あの頃のホム友の話
- カテゴリ:小説/詩
- 2020/12/05 14:22:21
僕の入っていたコミュニティサイト会社(今は潰れてしまって無い)の友達にBertieというハンドルネームの小説家がいた。
その彼が自著を出していることを知り、僕は早速「クロネコヤマトの宅急便」で配達してもらった。
2010年頃の6月のことだったと思う。
タイトルは「百万回のキッスを恋する女の子にあげちゃうほど浮かれた気分」といい、四十数編の短編が、長いもので7~8P、短いもので1Pくらいでまとめられている。
筆者もどこから読んでもいいように書いたというとおり、どこからでも読み始めることができる。
このタイトルを決めるのにけっこう悩んであれこれと迷っていたことが日記に書かれていて、彼の書いたものをコメントしているうちに、僕は彼の日記のファンとなり、いつの間にか友達登録などというものをして、よほどのことがない限りは、朝夕に挨拶文をかかさず足跡に届けた。
Bertieは英語と日本語を器用にあやつる小説家で、むしろ日本語よりも英語の方が得意ではというくらい英語に堪能な人。彼の日記には英語で書かれた小説が沢山あった。
医者の学校に入って途中でやめたとか、著書や日記にその経緯が書いてあるが、博識で、しかもユーモアのセンス溢れるお兄さんである。
僕は、野口英世の故郷を旅したこともあり、けっこう医者系には興味がある。その上彼は英語を通じて、英世と同じく教会にも縁がある。
彼はキリスト教会のミサに通うのを日常としており、僕も実は小学校の頃教会に通っていた関係で、彼には親近感を覚えていた。
ところで、僕は「神の前で人間が出来る一つの善意に満ちた遊び」のつもりで、朝夕の挨拶文を、今は無いコミュニティサイトで友達登録した方々には、勝手に送り続けていた。
Bertieもそういう人たちの一人で、僕は精神的に非常に自由な境地に到達しているように見える彼の日記を覗き、勝手なことを書いては一人悦に入っていた。
彼はやはり小説家であり、その自由で屈託のない世界に惹かれるファンの一人として、今でも彼の成功(著名な小説家になることばかりではないと思うが)を願わずにはいられない。
エピソード
その後、彼は小説を書いて無いようで、ネット検索しても、「百万回のキッスを恋する女の子にあげちゃうほど浮かれた気分」という文庫本しかヒットしない。
あの頃の思い出の一番最初に出てくるのが彼です。