Nicotto Town



「アメリカンドリーム」つづき


「転校生」 

中学2年生、 夏休みが終わり 私のクラスに転校生が、やってきた 。 
名前は、原田 海 
私の名前は、海原 愛子 
海くんは、誰とも目を合わさずに、自己紹介をした。 
名前に「原」と「海」が あって すごく親近感が湧いた。 
私は苗字の 初めの文字の「カ」と名前の最後の文字の「コ」 
私は、友達からカーコと呼ばれていた。 
イケメン君が 転校してきた したので 女子たちは、喜んでいた。 
誰が海くんを落とすんだろうと賭けをしていた女子たちもいた。 
海くんは、誰とも喋らず 友達を作ろうとしなかった。 
いつも何かを考えているようで 喋りづらかった。 
喋りづらくなるようにバリアを貼っていたのかもしれない。 
結局私は、2学期海君と一度も喋ることはなかった。 

女子の何人かはすでに、海くんに振られていた。 
振られるというよりにモーションをかけても相手されなかった。 
海くんは、教科書と黒板を 見ながら授業に集中していた。 
綺麗な文字でノートびっしりと、授業の内容を書いていた 。 
誰かが騒ごうと そちらを見ようともしないで勉強していた。 
休み時間になるといつもいなくなる。 
学校が終わるとまっすぐ一人で帰っていった。 
海くんの声を聞けるのは、授業中先生に、当てられて 
本を読んだり答えを言う時と、 
音楽の授業中の 歌声だけだった。 
後は誰かに話しかけられたら「うん」か「ありがとう」をたまに 言うことはあった。 
私は、海くんの声が大好きだった。 
いつも授業中先生が、海くんを当ててくれないかなと思っていた。 
私は音楽の授業で海くんの歌を聴くのも 好きだった。 

海くんが前にいた中学校 の友達から 聞いた話ではその学校でも 
友達を作らずに一人でいた みたいだった。 
2年生が終わり 3年生の新学期になった。 
私は、海くんと同じクラスになりますようにと祈りながら掲示板を見た。 
「ヤッター」 私は思わず声を出してしまった。 
みんなからジロジロ見られてとっても恥ずかしかった。 

私は、上手に担任の先生から海くんの進路を聞き出した。 
海くんは私学の高校を受験する。 
共学だったので私もその高校を受験することに決めた。 
偏差値の高い進学校だった。 
もうその頃には女子たちは、海くんの彼女になることを諦めていた。
結局中学3年生でも一言も喋れなかった。 

海くんも私もその高校に合格した. 
結局高校3年間私たちは同じクラスだった。 
高校になっても相変わらず海くんは、友達を作らなかった。 
部活にも入らずに 学校が終わると一人で家に帰っていた。 
なぜ私が、こんなに海くんが好きになったんだろう。 
気になって仕方がない。 
いつも遠くを見て 同じ空間にいても そこにいないような。 
高校に入ってからも海くんは、女の子にモテていた。 
中学の時と同じように 高校3年生になると女子たちは 、
海くんの彼女になることをみんな諦めていた。 
「カーコって不思議よね」 
「こんなに可愛いのに彼氏作らないの」 
友達のしずがいつも言っていた。 
「私の恋はね片思いなの」 
誰と聞かれても私は言わなかった。 
誰かに言って海くんの耳に入るのが嫌だったからだ。 
私にも言い寄ってくる男子は、いたが私も誰も相手しなかった。 
結局四年間海くんに、片思いしていた。 
ずっと同じクラスなのに一言も喋ってない彼に・・・ 
うちの高校は、受験のために文化祭を1学期に 開催されることになっていた。 
クラスのみんなの推薦で私と海くんが、文化祭の役員になることが決まった 。 




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