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「君の瞳の奥に・・・」


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「君の瞳の奥に・・・」

「土砂降りの雨の日に僕たちは出会った」


初めて会った日から僕の心の全てを奪った。 
君の寂しそうな瞳 助けを求めてるような瞳 
僕は、君の瞳から目が離せなかった。 
君は、僕の瞳に何かを訴えていた。 
僕は、そんな気がしたんだ。 
それが分かったのが、付き合って1年後のことだった。 
 
体は一つになれたけど 心が重ならない。 
君の瞳の奥を 覗き込んでもそこには僕が映っていない気がする。 
不安を消すために体を重ねる。 
君の瞳の奥に写っている誰かの代わりに 
僕と体を重ねているような気がする。 
君は、決し僕に愛しているとは言わない。 
君は、僕を激しく求め、僕も君を激しく求めた。 

僕が、彼女に初めて出会ったのは、クリスマス・イブの晩だった。 
その日は、午後から土砂降りの雨だった。 
彼女は傘もささずに歩いていた。 
見かねた僕は、傘を差し出したが、 
彼女は、僕に気づかずに ただ前を見て歩いていた。 
やっと気づいた彼女は僕の傘の中に入った。 
まるで雨の中を歩いていたことに彼女は、気づいていなかった。 
彼女は、小さな声で「寒い」 と言った。 
もっと小さな声で「お風呂に入りたい 」 そう言って僕の腕に 絡み付いてきた。 
僕は彼女と一緒にラブホテルに入った。 
僕は湯船にお湯を入れているの間に彼女はバスローブに着替えていた。 
お湯が溜まるまで僕は、彼女にコーヒーを入れた。 
彼女はコーヒーを飲みながら ずっと泣いていた。 
お湯が溜まったので、彼女に風呂に入るように勧めた。 
長い時間彼女はバスルームから出てこなかった。 
今日は、金曜日で仕事帰りに 梅田に寄って 一人でご飯を食べていた。 
店から出たところで彼女と出会った。 
僕は30歳。名前は、原田海。 
不動産会社に勤めていたが、28歳の時に起業した。 
会社は、順調に伸びていた。 
彼女は、バスルームから出てきた。 

目は真っ赤だったが、もう泣いてはいなかった。 
彼女が喋るまで じっと待っていた。 
「私のせいであなたも濡れているからお風呂に入ってきて」と彼女は言った。 
僕がお風呂に入っている間に彼女がいなくなるのではないかと思った。 
まあそれはそれでいいかと思って僕は、風呂に入った。 
僕が風呂から上がると彼女はベッドで寝ていた。 
多分疲れていたんだろうぐっすり寝ていた。 
朝起きて彼女がびっくりしたら 駄目だと思って僕は、ソファーで寝た。 

その日は僕も疲れていたのでそのまま朝まで ぐっすり寝た。 
彼女が先に起きていた。 
もう1度お風呂に入って ドライヤーで濡れた服を乾燥させていた。 
彼女を モーニングに誘った。 
ラブホテルの近くのスターバックスに僕達は入った。 
彼女は改めて僕にお礼をしたいので名刺を頂戴と言った。 
僕は仕事があったので名刺を渡して彼女と別れた。 
彼女は今日は休みだと言っていた。 
結局 僕は、彼女の名前を聞かなかった。 
そして何が起こっていたのかも聞かなかった。 

                       つづく




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