自作の掌編小説 ー 『コロナ探索犬』
- カテゴリ:小説/詩
- 2020/07/24 23:18:53
『コロナ探索』
国会で記者会見があった。
「このコロナ探索犬を使った探索方法は画期的です。検査の行い辛い潜在的なコロナ感染者を根こそぎ発見します。このしつこいコロナ感染を一網打尽にし...」
国はコロナ感染に悩まされていた。コロナウィルス蔓延から1年半、コロナ感染者の発見そして隔離、治療のいたちごっこが繰り返されていた。
経済にも影響は大きく、決定的な対策が見つからないと国の転覆が起こると口々に噂されていたし、それは火を見るより明らかだった。
そんな最中、解決の打開策が見つかったと政府は息巻いて記者会見を行った。コロナ探索犬によるコロナ感染者の早期発見が可能だと言うのだ。
「犬の嗅覚はヒトの四千倍〜六千倍あり、コロナ感染者の出す微妙な匂いを見つけ出し...この画期的な対策で...そして今、このコロナ探索犬を二千頭用意して...」
巷にはこのコロナ探索犬の号外のニュースが流れ、人々は疲れた眼をニュースに向けた。
「コロナ探索犬ねぇ」「そんなんで簡単に見つかるものかねぇ」「また税金の無駄遣いじゃないのか...」
「明朝九時より二千頭のコロナ探索犬を探索エリアごとに割り当て、コロナ探索を開始します...」
探索犬の活躍が始まった。
朝、ジョギングしている人。通勤、通学をしている人に探索犬は吠えた。そしてPCR検査をすると陽性反応が出た。
「都内で三千人、コロナ感染者が発見されたらしい...」「でもコロナ探索犬で見つかった感染者の処遇は酷く乱暴で、まるで犯罪者の様に粗雑に扱われるらしい...探索犬を育てるのに予算を当てたので隔離、治療にまで予算がまわらないそうだ」「ふん。今まで感染して皆に迷惑をかけてたんだ。粗雑で乱暴なくらい当然だ!」
コロナ探索犬の活躍は見事だった。一週間経った頃には、新たなコロナ感染者は五人位しか出なくなった...国民に笑顔が戻りつつあった。
おお、コロナ終息か。。。
コロナ探索者はコロナ探索犬に餌を与えていた。そしてもう終盤を迎えると思えるその朝、コロナ探索を今日も始めだした。
コロナ探索犬はぐいぐいコロナ探索者のリードを引っ張った。
こんなに強い反応!まだいたのか!
探索犬は今までにない凄い力で探索者を都心へと引っ張る。
探索者に無線が流れた...どの探索エリアも同じく、探索犬がぐいぐい都心に向かって引っ張って行くとのことだった。
こんな都会のど真ん中に未発見のコロナ感染者がまだいたとは...
探索者は唾を飲み込んだ。
そしてコロナ探索犬は都会のど真ん中に集まって一斉に吠えた!
探索者は唖然として口を開けた。
吠えた先には国会議事堂があった...
https://gigazine.net/news/20200728-dog-covid19-scent/
これ23日のむらさきさんのコメントに気の気いたレスをしようとしたら、掌編小説になりましたwww
都会の真ん中という表現を変えて少し工夫が必要ですね。
どもです。
都会のど真ん中っていうと、銀座みたいにビルが密集している印象があるんですけど。
国会議事堂は、ビル街から離れてて、むしろ皇居の直ぐ側で建物はぽつりぽつりしかないんですよね。
「銀座から離れていく、日比谷公園も通り過ぎて、建物もまばらになってきた。と、思ったらお札で見たことがあるような建物が、・・・」
とか。Google Mapでご確認ください。
たまたま国会図書館に行ったことがあるので、ロケーションを知っていたので。