【源氏遊び】 不機嫌な内裏
- カテゴリ:自作小説
- 2020/04/28 23:28:34
これはネコ衛門さんの 【源氏遊び】夢の浮橋 其の参 ↓ の 内裏Side の話しです。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=48178&aid=68728689
そして時間的には私の 【源氏遊び】 左近桜の前で ↓ の後日です。
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=180002&aid=68614934
「黒髪の 乱れも知らず うち臥せば まづかきやりし 人ぞ恋しき」
髪の乱れにも気づかずにいたら、いちばん恋しい人が、そっと撫でてくれました。きゃっ♥ by 和泉式部
目線のかなり先にいる空木宮に見惚れつつ、頭の中で妄想を膨らませているらしい和泉に、鏑木衛門佐は
「あるわけないでしょう、そんなこと」
冷たい声を降らせた。
きょとんとした顔で振り向いた和泉に、「本気で夢を見ているなら救いようがない」 と追い打ちをかける。
「ずいぶん不機嫌ですね、鏑木衛門佐様。失恋でもしましたか?」
苛立ちを言葉のつぶてに変換してブン投げているのに、全く通じていない。
それどころか、あまりにも見当違いな問いかけに、「失恋などしていません!」 と返せば。
「失恋する相手もいないんですか? それはお気の毒に」
心底憐れむような、痛ましいものを見るような目を向けられ、鏑木の腹立たしさは増す。
発端は過日の、深雪典侍に理不尽にも割り振られた和泉のなだめ役であった。
宮様に会いたいと泣くわゴネるわ……の和泉があまりにも鬱陶しくメンドーだったので、ついウッカリ、
『後でこっそり空木宮様の出没スポットを教えますから』
と安請け合いをしたばかりに、顔を合わせる機会が増えた。
その上、相手は衛門府所属の鏑木ほど洛中の地理に通じていない和泉である。
もっと細かく! と地図を書かされ、それでも解らん! と呼び出され。
あろうことか夜更けに道案内までさせられる始末。
おかげで内裏では、鏑木が和泉のもとに通っているという噂まで聞こえ始めている。
それを初めて聞かされた時、鏑木は、比喩でもなんでもなく頭を抱えた。
和泉の常を見ていれば、空木宮以外に興味がないのは一目瞭然! 噂が嘘であることなど容易に知れるが。
それでも、鏑木にとっては建設的な意味のカケラもない、無駄な疲労ばかりが蓄積していく。
それもこれも…… とばかりに鏑木は、キッと和泉を睨みつける。
その視線の先には、桜の下、色づきはじめた薄紅の蕾を愛しむように指先で触れる空木宮が見てとれた。
かなり遠目であったが、微笑んでいるようでいて
「どこかお寂しそうですね」
口にするつもりのなかった感想が、自分の声として耳に届く。
視界の端で和泉の肩がピクリと揺れような気がしたが、和泉は振り向くでなく、何かを言うでもなく……。
空木宮に目を向けたまま、それきり動かなかった。
◆
「至急、帥和を呼べ。東庭の河竹台のそばで待てと伝えよ」
今上帝はそう言ったきり口を閉ざし、脇息に片肘をついて頬杖をつき。
不機嫌を絵に書いたような表情で他者を怯えさせている。
「何かお気に召さぬことでも?」
恐る恐る声を掛けた深雪典侍の問いも聞こえているのかいないのか、扇を開いては閉じ開いては閉じ。
ことさら不機嫌を強調しているような有様で、
それは帝自身の苛立ちをも、いっそう駆り立てているようであった。
目の前には、一通の文がある。過日、和泉命婦が持ち帰ってきた空木宮の返事。
たとひ中陰に在りと雖も
即ち影と成りて必ず参らん
その一文は帝の不安を掻き立てた。
謙虚なだけでも罪悪の感情に苛まれているだけでもない、空木宮の心の中にある、帝の知らない何か。
それがこの返事を宮に書かせたのであれば、このままそっとしておいて良いとは思えなかった。
『和泉命婦、そなた空木宮邸に出向して仕えてはくれぬか』
そんな不安が、この一言を帝に告げさせたが…… その直後、異様に目を輝かせる和泉を見て。
『お任せください! この私が全力で以って空木宮様をお幸せにしますっ』
……帝は己れの失態を悟った。
拳をぐっと握り (よっしゃぁぁぁーーーっ) という副音声付きで、その拳を強く己れに引き寄せる女に、
無駄にテンションが高く、物の怪の如き前向きさで猛進する女に、
あの弟宮が、心を開くとは到底、思えない。
ならば……。
帝は、河竹がしなやかな葉擦れをささやく清涼殿の東の庭で、和泉命婦の兄・大江帥和に助言を求めた。
いい知恵があったら貸せ、と。
「男装して行け、と命じれば宜しいかと」
帥和はこともなげに言う。
アレはそれなりに従者の真似事もできますし、男の姿ならば宮様に言い寄るようなこともしますまい、
ついでに新緑の宴では、女の姿で空木宮に会わせると約せば、カンタンに転がせましょう、と。
空木宮にとっては確かに、その方が良かろう、と帝は帥和の助言を受け入れた。
そうして、和泉命婦を呼び、ひそかに密命を授ける。
「空木宮邸には、男装をして女官ではなく従者として参れ」
その時の和泉の引き攣った顔は 「実に見ものであった」 と、後に帝は深雪典侍にこそりともらしている。
◆
さても不愉快なこと……。
和泉はあれこれと荷造りのやり直しのようなことをしながら帝の命を思い出していた。
よりにもよって男装で行けとは!
あの時点から帝は、和泉の中で〝血も涙も情もない鬼畜ヤロー〟に認定された。
不敬はこの際、棚の上に押しやって。
とはいえ空木宮の文に書かれた文言を聞かせられれば、和泉とて、宮の言動を、日々の行動を注視し、
何かあれば即座に知らせよ、と言う帝の心情が理解できなくはない。
女官という立場で仕えるよりも、きっとその方が帝にとって有益であろうというのも理解できる。
それでも。それでも。それでも……。
(可愛い私を宮様にお目にかける、せっかくの好機を! よくも踏みにじってしてくれたなーーーっ)
さすがに声に出さない程度の理性はあるが。
怒りが腹の底の底の奥底から、ふつりふつりと沸き、煮えたぎっているようだった。
和泉は何度か深呼吸を繰り返し、最後にはぁーーーっと大きく息を吐いた。
「……空木宮様ぁ」
手を止め、宙に視線を向け、和泉は空木宮を呼ぶ。
思い返すのは、過日の文使いの時の空木宮の表情。静謐な美しさを感じさせたが、儚げでもあった。
少し前の夜歩きの表情は、微笑んではいたが、憂いは消しきれていなかった。
「笑った顔が見たいなぁ……」
数日後、和泉は空木宮邸に向かい、帝からの使者として空木宮に目通りを願う。
空木宮の顔からはハッキリと〝困惑〟が見てとれた。
「今上帝の命により、本日よりお仕えさせていただきます。私のことはどうぞ、影和とお呼びください」
和泉は表情を取り繕い、空木宮の前で、深く頭を垂れた。
~共有物語企画~
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
今上帝 ロワゾ―さん
空木宮 ☤ネコ衛門☤さん
鏑木衛門佐 黒沢大和さん
深雪典侍 ミュ☆ミュさん
和泉命婦 和.com ← 男装名:影和(かずちか)
大江帥和(おおえ・すいちか) 和泉命婦の兄 ↓ コーデ画像と設定 ※ひとまず NPC予定
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=180002&aid=68736676
よほど運がないのか、根っからそういう質なのか。気の毒にw って誰が? 帥和?
並みの女性には心を開かぬ最弱の君でも心の奥底では荒ぶれる魂に抱かれたいと切に希っておられるに違いありません きっと和泉様もすぐに男役の旨味を発揮して婦女子には稀なる働きをされることでありましょう
活躍はきっと生き霊がらみですね 深雪様とタッグを組んで降りかかる霊障(女難の相)をバッタバッタとさばいてくださりませ❤︎
これは和泉にとって美味しすぎる利点ですw
和泉にとっては不満たらたらですが、女の姿よりは身動きがとりやすいのも間違いないし。
続きは空木宮様sideの話を待って考えますので、少々お待ちください。
うん、深雪様との悪巧みは楽しそうだ。
見鬼なら (。-‘ω´-)ンー 内裏で物の怪騒ぎか何かがあって~
とかいう話ならいけるかなw
目的が一致したら…… 問題はココですよね。
っていうか、帝と宮様の望みが一致していたら簡単に共謀しそうです (((o≧▽≦)ノ彡
まさに! コレですよ。和泉が暴走したら、いろいろと台無しですから (((o≧▽≦)ノ彡
兄の助言は的確で、帝が受け入れたのも正解ですw
でも、憧れの宮のそばに近寄れる(女子だと距離に限界あるけど)訳で
見方によってはストーキングし放題ってメリットも・・w
続きがもう楽しみでしょうがないです♪
ちなみに こちら。
https://genji2017.blogspot.com/
ライトニングは ねこちゃんも作ってくれたようだけど
源氏遊びの方にも追加したよ。
https://writening.net/page?afDuuH
確か「見鬼」っていう霊が見える力があったと思うので
何かお役に立てないかしらねー
和泉ちゃんとの悪巧みは楽しそうだねぇw
行動力ww
かわういなー もだー
(๑ↀᆺↀ๑)に鰹節状態になったら困るし、帥和様、考えたねw(さすが妹君をよく知ってる学者さん)
鏑木衛門佐様、頭痛そう(⌒▽⌒)アハハ!
恋する乙女は最強w
和泉ちゃん、頑張れ!と佐保、応援しちゃうw
笑いのポイントがあると言われたのは、ホッとしたよ。良かった良かった。
空木宮様に張り付きつつ、匡衡おじさんから逃げる?
タイヘンそうだねぇ、和泉 (((o≧▽≦)ノ彡 とはいえ「役得」も多いだろう。
夜歩きは、こそこそと追いかけたりして盗み見るのか?
それとも堂々と付いていくのか?
どっちにしても和泉には美味しいと思うよw
こうして影和ちゃんの
匡衡おじさんに見つからないよーにさりげなーく避けつつ
うっちゃんが何考えてんのか探りつつ
な宮邸生活が始まるのであった((*´∀`))
和泉だからね! どうしても完全シリアスとはいかないんだw
>拳をぐっと握り (よっしゃぁぁぁーーーっ) という副音声付きで、その拳を強く
>己れに引き寄せる女に、無駄にテンションが高く、物の怪の如き前向きさで猛進する女に
>あの時点から帝は、和泉の中で〝血も涙も情もない鬼畜ヤロー〟に認定された
>(可愛い私を宮様にお目にかける、せっかくの好機を! よくも踏みにじってしてくれたなーーーっ)
ここ爆笑ポイントじゃないの???
男装でふてくされる和泉ちゃんかわいい
名前は明日にでも考えます~ (*ノωノ)
え? 笑えた? けっこうシリアスに書いたつもりだけど……。
最初は別人のフリだからね^^
ところどころで爆笑しちゃったw
和泉命婦、宮様に仕える時が!!!と思ったら帝も不安だったらしいところに笑った。
ほんと、楽しかった。
明日も読みに来よう。
男装で惚れられると困るんですけどー和泉的には。。。
和泉ちゃんサイコー(((o≧▽≦)ノ彡キャッキャッキャ
↑の男装だとうっちゃん惚れちゃうよ(´・ω`・)エッ?
そしてお兄様(´☯ω☯) ゚。✧
お素敵すぎるー(。╹ω╹。)
お兄様に憧れる親戚の大江匡子になってやって参りました(n*´ω`*n)