【源氏遊び外伝】 対面
- カテゴリ:自作小説
- 2020/06/28 22:04:18
これは、るーしぇさんの 曹達 其の陸 の後日です。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=163987&aid=68959206
ミュ☆ミュさんの 式鬼「雪姫(せっき)」4話 の阿鳥side~後日です。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=514281&aid=68968046
さらに、ミュ☆ミュさんの 外伝に繋げる小話 深雪 の同日の出来事でもありますw
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=514281&aid=68980382
◆
「そなた鬼に狙われる覚えはあるか?」
酒宴の最後に、白藤中将に問われる。
思い出すのは、雪姫と遇った日の鬼婆と、その数日後に遇った黒をまとった月鬼のこと。
前者は無差別のように思われたし、後者は、どちらかと言えば狙われたというより遊ばれた印象が強い。
そんなことを答えれば、今宵は外に出るな命ぜられ、白藤邸に一泊が決まっていた。
聞けば、羅城門から逃れた数人の検非違使が伝えた鬼と思しきものが、すぐ近くにいると言う。
「この白藤と、そなたにも関心があったのであろう。しばらく夜歩きは控えよ」
それでは雪姫に逢いに行けぬ。
素直に承服することなどできなかったが、その場は口をつぐんでおいた。
翌日、帰宅してほどなく陰陽師・賀茂保憲と名乗る客があり、父・高光の話、大津の大蛇封印の話。
さらには、己が身体に隠された如意宝珠の存在と、それを取り戻すべく鬼婆の姿で己れを狙っていること、
それによって都の安寧が破られる危険性が大きいと知らされ……。
その話を白藤中将に通すべく再び、阿鳥は白藤邸を訪ねる仕儀となる。
「そなた、本当に嬉しくないものばかりにモテるな」
呆れたような白藤中将の言に、思わず眉をひそめた。不可抗力である。
それでも雪姫と再会する前であれば、これ幸いと危険に身をさらしたかもしれないが。
今となっては、己れが危うい目に合えば、雪姫をも危険にさらす。
それは阿鳥にとっても避けたい事態である。
「そなたがいない方が、都は平穏かもしれぬな。……受領となって遠国へでも下るか?」
雪姫がともに行ってくれるなら……。白藤中将の話を聞きながら、阿鳥は思う。
ただ、それは人知れず遠くで殺されろと言われているも同義。
それも悪くはないかもしれないが、雪姫を巻き込む怖れがあった。今の阿鳥は雪姫を遠ざける気がないのだから。
もし阿鳥が殺され、大津の大蛇が本来の力を取り戻せば、都はどうなるだろう。
さらに、羅城門の鬼もいる。
こちらの正体は? 白藤中将は知っているのであろうか。
(おそらく、迷っているのであろうな、白藤中将様も)
くれぐれも身辺に気を付けよ。夜歩きはもちろん、余人との付き合いも控えよ。よいな。
と、珍しくも耳障りなほどの注意をくれた白藤中将にややウンザリしつつ、
阿鳥は宿直のために内裏に向かう。
◆
宿直を交代して午前一時。夜更けに出るなと白藤中将に釘をさされた阿鳥は、仮眠室にいた。
入眠の助けに、と酒の差し入れてくれたのは同僚の一人だ。
それを含んだとたん、炎に包まれたかのように身体が熱を帯び、阿鳥は支えきれなかった己が身を柱に預けた。
いったい何が……。それに答えをくれたのは、どこからともなく現れた雪姫。
「ふぅん・・・酒に混ぜた媚薬とな」
「……びやく……」
言葉の意味をすぐには理解できず、ただ己れを支える雪姫の手が甘い痺れを伴って、阿鳥を苛んだ。
「うちに帰ろう」
耳元でささやかれたセリフは、脳をとろかすように阿鳥を誘惑する。
雪姫にすがる己れの指に力が入ったのと、
青白い光に包まれ、視界がくらりと揺れたのが同時だったように、阿鳥には思えた。
その仮眠室での光景を物陰から見ていた二つの影があった。
「あれほど気を付けよと言っておいたのに……」
「同僚の不埒な行いまではさすがに予測不可能ではございましょう」
「さようなこと言い訳にならぬ」
疲れたように溜息をもらす白藤中将の隣で、雪姫に眠らされた男を見やりながら、深雪典侍は
「中将様も殿方に狙われたことが? それとも狙ったことが、ですか?」
ふふ、と楽しそうな笑いがもれた口元を隠す。
それに答えず、白藤中将は二人が姿を消した位置から目を離さず、
「追うぞ」
「えー? それは無粋というものでは?」
他人の睦事など見ても楽しくないし! 中将様にはノゾキの趣味がおありか?
と渋る深雪典侍を伴い、白藤中将は、青白い光跡を辿る。
着いた場所は木々に隠された古びた屋敷、さやさやとした葉擦れに紛れ、水の流れる音がした。
「賀茂川か…… ではここは阿鳥が手に入れた古宮の屋敷か」
「式鬼との逢瀬のための屋敷ですか? 悪くはないように思いまするが。でもここは……」
例の噂の場所からもそう遠くないような……。
自信なさげに小声でつぶやいた深雪典侍の声をかき消すように、
「あとりーーーっ」
悲鳴のような声が古屋敷の中から響いてきた。
◆
阿鳥は必死で媚薬に抗っていた。
短刀で己が腹を刺し、その痛みで薄れそうになる正気を保ちつつ。
震える己が手を身体を、雪姫から遠ざけようと試みたが、その意思に反して、
阿鳥の手も身体も雪姫を離そうとはしなかった。
「せっき……」
「あとり、無茶をするでない。すぐに治す。私に身を預けよ」
それでも阿鳥は、熱に浮かされているような荒い息を吐きながら、己れを雪姫から遠ざけようとする。
「嫌だ…… このような状態でせっきを抱くのは、嫌だ」
「あとり」
「……では」
突然の聞き覚えのない声に雪姫は顔を上げた。
「わたくしが傷を診て進ぜましょうか」
開け放たれた窓とは別のところで風がうずまく。
危険は感じなかったが、人とも妖とも異なる薄い気配に、雪姫は警戒をあらわにした。
「誰じゃ」
柔らかな微笑みを浮かべ阿鳥に手を伸ばしたのは、深雪典侍であったが。
雪姫に熱いまなざしをくれながら、阿鳥は横から伸びてきた手を無意識のままに払う。
「あとりに触れるな。私が治す」
雪姫は阿鳥を守りながら、すぐさま阿鳥を青白い光で包む。
それでようやく阿鳥の荒い息や苦し気な様は徐々に収まっていくようであった。
「なんじゃ深雪、そなたのほうが無粋ではないか」
雪姫の警戒をものともせず、場違いなほどのんきな声で白藤中将は深雪典侍をいさめ。
いまだ雪姫にしがみついたままの阿鳥を見やり、
「明日の夜、再び訪ねる」
「……貴方様は?」
「それまでこの古屋敷で大人しくしておれと阿鳥に伝えよ」
雪姫の問いには答えず、白藤中将は言伝を残し、深雪典侍とともに姿を消す。
急激に薬を抜かれたせいか焦点の合わない、ぼんやりと目を、それでも雪姫に向けていた阿鳥には、
そんな言葉も光景も意識には入っていないようであった。
源氏遊び 特設ライトニング https://writening.net/page?emzkkR
式鬼・雪姫 ミュ☆ミュさん
じじぃ陰陽師・賀茂保憲 黒沢大和さん
鬼婆(万代)・大津の大蛇 ☤ネコ衛門☤さん
白藤中将 ロワゾ―さん
深雪典侍 ミュ☆ミュさん
藤原阿鳥 和.com
今回、阿鳥は良いところナシです。
せっかくの媚薬盛られたおいしいシチュエーションでしたが……。
レドなら、このチャンスを有効活用しただろうが、阿鳥には無理でした。ラブラブは後日w
「✿外伝・雪鳥物語✿」というコーナーに
こちらのお話を挿入させていただきたく
ご挨拶に伺いました。
画僧と文章を転載させていただくことを
お許しいただければと。
どうぞよろしくお願い致します。
あー ダメとか言われると悲しいかも。
いいよって言ってねー- ̗̀(๑ᵔ⌔ᵔ๑)
源氏遊びの公式ブログを更新しました。
https://genji2017.blogspot.com/
15名追加。
特設サイトは別途用意する予定です。
雪姫とのラブラブ路線は変わらないんですが、その他の要素がねぇ…… 難題ばかり。
このまま内裏で近衛を続けるのも難しいかもなぁ。
都の安寧の要とも言えるので、ここは踏ん張って、頑張らねば。。
殿方からの媚薬‥受難ですな。
そのうち、雪姫と❤❤してね。
でも艶っぽい関係じゃなくとも、この二人は今のところ夜しか会えないからw
常に「明けるのが惜しい夜」だと思うな。
逆に障害があった方が燃えるってこともあるから、
想い想われ、って意外に難しいかも?
……雪姫ってマイナスモテか?
和泉に追いかけられる宮様のほうが、マイナスモテか? (@_@;)
たまには、こういうのがいてもいいんじゃないかな~とw
阿鳥っぽいと私は思っているんだよねー (((o≧▽≦)ノ彡
宮中女官がふらふらと出歩くのに、幽体離脱は便利よね (*ノωノ)
雪姫は可愛いよ。正直、阿鳥にはもったいない気もする ( ̄~ ̄lll)
何でも知っている白藤、便利なおひと。
深雪が幽体離脱を会得していたら、それを確認がてら、阿鳥の周囲で動くモノゴトを見よう
と思ったら、大当たりの日だったというwww そんな感じかな。
今回の白藤はちょっと過保護 (`∇´ ) ニョホ
想う人には想われず思わぬ人に思われる
かも(^_^;)
いるよね、ストーカーやモラハラ野郎引寄せちゃう人(>_<)
あとりさん、そこは据え膳食っておけばいいのに
そうしないところが雪姫ちゃんが惚れた所以なのかな。
このまっすぐさも素敵だなぁ。
>せっきはせっきでマイナスモテな気はすw
いいんだもーん。
あとりだけが愛しいんだもーん。もてたくないもーん。
深雪ってば幽体離脱できたんだ。
と そこへひょっこり深雪とか(´゚ω゚):;*.:;ブッッッ
白藤君は阿鳥を見張るために深雪ちゃんに幽体離脱させたのかー
平日改めて読みにきまーす❤︎
白藤から帝にも速攻、伝わるだろうし (。-‘ω´-)ンー
かといって、ヘタに人を動かしたら、万代の部下を増やしそうだし、
曹達をパワーアップさせるし。
まずは情報収集して、情報を共有して…… ってところかなぁ。
それと阿鳥、どこに置いておく(または隠しておく)のが正解かなぁ ( ̄~ ̄lll)
>ただ、それは人知れず遠くで殺されろと言われているも同義。
そうなんだよね。
それでもそのあと鬼婆がパワーアップして都を狙うかもしれないし
曹達もいるし、ここは戦うしかないんだよー。
いろいろ片づけなくちゃー!!!
うわぁ 続きが楽しみすぎる!!!!
すっごいおもしろかったーーーーっ!!!!
>「あとりに触れるな。私が治す」
がるるるる ってなってる雪姫が見える様です!!!