Nicotto Town



「海と波乗り達と彼女」のつづき


「ふたりの転校生」
2学期に入ると二人の転校生 と出会った。
二人とも近くに大型商業施設が建設されるのに伴って
父親の仕事の関係でこの町にやってきた。

大村 仁(ジン)は、パソコンに精通していて いわゆるハッカーだ。
海に波ない時は、仁の家で、ハッキング技術を学んだ。
彼のハッキングは、企業のHPの脆弱性を見つけて、それを警告する。 
決して何かを盗んだりすることはなかった。

金庫破りをして お金を一銭も取らずに金庫の中に
危ないですよと手紙を置いてくるようなことをやっていました。
それ自体犯罪だけど 彼は、警告を与えているだけだと、
妙な正義感を持って遊んでいた。

二人でいろんなシステムや会社のホームページに侵入して 
警告を発して跡形もなく消える。
そういう悪い遊びをしていた。

仁の夢は、 世界中の国のハッカーたちから日本を守るために 
ハッキングを使った防衛をすることだった。
彼ならできそうな気がした。

もう一人は、
高岡 猛(たけし)は、湘南育ちで、
僕と同じように子供の頃から波乗りをしていた。
波がある日は、猛と一緒に、放課後波乗りをして遊んだ。 
彼の夢も僕と同じでプロサーファーに なることだった。 

猛はパソコンには興味がなく、
波のない日は、サーフィンビデオを見たり
漫画を読んだりして過ごしていた。


真冬になると よっぽどいい波がない限り海には入らない。 
毎日のように仁の家で遊んだ。 

仁は、パソコンだけではなく勉強もできた。 
仁と一緒に 冬の間は勉強を頑張った 。

僕は耳が、すごくいい。
姉がピアノを習っていて 姉が弾くピアノの音を 頭の中で音符に変えれた。 
英語の発音も すらすら耳に入ってきた。 
そして僕はそれを 上手に発音できた。 

ハワイのノースショアで波乗りがしたい僕は、 
英語の勉強は、特に力を入れてやっていた。 

母は今でこそ「日の出食堂」の おかみさんをやっているが、 
父と知り合った頃は、ジャズピアニストで歌も歌っていた。 
母のピアノも歌も僕は大好きだ。 

日の出食堂には、内装に似合わないグランドピアノが置いてある。 
誰かの誕生日には必ずピアノを弾いて歌を歌ってあげている。 
たぶん僕の耳がいいのは母の遺伝のような気がする。 

春になると僕は、猛と波乗りをする時間が多くなった。 
中学2年生になると 一人の 転校生がやってきた。 

                          つづく 




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.