Nicotto Town



「初恋」のつづき



「オーディション」 


学校も冬休みになって 
暮れから元旦は、僕の実家で過ごして、 
2日から彼女の実家で過ごした。 
入試試験日は1月の第2週の土曜日。 
早目に東京へ帰り 彼女は受験勉強の追い込みに入った。 
試験の前日に 近くの 学問の神様 が祀っている湯島天満宮に二人でお参りに行った。 
試験当日は暖かく 僕は、彼女を試験会場まで送って、 
千代田区立千代田図書館で勉強しながら試験が終わるのを待っていた。 
帰りに九段下にある洋食屋の「銀の塔」で彼女が大好きなビーフシチューを 二人で食べた。 
「お疲れ様 手応えはどうだった 」 
僕が聞くと、 彼女は、ピースサインをした。 
就職が決まってた彼女を東京まで連れてきて、大学受験を僕をさせた。 
約10か月間彼女は必死で勉強した 。 
遊びたい盛りの18歳 から19歳にかけて、僕と一緒に勉強を頑張った。 
彼女に「大学に入学したらよっくり大学生活楽しんでね」 と言ったら、 
「もちろん夢に向かって 勉強するし 楽しむけど 私はあなたとの時間を一番楽しみたいのよ」 
彼女はこう言って微笑んだ。 

彼女は見事合格して4月から大学生になります。ご両親もすごく喜んでくれた。 
春休みの 前半は、お互いの実家に いって 友人達と遊んだりお互いの両親と食事をしたりしました。 
彼女は東京に来たらいきたかった東京ディズニーランドとディズニーシー行った。 
僕たちは東京に来てほとんど東京で遊ぶことはなかったので 
春休みを利用していろんなところに出かけた。 

お互い学校が始まり 慌ただしい日々が続いた。 
彼女も 気の合う友達ができ 交友を深めていった。 
4月も終わりの頃
彼女のお姉さんから連絡があった。 
「ka-koの YouTube のアカウントがすごいことになっている」 
僕は部屋探しや引っ越し 彼女の受験勉強を教えたり自分の勉強などで 
忙しかったので YouTube の画面を見ていなかった。
ka-koの YouTube アカウント の登録者数が10万人を超えていた。 
コメントの中に、大手音楽レーベルの担当者から是非会いたいから連絡が、欲しいというメッセージがあった。 

僕は連絡をして 会う日時を決めた。 
東京都千代田区にある本社を 彼女と一緒に 担当者に会いに行った。 
担当者の話は 、 
「メジャーデビューのお手伝いをしたい、 
人気アニメの 主題歌のオーディションを 受けてほしい」 
この話は映画制作会社からの依頼 だった。 
僕はその担当者が 彼女を商品のように見ている目が気に入らなかった。 
レーベルにとって歌手は確かに商品かもしれない。 
その感情が僕の顔に出ていたのか 彼女は僕の顔を見ると担当に 
「私はそのつもりはありません。今のままでいいですと断った 」 
僕はびっくりした。 
誰もが憧れるメジャーデビューを 断るなんて・・・ 
担当者は、いろんな条件を出して何とかしようと頑張ったが彼女の意思は変わらなかった。 

その会社を出て近くのスターバックスで僕と彼女はカフェラテを飲みながら話した。 

「なぜこんなチャンスを断ったの」 
僕は彼女の真意を知りたくて 質問した。 
「私は今の生活が幸せだからこの生活を崩したくない 
レコーディングして CD を売るために あなたと離れて 
コンサートをしたり そういう生活は 望んでないの 
やっと一緒になれたから」 
彼女はそう言った。 
せっかくのチャンスもったいない話だが 
彼女がそういうのなら それでいいと僕も思った。 

何日かして、彼女の YouTube のアカウントにまたコメントが入った。 
今度は映画制作会社の担当者から是非会いたいと言う メッセージだった。 

その映画制作会社の担当とアポイントを取り 彼女と一緒に会社に行った。 
レーベル会社の 担当者が言ってたように 
彼女に、「主題歌のオーディションを受けてほしい」と今度は直接依頼があった。 
詩を彼女が書いて採用されたら作曲もオーディションにかけて正式に曲が出来上がったら彼女に歌ってもらう。 
このアニメ映画の主題歌は、プロの歌手じゃなくて 
歌い手さんに数名に声をかけてオーディション方式で 
採用を決定するということになっているみたいだ。 

それが条件なら 引き受けると彼女は言った。 
映画制作の会社の担当者から 「アニメのコミックと今までテレビで放送した DVD を見て詩を作って欲しい」と渡された。

僕は彼女がやりやすいように、音楽のレーベルを立ち上げた。 
彼女はコミックと DVD 全てを何度も見て 詩を書き上げた。 
彼女は僕に曲を作ってほしいと言った。 
僕はその詩に合う DVDを見てコミックを読んで そのイメージで作曲した。 
いつも使ってるスタジオで 彼女が歌って録音したデモテープを持って 
映画制作会社の担当者に会いに行った。 

彼女は、 
「この曲も詩と一緒に採用されたら私は歌います。」 
担当者に言った。 
オーディションなのに彼女は強気だ 僕はそう思った。 
担当者は曲もオーディションにかけると言っていたのに・・・ 
そして 
「もし採用されても私は主婦なので あちこち宣伝に連れ出されるのは お断りします」 
担当者に言った。 
彼女は採用されなくてもいいと思っているので あくまでも強気だ。 


2週間後 映画制作会社の担当から連絡があったので、会いに行った。 
担当者は、
「ka-koさんに決まりました。よろしくお願いします。」 
彼女は 
「曲もあれでいいですね」 
担当は、 
「曲もオーディションにかけたのですが この曲が一番ぴったりだったので 採用しました」 
ただしひとつだけ条件をのんで欲しいです。 
一度だけ東京の映画館での オープニングで 生歌を歌って欲しいです。 一度だけでいいです。」 

彼女は少し 悩んでいた。 
今まで YouTube 上では顔を出して歌うことはなかったので 映画館で歌うということは 
当然マスコミ 観客 の前で 歌わなければいけない、 
顔が晒されるということが、二人の生活への弊害を考えていた。 
彼女は僕の方を見て二人の生活の弊害があることを説明した上で僕に聞いた。 
「あなたは賛成してくれる?」 
この件で初めて僕に意見を求めた。 
「僕はいいよ 君がいいなら」 
僕は彼女の手を握りながら言った。 
彼女は担当に 
「一度だけならその話はお受けします」 
彼女はまっすぐ担当に向かって言った。 

                 つづく

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2020/11/26 20:42
キルミスターさん
こんばんは!(^^)!
コメントありがとう^^
そうそう^^
まだ子供なんです。
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2020/11/26 20:40
シャマイムさん
こんばんは!(^^)!
コメントありがとう^^
そうなんです。彼女は、亡くなった双子の妹の夢だった
ファッション関係のブランドを立ち上げることなのです。
そのために受験勉強して大学に入ったのに・・・
youtube効果恐るべし・・・
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2020/11/26 18:11
メジャーデビュー。。といっても、彼女さんはもともと歌手志望じゃないし。。。
「僕」の曲と彼女さんの詞の主題歌って、2人の子供みたいですね^^*
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2020/11/26 05:57
おはようございます。
彼女はファッション関係のブランドを立ち上げたかったのですよね。
歌手の道を進まざるを得なくなるのかな?
続きが気になります。
お言葉に甘えて今日もクッキーと猫のお皿の写真と新しいワンちゃんの絵も見せてもらって癒されました。
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2020/11/25 20:37
doさん
こんばんは!(^^)!
コメントありがとうございます。
オーディションというよりほぼ決まってたみたいです。
名指しでご指名だったから。という設定です。
彼女は本当は望んでないのです。
後でわかります。
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2020/11/25 20:02
彼女はいよいよ歌手でビューするんですね!あ、でも期間限定なんですね。
オーディションとかは未知の世界ですがイメージしてたオーディションとは
一味違っていてちょっとビックリしましたw
企業の就活と同列に考えたらダメですね。
彼女側のストーリーがどんどん進んできて先が楽しみです。




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