10.~二度目の蜜月~
- カテゴリ:日記
- 2020/08/16 10:18:57
王妃は王子に、自分のしたことを告げ、謝罪しました。
王子は笑って言いました。
「母上がしてくださったことのおかげで、私は青花姫に出会うことができました。
感謝こそすれ、恨む理由はございません」
王妃はその笑顔の中に、かつての優しい少女の面影を見ました。
王子を通して、彼女も許してくれたような気がします。
王子を愛し、良い母になろうと決意する王妃でした。
新しい法案の準備も、着々と進んでいきます。
実際に王位に就く可能性のある女性の意見を広く聞こうと、王妃や王女だけでなく、王妃の従姉妹やその娘たちなどを王宮に招くこともありました。
自分には無理だ、と言う人もいれば、そういう世の中になるのだったら、自分も帝王学を学んでみたい、と言う人もいました。
王宮を後にする時、王族の女性たちは、王妃は見違えるように明るくなったわね、と口々に言いました。
そんな女性たちの中から、王立女子高等学校の設立に尽力し、初代校長に就任する人も現れます。
二組の結婚の準備で、王宮の人々には嬉しくも忙しい日々が続きます。
打ち解けて話せるのが嬉しくてならない王と王妃の様子を見て、王女は言いました。
「まるでお母様が花嫁みたいね」
すると王も軽口で応酬します。
「そうさ、うるさい子供たちがいなくなったら、二度目の蜜月を楽しむのさ。
だからさっさと嫁いで構わないよ」
「はいはい、退散しま~す」
王女は笑って部屋から出ていきましたが、王妃の顔が曇っています。
「どうしたの?
何か気になることがあるなら、言ってごらん。
思ったことは何でも言い合うって、決めただろう」
王の問いかけに、床を見つめたまま、重い口を開く王妃です。
「王女を懐妊して以来、貴方がこの部屋でお一人で休んでいらっしゃるのはなぜかしらと、ずっと気になっていたの。
出産が済んでもそのままだったし、ほかの女性をお召しになるわけでもなかったわ。
もしかして、私がお気に召さないのか、それとも、もともとそういうことがお好きではないのか、どちらなのかと案じておりました」
「そのどちらでもない」
そう言って王は、跪いて王妃の顔を見上げました。
「私に勇気がないばかりに、いらぬ心配をさせて済まなかった。
先の王妃が出産で亡くなってしまったから…私は君まで失うのが怖かったんだ。
君が産褥から回復するまでの間、私は不安で気が狂いそうだった。
またそんな思いをするくらいなら自分が我慢すればいいと思い、君と距離を置いたのだ。
そうすることで君が傷つくとは、考えもしなかった。
私の弱さと愚かさが、君を悩ませてしまったんだね」
王妃にとっては予想外な答えでした。
「でも私は安産だったし、お母様も、おばあさまもそうだったと聞いているわ。
年齢的にもう身籠ることはないと思うけれど、仮にそうなったとしても、私がお産で命を落とす心配はあまり無いのではないかしら。
命を与えるか奪うかは神様がお決めになることだから、人が案じても仕様がないわ」
それを聞いて王は、王妃の手を取り、跪いたまま言いました。
「では、改めて、私の妻になってほしい。
蜜月をもう一度やりなおそう。
今度は私も遠慮はしない。
昼も夜も、出来得る限り君のそばにいるよ」
王は自分の言葉を実行し、神様は命を与えるとお決めになりました。
王子の結婚式の何か月か後、王妃は双子の王子と王女をお産みになりました。
青花姫も、それから程なくして王子を出産します。
赤ん坊は、同じ年の叔父叔母と、三つ子のように仲良く育ちます。
王子は青花姫のために、宮殿と森の中間くらいに素敵な塔を建て、そこで新婚生活を送りました。
青の塔と呼ばれる建物です。
姫が夫である王を看取ったのも、この国を訪れた、つつきという名の愛らしい旅の少女を寵愛したのもこの塔です。
青花姫は、我が子が王となっても、変わらず娘のような容貌であり続けました。
3人の孫王子たちが結婚したらこの国を去ると、青花姫は宣言します。
その結婚は国にひと騒動巻き起こし、青花姫もそれに一役買っているのですが、それはまた別の機会に。
結婚式をすますと、姫は旅人つつきを伴い、自分の世界へと帰って行きました。
今から1000年ほど前のお話です。
本編はどうなることやらねえ。
王と王妃の物語であると同時に、女性の権利向上も含めるあたりがもふさんらしいな
そしてそして、ぬわんと青花姫は、塔でつつきちゃんを寵愛し、自分の世界まで連れてっちゃうんだね?わ~お
青花姫の正体がバレバレだあ(笑)
続きは、いつになるかわからないけど。
書いたらまた読んでね~。
なんか幸せな気持ちになる物語ねぇ
つつきさんの登場びっくりだったけど
青花姫様が自分の世界へ一人寂しく帰ることなくて良かったわぁ( *´艸`)
その後のお二人の物語も楽しみにしてますねぇ
もともと、青花姫(書き出しの時点では、呼び名も決まってなかった…)を登場させて、つつきさんの名前をちらっと出して終わりにしようと思ってたのに。
チャイさんパワーで王妃様の物語に化けたのかもしれないなあ。
青花姫はかえるだった王様の最後まで側にいらしたのですね
旅人との出会いのきっかけ、青い花にこだわったのも何か王様との思い出ができたからだったのかなとか深読みしてしまう〜
癒しの旅人つつきちゃんとの新たな旅路も読んでみたいな╰(*´︶`*)╯♡
その何行かが書きたかったかったばっかりに、長いこと書いてしまったわ。
そのくだりを読んだ時の、つつきさんの反応が楽しみで…。
いつになるかわからないけど、そのうち本編も書くからねえ~。
青花姫の世界で二人は永遠の愛を育むんだねぇ〜(//∇//)
ドキドキが止まらないよう