【源氏遊び外伝】 式鬼を乞う
- カテゴリ:自作小説
- 2020/05/07 21:03:04
これは、ミュ☆ミュさんの 外伝:式鬼・雪姫(せっき)↓ の後の話になります。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=514281&aid=68762413
◆
「まさか鬼にまで夜歩きを咎められるとは……」
式鬼が消えた場に視線を定めつつ、そんな言葉が口をつく。思わず苦笑し、阿鳥は身を起こした。
荒れ屋の隙間から陽がうっすらと差し込み、その場に満ちる。
わずか数瞬前のことでしかないのに、かの存在がまこと現世の出来事だったのか。
それとも、もとより光であったのか。
それさえ覚束なくなるようで、阿鳥は記憶を手繰りよせた。
阿鳥の記憶は苦もなく、かのものの姿を思い描く。それほど鮮烈な記憶であったのだろう。
美しい式鬼であった。
白と赤紅の神楽装束をまとい、雪のような髪を持ち、紐飾りが巻きついて、
そしてやや臙脂色交じりの角が異彩を放つ。
だが、その姿は角があってさえも儚く、なよやかで、首に触れた指は細く頼りなげであったが。
それでいて手は温かく、瞳は強く、底の知れない深さを感じさせた。
その瞳から、消え入る間際に流れた涙の……。
あの涙は何だったのであろうか。
阿鳥が名乗ったことに驚いたようではあったが、何らかの感情のゆらぎによって流れた涙とは思えない。
そのようにして繰り返し繰り返し辿れば、
やがて、十幾つもの鬼婆に囲まれ、幾つかは斬って捨てたものの無数の爪で刻まれ、
地に倒れ鬼婆にまたがられ、身の上で舌なめずりをする鬼婆の醜悪さにおぞけを震った記憶まで甦る。
その一方で、阿鳥の記憶が、これもさだめかと鬼婆に身をゆだね生きることを諦めた、
己れの情けなくも無様な姿にたどり着くと、
あれを、かの式鬼に見られたのかと、どうしようもない羞恥が襲い来る。
同時に、救われたのだと、ようやくも腑に落ちた。
にも関わらず、礼のひとつも言えずじまいであったことが、何とも悔やまれる。
「……なぜ私は怖ろしく思うておらぬのであろうな」
姿がどうであれ、人の身からすれば鬼婆とさほど変わらぬ、妖であるものを。
美しい見掛けに誑かされたか。あの涙に惑わされたか。
自問自答するも、その答えを〝是〟とすることは受け入れ難く思えた。
◆
陽が昇りきり、身なりを整え再び足を運ぶと、
昨夜の荒れ屋は、夜明けに見たよりも質素で、ずいぶんと慎ましく、哀れな姿であった。
調べてみれば、今上帝の御祖父にあたられる先々帝が、ただの宮であった時代、
先々帝と東宮の座を争い敗れた、忘れられし古宮の屋敷と知れる。
血縁は確か、どこぞに嫁がれた姫宮がおられたはずだが、いまだご存命であろうか。
阿鳥は、その屋敷を手に入れたいと、白き藤がごとき貴公子を頼る。
「その酔狂さ、たいそう好ましい」
揶揄含みで笑う白藤中将に借りを作ったことは、阿鳥としては舌打ちしたいほどであったが、
それでも、その酔狂の理由を何故と問わずに引き受けてくれたことに胸をなでおろす。
「そなた、変わったな」
「……? 中将様の目にはさように映りまするか」
「人形が人になったほどに」
「異なことを。私は生まれた時から人でございます」
そう返したものの、人形のよう… という比喩は、ひどく的を得ているようで阿鳥は苦笑を禁じ得ない。
白藤中将は含み笑いを浮かべ、
「そなたを〝人〟にしたのは、どのような女であろうな。惚れたのであろう」
問うているようでいて断じているようであり、それでも白藤中将はそれ以上語らなかった。
ただ、好奇の視線を投げかけられたことに、阿鳥は、鬼婆に襲われた時とは異なる、恐怖を覚えた。
◆
『美しい顔をしておるな。鬼婆共が欲しがるわけじゃ・・・』
式鬼の言葉が頭を過ったのは、荒れた古宮の屋敷を手に入れ、申し訳程度に内部を整え、
ひとり月を眺めている時であった。
この顔が危難を引き付けるなら、また鬼婆に殺されかければ逢えるだろうか。
そんな思いで阿鳥は夜歩きを繰り返す。
己れの顔は、それほどまでに釣り餌として優れているのか。
阿鳥は今宵も、襲い来る奇異な姿の妖を引きつけるだけ引きつけ、懐に入り込み無防備な胴を割った。
大した意思を持たない妖の、直線的な動きを見切るのは容易い。
徒党を組んで襲う人である身の賊よりも、妖は個の力は強いが数で押してくるのは稀であり、
ひとつふたつなら、死ぬほどのことにはならないであろうと思いつつ。
それでは逢えないという矛盾に、忸怩たる思いを抱える。
(せっき…… 逢いたい)
妖を斬って捨て、阿鳥はやや上がった息を整えた。
どこかで遠くで、鳥なのか妖の叫びなのか一瞬、カン高い音が聞こえたが、すぐに静寂が戻ってくる。
残るは、薄雲が少しばかり掛かった欠けたる月と妖の血の匂いと、そして
「愚かなことをしているのであろうな、私は……」
阿鳥の声が溶けた闇ばかりであった。
~共有物語企画~
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
式鬼・雪姫 ミュ☆ミュさん
白藤中将 ロワゾ―さん
藤原阿鳥 和.com
そして、ふたつ前に私が書いたブログ ↓ は時間的には、このしばらく後になります。
名もなき公達改め藤原阿鳥
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=180002&aid=68758456
このブログが青背景だったから今度は赤にしてみたけど ( ̄~ ̄lll) どっちかっていうと、青の方がキレイかもな~。
「✿外伝・雪鳥物語✿」というコーナーに
こちらのお話を挿入させていただきたく
ご挨拶に伺いました。
画僧と文章を転載させていただくことを
お許しいただければと。
どうぞよろしくお願い致します。
あー ダメとか言われると悲しいかも。
いいよって言ってねー- ̗̀(๑ᵔ⌔ᵔ๑)
相手はどこにいるのかもわからない鬼だからねぇw
歌を詠んだところで、それって鬼にも有効な手段かどうかわかんないし。
結果として大正解だったと思うー。
https://writening.net/page?emzkkR
お話ごとにまとめないとわかりにくくなってきたので
仮題で「外伝・雪鳥物語」ってつけといた^^
みたいなー( ´∀`)❤︎
ここ笑う場所じゃないけど、笑いました。ごもっともです! まさに正論。
が、試す余裕もないんですよ!
…… ということにしておいてくださいw
和泉とは方向性の違う恋する阿呆ということでw
夜中にそっと呼ばわる、とか、文を残す、とか普通の手段から
ためしたらいいのに??
さすが、鬼種族に大人気なのは、美しい顔のせいばかりでは
ないんだなぁと納得(笑)
確かに逢うすべもなく、同じ状況になれば、また助けてくれるだろうと言う健気さは買いだけれど、
本当に妖怪に寄ってこられるんだw
愚かさこそ、恋する乙女じゃなくて、恋する阿鳥様❤
白藤中将は、絶対面白がってるw
エメ様相変わらずの耽美さ❤
ウチの、きゃるっとした匡刻は13歳で元服済にしたけど。
(。-‘ω´-)ンー 14~16歳くらいまでは元服しなくとも、大丈夫そうじゃね?
ちなみに如雪は14歳で、深雪は16~18歳くらいで和泉と同年代!
私は23~25歳くらいだと思ってた! 現代年齢ならもっと上かと (*ノωノ)
この時代元服が早いんだよね〜
るーくんとこで初出演らしいです
いってこよ〜^。^
海千山千の白藤さんは20代後半入ってると思ってた。
宮様18歳、和泉17~18歳、帝は23~24歳くらいだな。
了解~ (●ゝω・)ノ
グロもエロも耽美もやらん !(o ̄^ ̄)o
夜歩きにもハリが出ることでしょう!
自爆体質、とまではいかないけど、自分を餌にするあたり変だな、阿鳥もw
喰い殺される前に助けてもらえるといいよね (*ノωノ)
いきのいい男は魅力的だからねw
きっといい男になるよ (●ゝω・)ノ 希望的観測含むw
鬼婆の定義はよく解らないけど、
再度、喰われそうになったら助けてくれるのを期待して、
せっせと自分を釣り餌にしています ヾ(--;)ォィ
帝のほうがそんくらいかも
そして諸説あることにしておく
ぐろえろギャグ笑ったwww
ここ表現かっこいいな。
>「そなたを〝人〟にしたのは、どのような女であろうな。惚れたのであろう」
ここもいいなぁ。
その前に鬼婆に喰い殺されないようにね。
早く会いに行ってやってー。
男も恋するとフェロモン出るのかなー
としたら雪姫ちゃんに恋した今阿鳥さんもっともっと綺麗な顔になってるはずなので
鬼婆さんたちほっとかないはず!
でも、また鬼婆に襲われたとして雪姫ちゃんは再び助けてくれるのだろうか・・・
響の中の鬼婆のイメージは般若面なんだけど蛇なのか・・
般若面とは違いそうかな。
無理 _(L〃_ _)ノシ バンバンバン‼
っていうかさ~エメラルドさんの ↓ これってエロ耽美じゃなく、
どっちかっていうと~ グロ混じりなエロ じゃね?
ダメだー
ツボったー((((((((((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ
どーしてこーなるwwww
↓これはこれで美味しいwwww
大蛇らしいよ、ネコさんによると。
半身蛇のばばぁ妖怪に巻き付かれ、片膝を持ち上げられ嘗め回され……とか言わないでね?
なぜミュ☆ミュさんちでラブコメ期待~的なコメントを残して、ウチでコレになるんだ?
ってか、ほぼ流れが完成しているじゃんw
ばばぁの舌に嘗め回されて、式鬼に助けられたんか? 立つ瀬ないじゃん (((o≧▽≦)ノ彡
ネコ衛門さんに股がられたところから耽美エロ場面転がして やり直してー๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐
「ひひひ 美しいおのこじゃ」
破れ屋の暗がりにふつふつと浮かんだ丸い背中
白くぼうやりと月に蠢く
闇が深すぎて良く見えぬ
阿鳥は目をつぶった
剥かれた裸身を這い回る無数の口が冷たく濡れて阿鳥を責め立てる
生臭い
死んだ蟹が泥に混じって腐った匂いだ
なぜこうなったのか
阿鳥は閉じた目の内側で迫る恐怖に晒されてゾォッと凍り全身泡立つ嫌悪に生々しく掴まれた
「みぃつけた あはぁ えぐぁ うふぅ」
屍肉に湧いた蛆がごとく女たちが群がりよりて阿鳥が肉をなめずる、おぞましくもあさましき狂乱の宴であるにも関わらずビクビクとつい体が反応する
そそけ立つ乳首に冷たい泥がねっちりと絡みつく、老婆の舌である
↑
こんな感じー
あ~これはあるかもしれないなぁ。
とはいえ京もそう広くないし、山もそびえる高い訳ではないはずだし。
町との行き来も、さほどではない、って感じかな。
政争に敗れた古宮が中心を離れてひっそり暮らした別邸だから、
そのほうが合うと思う。
そか。来てくれているのか。それを知ったら、喜ぶだろうなぁ。
だって自分のこと待ってるとか全く思わないでしょ?
どこぞの姫と密会だと思うじゃない?
阿鳥様の姿を探してるに違いないよ。
あの家にときどき来てることも見てるし
町中で妖と戦ってるところも見てるけど
出て行くタイミングがわからない。
そもそも逢いに行く明確な理由がない。
阿鳥様があの家で誰かと待ち合わせしてると思ってるからね。
あぁ、そうかぁ・・・って思ってしんみり帰るんだと思うよ。
人間だけど多少異端であったがために〝鬼〟と定義づけたのもニンゲンだし?
最も危険なのが、フツーの顔をした人間です、的なのもアリだし?
出来れば回避したい回答ではあるけど (*ノωノ)
鬼婆にけしかけるって…… ふむ…… なるほど ( ..)φ メモメモ
でも少しの時間、顔を合わせるくらいなら、さほど問題にはならないよね。
荒れ屋に阿鳥が時々来ているのを、雪姫は知っているだろうか?
中身までか弱かったら、この話は成立しないよーーーw
かっこいいシーンは頭に浮かんだけども
儚げな美女・・・じゃぁないな。
うむむ 問題は儚げでか弱い女を書けない私の性格かー
じさまが死ぬか、契約を解除してくれれば
あとは自由かもしれないね。
今は、じさまが死んだら自分はもう用済みだから
どっかでのたれ死のうと思ってたけど
お会いしたいと願ってしまったからには生きよう。
じさまを鬼婆にけしかけるのもありだなー。
鬼婆に何度も襲われたり喰われそうになっていいんだ!!!
その一方で、逢いたい~と叫んでいればいいんだ!
うん、解った (;ˉ ˘ ˉ) エ?
公達と式鬼じゃどうにもならないかもしれないけどw
別に彼女見せびらかす時代じゃないから、どーとでもなりそうな気もするな。
都にいるのがヤバくなったら役人から受領に転職して、
どこかの地方に行って、二人でひっそり暮らせばいいよ (;ˉ ˘ ˉ) エ?
全く会えないのも寂しいよねぇw
そりゃーーーメンドーそうだわ。
首しか残らなかったから、自分の胴体を探して
京の町をさまよって 適当な人間みたら首はねて胴体もらうんだろうな。
で、これじゃなーい ってまた次の胴体を探して人を殺して歩くのじゃな。
雪姫も同じ月を見ながらため息付いてるのだろうな。
そもそも公達と式鬼じゃどうにもならないものね。
しばらくは逢いたいのに逢えないほうがいいか。
こら しつこいわな(o゚∀゚o)♪
あたしが襲ってあげなきゃあのコに会えないわよ(@⌒ο⌒@)b ウフッ