Nicotto Town



「アメリカンドリーム」つづき


「文化祭」


高校になっても僕は友達が一人もいなかった。
そんな僕が、高校三年生になって初めて恋をした。
彼女は、中学校から 同じ学校で 何度かクラスも一緒になっていた。
高校3年生になるまで僕たちは、一言も喋ったことがなかった。
高3の2学期 文化祭の 役員に 僕と彼女はなっていた。
そこで初めて僕は彼女としゃべった。
彼女の名前は、海原 愛子 。あだ名は、 苗字の一番上のカ 名前の一番下のコで
カーコ とみんなに呼ばれていた。 
放課後遅くまでの 学校に残り一緒に準備をした。
彼女は、転校先の中学の時に一緒のクラスだったらしい。 
その時から僕のことが 好きだったと言った。
生まれて初めて女の子から好きと言われて、
僕はどうしていいのか分からなくなった。
彼女は頭も良く 綺麗な顔立ちをしていたので
クラスでも一番の人気の女の子だった。
僕は彼女に聞いた。
「僕のどこが好きなの 何が好きなの」
野暮な質問だった。
「女の子から好きと言わして理由まで言わせるの」
彼女は、そう言って笑った。
本当に僕は、どうしていいかわからなかった。
僕は、友達が今まで一人もいなかったけれど
みんなから無視をされてたわけではなかった。
みんなから少し離れたところで
みんなが、することに 関心を持たずにいただけだった。
そういう僕を彼女は、ずっと横で見ていた。 
「急にこんなこと言ってごめんね驚いたね」
「でもね 私ずっと海君のことが好きだったの」
「だってみんなと違うんだもん」
「みんなは無理に人に、合わせたり」
「そうしながら陰で悪口を言ったり」
「海君はずっと一人だったけど毎日が楽しそうと、私には見えたの」
「一緒に文化祭の役員になって、海君は無駄な話はせずに、テキパキと仕事を進めていった」
「このチャンスを逃すと2度と、海君と話しすることはできないと思って 思い切って言っちゃったの」
彼女は、照れながらそう言った。
僕は何も答えずにいたら
彼女は「おつかれさま、また明日」といって、下校した。
彼女が帰った後僕は、 後片付けをして下校した。
家に帰っても僕は、彼女の笑顔が頭から離れなかった。
僕の心臓が、初めてドクドクと音を立てたのがわかった。
これが「恋」なのか・・・?
その晩僕は、彼女に手紙を書いた。
とてもこの気持ちを口で言う自信がなかったからだ。
まずは伝えたい言葉を別の紙に書き出すことから始めた。
何度も何度も書き直して やっと完成した。
海原 愛子様へ
とても朝にこの手紙を渡す勇気がないだから
「こんにちは」 ひょっとしたら「こんばんは」かもしれない。
昨日あれから家に帰ると僕の心臓の音が、ドクドクと聞こえていた。
初めての経験に僕は驚いた。
そして気づいた。
きっとこれは恋だ、君に恋したんだ。
でもそれを口で、伝えることがとてもできそうにないので手紙を書くことにした。
人を好きになることが、どういうことなのか
何をしたらいいのか正直僕には、分からない。
君が僕に好きと言ってくれた、気持ちをそのままにできなくて、
僕も正直に、気持ちを伝えます。
「好きです」
                             原田 海
やっぱり朝も昼も渡せなくて 放課後役員の仕事が、今終わって
帰りの支度をしている彼女に渡した。
次の日朝一番に、
彼女はとっても嬉しそうに笑顔で僕に手紙を渡した 。
海君へ
私は嬉しくて朝一番にこの手紙を渡すと思うので
「おはよう」 から手紙を書き始めます。
とても素敵なラブレターありがとう。
海君の気持ちが とっても嬉しい。
自分の気持ちをストレートに伝えてくれる。
やっぱりあなたは素敵な人だね。
私は海君と色んな事いっぱい話したいので、
文化祭の準備が終わった後 一緒に帰らない。
返事は手紙じゃなくて・・・ね♡
                   カーコ
僕たちは、学校から駅二つ向こうにあるカフェでお茶を飲みながら話した。
話したと言ってもほとんど彼女が話していた。
自分のことを人に話すという経験がほとんどがなかったので
僕は相槌を打つのが精一杯だった。
進路の話になって、
「海君は、どこの大学に行くの?できたら一緒の大学に行けたらいいなあ 」
「5年間かかってやっと 海君と仲良くなれたのに 離れ離れって 辛いなあ」
そう彼女は、言った。
「アメリカのスタンフォード大学に行くつもりだ」
僕はそう、言った。
「あなたはどこまで素敵なの」
「あなたが頭が良くて勉強ができるのは知っていたけど」
「きっと私達縁があるのよ」
「私の父は商社に勤めていて今 サンフランシスコに住んでいるの」
「私の高校の関係で母と私は日本に住んでいるけど」
「私がスタンフォード大学に 行くと言うと 父も母も多分喜ぶと思う」
「母は、私が高校を卒業すると父の元に、行くと言っていたから」
「私の頭で行けるかどうか それが問題だ」
彼女は、学年でトップクラスの成績だった。
英語も小さい時からしっかり勉強していた。
僕より合格する可能性は高い。
その日から僕たちは 放課後いつも一緒にいた。
お互いの家で受験勉強を一緒にした。
彼女のお母さんは僕をとっても気に入ってくれた。
僕の母に彼女を紹介した。
僕が友達を 家に連れて行くのが初めてだったので
しかも可愛いお嬢さんを連れてきたことをとても喜んでいた。
僕が秘密にしていた 今まで一人でやってきた YouTube の話や
相棒のAI (人工知能)ドロシーのこと、CGで作った映画をのこと、
そして大学でやりたいこと全て彼女に話した。
「海君は皆が遊んでいる時に自分がしたいことをやっていたんだね」
「やっぱり海君は、すごい人」
僕の YouTube や映画を見て彼女はそう言った。 

                     つづく




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