日本百名山 ~BSプレミアム~ ①
- カテゴリ:レジャー/旅行
- 2020/06/23 13:20:28
こんにちは!九州から東海、北陸はおおむね晴れるが、にわか雨も。
関東と東北は低気圧の影響で雨が降りやすい。北海道は大体晴。
沖縄は曇りの地域が多いようです。
天城山 - 伊豆 水めぐるブナの山 -
*2018年6月に放送したものです。
伊豆半島南北に連なる天城山 伊豆の最高峰が万三郎(ばんざぶろう)岳です。
標高1406mの頂きを山の北部から目指します。
伊豆箱根登山鉄道 修善寺駅から南へ バスで狩野川(かのがわ)を遡ります。
小説「伊豆の踊子」の舞台となった下田街道を行きます。
(伊豆東海バス)に乗車しおよそ40分程で道の駅 天城越えに到着。
バス停は道の駅 天城越えの目の前です。バス停は昭和の森会館です。
ここでガイドさんと待ち合わせ。
*撮影:5月中旬
ガイドさん 天城自然ガイドクラブ 土屋光示さん
天城山の麓、河津町に暮らす土屋光示さん
10年程前まで旅館を営んでおりましたが、天城の自然に魅せられガイドに転身、
仲間と共にガイドクラブを立ち上げました。
土屋さん「天城というのは❝雨木❞と書くこともあります。水と天城というのは
密接な関係がありましてね、今回は渓流の美しさを見ながら天城の頂上を
目指したいと思います。稜線上に行きますと息をのむような美しいブナ林が
続いているんですね」
初夏の天城山を巡る1泊2日の山旅。まず川沿いの遊歩道を辿り、
渓流の美しさを堪能。天城峠のトンネルの脇から本格的な登山道に入る。
1日目は絶景の広がる美晴台まで登り、八丁池口へ下山。
翌日、八丁池の畔(ほとり)からブナに覆われた稜線を縦走する。
天城山だけに咲く「シャクナゲ」を楽しみ最高峰万三郎岳を目指す。
下山は天城高原へ 全長25km 中級者向けのルートだ。
朝9時出発、道の駅から遊歩道に入る。「踊り子歩道とあります」
伊豆の踊子にちなんで付けられたんだ。
歩き始めてから15分、川沿いに出た。初夏のせせらぎ気持ち良いですね。
「これぞ伊豆の渓流日美って感じですね。新録と渓流、ベストマッチですね」
ここが狩野川(木谷川)の源流部。天城山から北に50km下る。
駿河湾へ注いでいる。
「わぁ、凄く冷たいですよ」
水温はおよそ10度。山から湧き出た水がここに集まる。水量も豊富だ。
「年間の降水量が半端じゃないんですよ。大体4000mmぐらい降りますね。
これは日本の平均降水量の2倍以上です」
山に降った水をたっぷり貯え、天城山は水の山なんだ。
「綺麗な淵が見えてますね」
うわぁ、水が澄んでますね。淵の底まで良く見える。
「魚が見えないかな?」
あ、影が動いた。
「アマゴですね」
雨の魚とも書く雨魚(アマゴ)。雨が降ると良く釣れるそうだ。
出発から1時間半、この先、沢を離れ山中へ入っていく。
石段の先で半島を南北に貫く下田街道の旧道に出る。天城峠へと続く道だ。
この先に小説や歌にも登場する「天城越え」の名所がある。
「川端康成作「伊豆の踊子」がこのルートなんですね」
ここが川端が小説の冒頭で描いた場所。伊豆の踊子で主人公たちが
歩いた道を僕らも辿っているんだ。
道がつづら折りになっていよいよ天城峠に
近づいたと思う頃
雨脚が杉の密林を白く染めながら
すさまじい早さで麓から私を追って来た
『伊豆の踊子』より
川端は急な雨に出くわしたんですね?
「さーっとね私雨(わたしあめ)が来たんですよ。聞いてください、
私雨って何ですか?って。天城特有のにわか雨のことなんでしょうね」
自分の周りにだけ降るような局地的な雨のことらしい。
川端は「天城はいつも私雨の中にいる」
いよいよ天城峠だ。
「旧天城トンネルが見えてきましたよ」
天城山を貫いて伊豆半島の南北をつなぐトンネル。
「もう昔は大変なきつい山道を越えなきゃいけなかったんですけれども、
このトンネル、明治38年に開通したんですね」
@旧天城トンネル 710m
踊り子たちもここを通って天城越えをしたんですね。
川端康成は「天城越えこそ伊豆の旅情だ」と言っています。
トンネルの先は潮風薫る伊豆の南側だ。
「今から行くところは太平洋が一望です」
トンネルの脇から、さぁいよいよここからが本格的な登山道だ。
「ここからずっと山道になりますね」
屋根まで一気に標高差100mを登る。この辺りがさっきのトンネルの
上なんだ。(天城峠)
「はい、こちらに巨木が見えてきました」
わぁ、随分と大きい木ですね。
「これが天城のブナです。天城の象徴と言ってもいいと思います。
周囲が4mあります」
樹齢は300年を超える。標高700m以上の所で見られるブナ。
豊かな水の山「天城山」の代表的な樹木だ。
「天城でもベスト10に入るブナの木ですね。こういう大きな木に
挨拶をしに歩くというのがわたしの楽しみ方ですね」
この辺りの森の見所がもう1つあるらしい。
「こちらにヒメシャラの大木が見えてきました」
樹皮が剥がれ落ちスベスベになった木肌。
「首ぐらいの太さでも数10年かかる。これだけの大きさになるのに
相当な年月がかかると思いますね」
ヒメシャラはゆっくり大きくなるんだ。
土屋さん何してるんですか?
「ああ、これね、このヒメシャラね、わたしは妖怪に見えるんですよ。
ここが目なんですよ。上にまつ毛があって、これが鼻。口が大きく
開けてるかな。これが手がずうっと伸びているような」
見えてきました、妖怪に。木にはいろいろな表情があるんだ。
ヒメシャラは椿の仲間。すらりとして清楚な感じがしますね。
「ブナがどっちかというと苔むして男性的な感じがするので、まあ、
天城の主演男優がブナであれば、ヒメシャラは主演女優かなぁって思っています」
土屋さんにとって天城の森はイメージを膨らませてくれる劇場。
「あ、ちょっと見てください」
今度は何だろう?
「主演男優と主演女優が抱き合っています」
そう言われれば寄り添うように育つうちにくっついてしまったのかなぁ。
「ヒメシャラ自体は関東より南しかない。だから割と暖かいほう。
ブナってのはちょっと寒いところ。ブナとヒメシャラの混生林が
見られるところは割と少ないんですね」
箱根より西の山でしか見られない森の風景。ブナとヒメシャラの共演を
楽しみながら歩く。
出発から5時間、標高1200mまで登ってきた。
「おお、凄い、こんなに咲いてくれてる。トウゴクミツバツツジ(赤紫色)
ですね。素晴らしい花つきだ。枝先までびっしり花付けた
トウゴクミツバツツジ。関東の山に多いことからこの名が付いたという。
見頃は僅か10日程。森を鮮やかに彩る。いよいよ今日の目的地見晴台へ。
どんな景色が見られるんだろう。
「お疲れ様でした。見晴台に到着しました」
海ですよね?
おお~、太平洋の大海原が広がっている。伊豆半島の南にある下田もすぐそこだ。
この海からの風が天城山に雨をもたらせているんだ。
「こちらぐるっと見てください」
森の中に池だ。
「八丁池です。天城の瞳という別名があります」
明日はこの池の畔から最高峰 万三郎岳を目指す。
誠に勝手ではありますが1日目の山旅はこのあたりに致します。
次回2日目山旅はこちらの八丁池から山頂を目指しての予定です。
どうぞよろしくお願いします。
本日は昨日に比べまして気温や湿度が高い地域が多いかもしれません。
どうぞご体調にお気をつけながらお過ごしくださいませ。
どうもありがとうございました。
ももさん、素晴らしい表現ですね。今回でいいますとブナとヒメシャラですね。
こちらのお山はとても山頂までの中腹に美しい緑の深い森が映像で出ましたよ。
伊豆は外側の海岸線も一蹴したことがありますが中伊豆も素敵ですよ。
冬は相当冷え込んで雪も降ります。