【源氏遊び】 嫁という一言に惑う
- カテゴリ:自作小説
- 2020/07/25 19:50:19
この前の話は、ネコ衛門さんの ↑ 夢の浮橋 其の捌から続きます。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=48178&aid=69023744 ◆
(嫁ーーーーーっ)
宮様にはなんと!!! 私を嫁にしてくださるおつもりがあった……。
鬼とか喰われるのがどうとか、孔雀明王の化身とか、不穏なワードは山のようにあったが。
和泉の意識は、そこに集中する。
空木宮の話に半ば呆然とし、キャパオーバーになりながらも自室に戻り着替えると、髪を解き、
そのままいそいそと庭に出た。
夜更けの庭は咲く時を待ちわびる桜の蕾がぼんやりと、かつ淡やかに闇に浮かび、
かすかな道しるべとして和泉に現在地を知らせる。
それらに導かれ、和泉は迷うことなく宮の居室が眺められる位置まで歩を進めた。
宮の居室には、いまだほんのりとした明かりが灯っている。
空木宮様はいま何を思っておられるのだろう。
今宵のことは夢、ではないのだろうか。宮様が、宮様が……。
『私とて和泉に会いたい』
『だが今私が和泉に会えば…… もはや私とて子供ではない』
『……男として当然だ』
そんな言葉を頭のなかでぐるぐる回り、和泉はホッと頬を染め、熱を帯びた頬を両手でおおう。
あの宮様が、あの宮様が、、、男!
嫁…… 私が宮様の嫁!
もしかして、このまま夜這いをしたら…… もしかして、もしかして私は嫁!!!!
「和泉お姉さま?」
そんな和泉のテンション高い思考を遮る声が闇を裂く。
ドキっとして振り向くと、「ああ、匡子か」と相手を認め、和泉はほぉ、と深く息を吐いた。
誤って、ついお姉さまと声を掛けたにも関わらず、何の反応を見せない和泉に、匡子は一瞬、
きょとんと不思議そうな顔をしたが、和泉はそれをさして気に留めず、
「このような夜更けに、どうしました?」
と問い掛ける。庭に気配を感じたこと、和泉の違和感などおくびにも出さず、匡子も、
言子さまから頂いたお文がおもしろくて夢中で読んでいたら、つい寝そびれましたの、ところころと笑う。
そうして、
「もう休みますわ、影和お兄さま」
その一言が、和泉にいま己れが影和であることを、ようやく思い出させる。
「おやすみなさいませ、影和お兄さま」
宮の話しの衝撃を、和泉の脳内の高ぶりを身の内に鎮め、いつもの笑みを顔に張り付ける。
「おやすみ、匡子。良い夢を」
「影和お兄さまも、良い夢を見られますように」
そんな言葉と、にこりとした微笑みを残して去る匡子を見送り、和泉はもう一度、深く息を吐いて。
拳を強く握り目をつぶる。
宮様…… この和泉が! いや、影和が万難を排除してご覧にいれましょう!
その夜、影和は夜を徹して文をしたためる。
兄を経由して帝へ届くように。そして白藤中将にも伝わるように深雪典侍に同様の内容で。
鬼の正体は司馬曹達であること。
生前は宮の先祖である倭王の廷臣として仕えていたが謀殺され、倭王の末裔に遺恨を抱いていること。
空木宮が桜が咲く頃に〝喰われてやる〟と約したこと。
何故か影和を孔雀明王の化身と信じており、帝を守れと命じられたこと。
そして、桜が咲いたら空木宮自身は既に、この世に別れを告げると、自ら決していること。
影和はあふれる涙をぬぐうことさえ忘れ、手を動かし続けた。
宮様、諦めないで下さりませ。
宮様、どうぞ私を嫁にする未来を、強く望んで下さりませ。
そんなことを願いつつ、最後に影和は、和泉から宮へ充てた文をしたためた。
『宮様のいない世は、生きている甲斐などございませぬ。死出の共をさせて頂きまする』 と。
脅しのような文言であったが、それでも影和は…… 和泉は一縷の望みを賭けた。
半ばヤケであったかもしれないが、それでも紛れも無く、それならそれで良いという本音でもあった。
…… 空木宮様。もうお忘れかと存じますが……。
10年前の橘事変の折、和泉の命は尽きておりました。宮様がおられなければ……。
かつて兄・帥和が殿上童として幼き今上帝にお仕えしていた縁で
童姿で内裏に参内し、そこで空木宮様と遊んでいただいた時のことでございます。
当時の幼い私には詳しいことは解りませんでしたが、その時、起こったある公卿の刃傷沙汰で、
宮様が気づいて、庇って下されなければ、私は巻き込まれ、
今頃は儚くなってたはずでございます。
あの時、凶行に及んだ公卿を、都より遠ざけるという帝のご判断も、
宮様がいて、宮様が私を救うて下さらなければ、無かったことにございました。
あの時から、私の身も心も空木宮様のものであり、常に宮様に寄り添ってまいりました。
空木宮様がご自身の行く末をそのように望まれるのであれば、和泉もどうぞ、お連れ下さりませ。
空木宮様、大好きです……。
和泉命婦からの文を読み、帝はその文を握りつぶし声を荒げた。
「白藤中将を呼べ。いますぐ、ここへ」
今上帝は身の内から吹き出そうとする怒りを抑えているように、深雪典侍には見えた。
(たぶん、私のところに届いたのと同じ内容よね? すでに中将様には伝えてあるけど……)
戦々恐々とする周囲を眺めつつ、深雪典侍はそんなことを思い、帝の様子を眺めた。
帝の側にいる大江帥和も、常と変わらぬ平静な態度を崩さないが、いつもよりも顔色が青白くこわばって見える。
「白藤中将、御前に」
「空木宮を連れて参れ! 抵抗するなら有無を言わせず引きずってでも!」
言葉少なく伺候した白藤中将に、今上帝は叫んだ。
源氏遊び 特設ライトニング https://writening.net/page?emzkkR
空木宮 ☤ネコ衛門☤さん
今上帝 ロワゾ―さん
白藤中将 ロワゾ―さん
深雪典侍 ミュ☆ミュさん
大江匡子 ☤ネコ衛門☤さん
影和(和泉命婦) 和.com
【橘事変】
ある公卿が知人らを相手に賭け囲碁に興じていたが、いつしか口論となり、
その夜、公卿の従者のひとりが殴殺された。
怒った公卿が翌日、刀を抜き、知人らを追いかけ回すという事件が内裏で起こり、
その近くに居合わせた童が巻き込まれ刺突されそうになったところ
その童を庇ったのが、帝の御弟宮である空木宮であった。
この時、暴挙に及んだのは、参議のひとりであり、時の太政大臣の末弟。
この者〝法の外に存在する身分(公卿)〟であるため、
処罰は帝に一任され、帝は、権限を何ひとつ持たない地方官への就任……
つまり左遷であり事実上の流刑を申し渡した。
こうした処罰の場合、今上帝は公卿らの意見に耳を傾けるのが慣例であったが、
御弟宮に刃が向けられたという事実に帝の怒りは深く重く、
そして太政大臣は、悪三位と呼ばれていた末弟をたいして庇いだてもしなかった、と伝えられている。
この事件、起こったのが南殿の前の庭、右近橘の前であり、
橘が盛りの頃であったことから、現在では橘事変と呼ばれている。
今上帝即位から5年、帝が13歳、御弟宮が8歳の出来事であった。
その夜、公卿の従者のひとりが殴殺された。
怒った公卿が翌日、刀を抜き、知人らを追いかけ回すという事件が内裏で起こり、
その近くに居合わせた童が巻き込まれ刺突されそうになったところ
その童を庇ったのが、帝の御弟宮である空木宮であった。
この時、暴挙に及んだのは、参議のひとりであり、時の太政大臣の末弟。
この者〝法の外に存在する身分(公卿)〟であるため、
処罰は帝に一任され、帝は、権限を何ひとつ持たない地方官への就任……
つまり左遷であり事実上の流刑を申し渡した。
こうした処罰の場合、今上帝は公卿らの意見に耳を傾けるのが慣例であったが、
御弟宮に刃が向けられたという事実に帝の怒りは深く重く、
そして太政大臣は、悪三位と呼ばれていた末弟をたいして庇いだてもしなかった、と伝えられている。
この事件、起こったのが南殿の前の庭、右近橘の前であり、
橘が盛りの頃であったことから、現在では橘事変と呼ばれている。
今上帝即位から5年、帝が13歳、御弟宮が8歳の出来事であった。
明日、みなさまにご挨拶に伺います (。- 人 -。)
これ! まさにピッタリ ( ̄~ ̄lll) そう宮様は、儚いイメージあるよねー。
だから…… バイタリティある人でないと務まらないのも解るし、
バイタリティあり過ぎても務まらない気が、するわ~w
これを逃しちゃダメって帝もきっと思うよ。(o´艸`)
うっちゃん儚すぎるんだよねー。
薄幸の宮様にはバイタリティのある人でないと務まらない。(*´∇`*)
いけそこだ押し倒せ(★>m<)ププ
死なない程度に。
このタイトルの「惑う」 ……もしかしたら違う言葉のほうが合うかも、と迷いちゅう~。
帝と白藤は応援するか??? …… 帝は無理じゃないかなぁ。
弟宮に、こんな女は似合わん! とか思いそうよ?
けど、宮様としては疲労度も高いと思う _(L〃_ _)ノシ バンバンバン‼
でも~ 数日前まで間違いなく〝闇雲〟だったので、
闇雲に慕っていたのも間違いではありません~ (((o≧▽≦)ノ彡
押し倒して心肺停止はマズイ ( ̄~ ̄lll)
律令制の下という意味では、少し近いものがあるのかも (*ノωノ)
和泉の場合は (*´-ω-`)・・・ 純愛路線でもドタバタですけどw
政争も何も思いつかなかったので、スキャンダル的なネタで逃げましたーーーw
このまま夜這いしたら・・
行け―!!和泉ちゃん!!
既成事実を作ってしまえー!!!!
と思ったけどそうはいきませんよね^^;
和泉ちゃんにしてもやっぱりちゃんとうっちゃんが来てくれる方が嬉しいだろうし・・
帝や中将もきっと色々加勢してくれるはずだし
お二人の晴れての祝言(とはこの時代は言わないか)読みたいデス♪
思い深く、行動力あり、かわいく面白い美人に愛されて果報者w
一生退屈しないw 写経より楽しい
空木宮様がどうでるのかワクワクです。
ロマンスの予感❤︎^。^
闇雲に、宮様をお慕いしてたわけではないのですね。
宮様、和泉ちゃんをしあわせにしてあげてね。
勘違い宮様、頑張れ!
たとえってー(´・ω`・)エッ?
襲って押し倒したら心肺停止よー うっちゃんよわよわ星人
たとえうっちゃんでもこの恋は成就させてあげたいね
うんうん ロマンチック路線をひた走ってくれそうで 大期待❤︎
ひたすらドタバタ路線を突っ走てたのが
おかげで純愛路線(´☯ω☯) ゚。✧に戻れるかもー(*´艸`*)ァハ♪
(@⌒ο⌒@)b ウフッ
すごく面白かった!
そうか、和泉様は宮様とそのような過去がおありなのねー。
それは運命ととらえてしまうような出来事ですね。
>空木宮様がご自身の行く末をそのように望まれるのであれば、和泉もどうぞ、お連れ下さりませ。
和泉ーっ 言ったー!
それはそれは素敵なセリフだ。
私も書こう。
でも眠い。
いろいろ悩んでるんだよねぇ。
でもこの話の前だよね。 うんうん。書こう。
そうですよねーすみません。
この前の話しは、ネコ衛門さんの ↑ 夢の浮橋 其の捌から続きます。
話がすっとんでってまだわけわかんない。
続きを先に見なければ