Nicotto Town



「アメリカンドリーム」つづき


「監督」

亡くなった父の遺産を母が、今まで 管理してくれていた。 
僕が、二十歳になると、母が、僕の相続分を 渡すので 好きに使いなさいと言った。 
僕は、そのお金を元手に 自分が作りたい映画を作ることにした。 

「映画の構想ができた」とソニーピクチャーズの担当に、連絡した。 
僕は、台本とストーリーが分かりやすいような簡単な CGを焼いた DVD を持って
ソニーピクチャーズの担当にアポイントを取って会いに行った。 
この前と一緒の応接間に通された。 
こないだよりも人数か多いと重役達と担当が、僕を待っていた。 
僕は、簡単に テーマとストーリーとを説明して、台本と DVD を渡した。 
この企画を映画化してくれるのなら僕は、出資もしたいと申し出た。 
温かい対応の後、後日連絡すると担当に言われた。 

1ヶ月近く待ってソニーピクチャーズの担当から連絡があった。 
指定された日時に僕は、会社に出向いた。 
一人の重役と担当と数名のスタッフが、応接室にいた。 
重役からGOのサインがでた。 
僕をサポートするスタッフ達を一人一人紹介してくれた。 
ストーリーは ほぼ僕の構想通りで、台本は少し修正されることになった。 
僕はひとつ、重役にお願いをした。 
どんな役でもいいので僕の彼女を出演させて欲しいと。 
この場でとっさに思いついたことで 彼女には、この話をしていなかった。 
重役は後日、連れてきなさいと言ってくれた。 

家に帰って彼女にその話をするとビックリしていた。 
「あなたって人は・・・」 
「もしオッケーが出たら 私ハリウッドデビューなのよ」 
「あなたって本当に素敵!」 
「夢にも見たことのないことは 起こるかもしれない」 
「通行人でもハリウッドデビューは、変わらないのね」 
彼女は笑いながら言った。 
僕は、彼女が怒らずに 受け入れてくれたことにほっとした。 
僕は台本を書くときに 彼女をイメージして作品を作った。 
僕はキャスティングの担当ではないが 
台本を読んだキャスティング担当が 
僕もイメージ通り彼女を 選んでくれるか 
楽しみだった。 
通行人って言ってた彼女が、驚くことになる。 
 
第1回目の打ち合わせに僕は彼女を連れて行った。 
スタッフたちも彼女を気に入った。 
簡単な演技も 即興でやらされていた。 
彼女は物怖じもせずにそれをこなした。 

第2回目の打ち合わせで彼女の役柄が決まった。 
この映画の重要な主役の一人に抜てきされた。 
僕のイメージ通りになった。 
これにはさすがに彼女も驚いた。 
「海くんの台本を読んだとき、ちょっと思ったんだ」 
「この役の子って私に似てるよねって」 
「私みたいなずぶの素人がこんな大役をできるかしら」 
彼女はまだ信じられないといった顔で 僕に抱きつきながら言った。 
「君ならきっとこなせると思うよ」 
僕がそう言うと、 
「あなたが現場にいてくれるなら私は、頑張れる」 

母にこの話をすると今回も 投資をするからと張り切っていた。 
僕はこの映画で担当する仕事は、監督、編集 、CGを担当した。 
背景はほとんど CG で作ったので 俳優の演技はグリーンシートの前で行われた。 
この映画は、3人の女性の超能力者が、悪者と戦ってアメリカを救う物語。 
3人の超能力者の一人が、カーコだった。 
もしヒットしたら 三部作まで作れるように構成していた。 
映画の主題曲をレディーガガ担当することになった。 
カリフォルニア州のマリブにある 彼女の家に僕とカーコと 映画スタッフが招かれた。 
レディーガガは東日本大震災の時に、3億円を寄付してくれた 親日家でもある。 

僕たちは、超セレブの家に招かれて持っていくお土産に困った。 
母に相談すると 私に任せなさいと送ってくれたのは、 
七宝焼き(丸皿)富士山の絵柄と 江戸切子のグラス だった。
レディーガガに、渡すと 彼女は大変喜んでくれた。 
早速リビングに七宝焼き(丸皿)を飾ってくれた。 
僕たちのために 寿司を中心とした和食を用意してくれた。 
レディーガガは、帰り際に 
「あなた達素敵なカップルね いつでも遊びに いらっしゃい」 
そう言ってマネージャーの名刺を渡してくれた。 

僕たちは、すっかりセレブ気分を味わって 家に帰った。 
今まで僕は気づかなかったけど監督という仕事は、 
僕がキャスティングしたわけではないがみんな僕を大事にしてくれる。 
俳優の演技は別の監督が撮影していたが 、
彼女が出るシーンは必ず僕は立ち会った。 
それが彼女との約束だったから。 
俳優陣の 撮影もクランクアウトして 
僕が作ったCG と合成して編集作業にかかった。 
この作業は僕とドロシー二人でやった。 
オープニングの映画の題名のロゴとエンドロールは別の担当に任せた。 
それも出来上がり 音楽担当からもらったシーンごとの 音楽を入れ。 
今回は今まで映画で使われていないエフェクトや CG を駆使して作った。 
映画のストーリーはアメコミであるようなありふれたものだったが、 
映像は素晴らしいものに仕上がった。 
カーコも迫真の演技でこの大役をやり切った 。 
完成した 映像を持ってソニーピクチャーズの試写室で 
俳優スタッフ重役担当を集めて 試写会をした。 
エンドロールが流れると 大きな拍手が湧き上がった。 
みんな僕のところに来て握手をしてくれた。 
重役たちも大いに気に入った みたいだった。 
今回の制作費は前回の1000万ドルより多い8000万ドル(約83億円)だった。 
上映前の試写会では 映画関係者の間で 良い評価をもらった。 
映画の公開日に、TCLチャイニーズシアター・ハリウッドで オープニングセレモニーをやった。 
上演前に レディーガガが主題歌を歌った。 
その模様は全米のネットワークで放映された。 
僕たちは大成功を収めた。 

ソニーピクチャーズの重役と担当から 
2部3部の準備を進めるように言われた。 


                           つづく




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