージに白のパンツ。 白のヘルメットに赤いSの文字。
試合開始20分前、両チームのウォームアップが終わると、いよいよ試合前のセレモニーが始まります。
入場ゲートからマーチングバンドが出てきました。この大人数は!
フィールドを行進、というよりも踊りながら、数曲を演奏。
9万人ほどに増えた観客の手拍子と喝采をもらっていた。
最後に観客が起立・脱帽し、国家斉唱。

第1クォーターは、両チ-ムのディフェンスが頑張って0-0で終わった。
第2クォーターは、両チ-ム一歩も譲らず1タッチダウン1フィールドゴールで7-7で終わった。
第3クォーターが終了した時点で7-14とリードされたまま第4クォーターを迎えた。
第4クォーターラスト5分で 1タッチダウンを加え キッカーがフィールドボードを外してしまった。
スコアは13-14。 泣きじゃくるキッカーにみんな肩をたたき 「逆転するから心配するな」と声をかけた。
チームが一つになった。
このままボールをキープされると 試合に負けてしまうので、スクイブキックを選択した。
バウンドするボールをつかむときには多少の時間がかかってしまうため、
つかんだ瞬間、まだリターナーが加速する前にキッキングチームがタックルしやすくなる。
ディフェンスが、ボウルを持った相手選手に激しくタックルしてボールがこぼれた。
そのボールを味方がセービングして残り3分15秒で自陣40ヤードで攻撃権を得た。
作戦が大成功した。


ヘッドコーチの指示で 左のワイドレシーバーへのショートパスを2回した。
時間を止めるために サイドラインギリギリでパスを受けてそのままサイドラインを出た。
残り時間は、30秒
最後のチャンスを 右のワイドレシーバーの僕へのロングパスをヘッドコーチが選択した。
クォーターバックが投げたボールをキャッチしてそのまま タッチダウンして逆転するか 失敗して負けるか。
何度も何度もクォーターバックと僕は、練習した通りのことが、この土壇場でできるかどうか。
クォーターバックの合図とともに僕は全力で走った。
さすがに力の入った クォーターバックの投げたボールは、 いつもより遠くまで 距離が伸びていた。
諦めるわけにはいかない。
僕は ウサイン・ボルトの走法に切り替え ギアを入れ直した。
完全にディフェンスは振り切った。
ボールは、エンドゾーンの5M 手前の予定だったがエンドゾーンギリギリに落ちようとしていた。
立ったまま受けるには届かないと判断した僕は、頭からボールに向かって突っ込んだ。
スタンドの観客は固唾を呑んで見守っている。
レフリーのホイッスルが鳴った。
大歓声の中赤いフラックを、スタンドの応援団か振っていた。
僕はボールを掴んでいた。
コーチスタッフ選手みんなが僕のもとに集まってきた。
スタンフォード大学 の OB 、関係者、学生みんなが、ハッピーな今年の始まりになった。

                                      つづく

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2020/12/31 10:13

doさん
おはよう^^
コメントありがとうござい!
"The Granddaddy of Them All"で行われるそうです。
パレードなし無観客で開催されるみたいです。
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2020/12/31 02:48
一つしか読み進められなくて今日はここまで♪
僕はアメフトでも大活躍ですね。
最後の逆転劇がめちゃめちゃワクワクしました。
2021年のローズボウルの試合は開催されるんでしょうか。




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