Nicotto Town



「青春は、何度でも・・・」のつづき


「甲子園」

いよいよ甲子園だ。 
僕たちの高校の入場行進のプラカードを持ってくれる 
市立西宮高校の女子は、僕の同じ中学校のひとつ上の先輩のさくらさんだった。 
「しーちゃんおめでとう  しーちゃんの学校のプラカードを持てるなんて私とっても幸せ」 
「しーちゃんは、てっきり市西に来てくれると思ってたのに 引越ししたんだね」 
さくらさんは、とっても嬉しそうに 僕に話しかけてくれた。 
お互い緊張していたけれども 多少緊張も解けた。 

僕たちの高校は大会3日目で大阪の優勝候補の大阪桐蔭高校と第二試合目だった。 
抽選で春の選抜で優勝してる高校と、戦うことになった。 
監督は、胸を借りて来いと言って僕達を送り出した。 
誰もが勝てるとは思っていなかった。 
先輩達も甲子園に出れたことに舞い上がっていた。 

僕はピッチャーなので 勝つことしか考えていなかった。 
僕が弱気になっていると本当にボロ負けしてしまう。 
一球一球に闘魂こめて僕は投げ込んだ 。 
7回の表裏が終わって0-0 だった。 
この時に、監督もチームのみんなももしかしたらと頭に浮かんだそうだ。 
チームの気持ちが同じ方向を向いたて一つになった 。 
ベンチの後ろから乱蔵の応援の声が聞こえた。 
レミー の大太鼓の音も聞こえた。 
僕はもう一段ギアアップして 一球一球丁寧に投げた。 
7回終わって僕は一人のランナーも出していなかった。 
8回の表裏も 0-0で終わった。 

9回の表僕がマウンドに立つと 球場の空気が 緊張感に包まれた。 
僕の一球一球を固唾を呑んで見つめている。 
相手のバッターは序盤は大振りをしていたが、 
だんだん バットを短く持ってミートに心がけてバットを振っている。 
先輩たちの守備は完璧だった。 
難しいゴロも難しいフライも全部処理してくれた。 

9回の表を僕は3人で 片付けた。 
暫定パーフェクトに球場中が沸いた。 
ベンチはすっかり勝ちムードになっていた。 
キャプテン中心に円陣を組んだ。 
キャプテンが僕に何か話せと言った。 
僕は打順が回る先輩たちに 初球を思いっきり振っていこう。 
9回の裏トップバッターは、サードの大川先輩が打席に立った。 
円陣の中で、大川先輩は 、「オッシャー 」そう言ってた。 
打席に入る前に 大川先輩は、僕の顔を見ていた。 
僕は頷いた。大川先輩も頷いた。 
初球注文通り甘いコースにストレートが来た。 
大川先輩が振り抜いた打球は、まっすぐレフトスタンドに向かった。 
打った瞬間それとわかる 打球は レフトスタンドに落ちた。 
ベンチも応援団も、歓喜の嵐になった。 
大川先輩は何が起こったかまだ分からず打席に立ったままだった。 
アンパイアに促されてやっとベースを回った。 

校歌が、終わり応援団の前に 整列した僕は、乱蔵とレミーを探した。 
乱蔵は、狂喜乱舞していた。 
レミーは 涙をボロボロこぼして泣きながら笑っていた。 
中学までいたボーイズリーグの監督や仲間たちの姿も見つけた。 
みんな拍手を送ってくれていた。 
緊張感から解きされた僕は、グランドに倒れ込んだ。 
一球一球に集中して投げたことも原因がだったかもしれない。 
予選から一人で投げつけた僕の肩は、限界に来ていた。 
そのまま病院で入院した。 
次の試合僕は、監督に投げさせてくれと頼んだが 
監督は投げさせてくれなかった。 
3年生の 先輩ピッチャーが頑張ってくれたが、 
乱打戦で負けた。 
僕は徹底的に体力づくりをすることを 誓った。 

甲子園から帰って1日だけ休みを取って後は練習だった。 
僕は3年生のキャプテンから指名されて 次のキャプテンに選ばれた。 
次のキャプテンは、キャプテンから受け継ぐことになるのが伝統だった。 



                          つづく




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