【源氏遊び】 左近桜の前で
- カテゴリ:自作小説
- 2020/03/27 20:01:43
「さくらばな いまぞ盛りと 人は言へど われは寂しも 君としあらねば」
ごくごく一般的な解釈 : 桜花は今が盛り、と人は言うけれど、私は寂しい…… あなたがいないので by 大伴池主
盛りには程遠い、蕾をつけ始めたばかりの左近桜を眺めながら、
紫宸殿の回廊の端に立ち、和泉は、ほぉ… と物憂げなため息をもらした。
「和泉命婦にしては風情のあることよな」
振り向けば、帝がオモシロそうに、そして珍妙なものを見る眼差しで和泉を見ている。
私は珍獣か! と心の中でツッコミを入れつつ、やや不機嫌な心持ちで
「おそれ入ります。私とて、意外に風流を解しておりまする」
「……自分で意外と言うか」
間髪容れずにツッコミ返してきた帝の後ろでは、
目を伏せ、扇で口元を隠した深雪典侍が、ぷるぷると肩を震わせている。
素直に笑えばいいのに、と思ったところで耐えきれなくなったか、ぷっと吹き出し……。
あははは… ひとしきり笑い。
苦笑いを浮かべる帝の横で、無理に笑いを収めようと荒い息を整え、やがて、ふわりと微笑んだ。
さすが深雪様、巨大な猫を飼っている……と和泉は横目で眺めていたが、
深雪典侍は、まるで不意打ちのように口を開いた。
「和泉殿が寂しい訳は、空木宮様におめもじ叶わぬからでございましょう。先刻、帝のもとへ空木宮様が……」
そこまで聞いて、和泉は非礼を顧みず、帝の脇をすり抜けて脱兎の如く駆け出すが。
すぐ深雪典侍に腕を取られた。
「宮様が家司を使いに寄こしただけですわよ。少し落ち着きなされませ」
「空木宮様の御名を聞いて落ち着いていられる道理がございません。さ、離してくださりませ」
「だから使者ですよ、使者!」
「へ?」
虚を突かれ、勢い余って和泉はへたりと回廊に座り込む。すでに互いに言葉は乱れていた。
「それを先に行ってくださいよぉ」
「だから言いましたでしょう! 家司を使者に、と!!!」
陽ざしはあくまで柔らかく、空は雲ひとつなく晴れわたり、あたたかな風が頬を撫でる。
春の訪れを感じさせる昼餉時の、穏やかな内裏で、この状況……。
視線を感じて、さすがにマズイと深雪典侍は額に指を添え、取り繕う様を見せた。
左隣では、先程まで苦笑を浮かべていたはずの帝が二人から顔をそむけ、肩を震わせている。
右隣の和泉はといえば、へたり込んだまま朱塗りの欄干にすがり、そして瞳はうるうると揺れていた。
「何も泣かずとも……」
「そんなことを言ったって…… このところ宮様成分がゼンゼン足りなくて栄養失調なんですぅぅぅ」
ことの発端を棚のさらに上奥へ押し込め、誰かこの状態を速やかに収拾してはくれまいか、と周囲を見渡せば、
深雪典侍の右手側、清涼殿の方角から姿を見せた揺紫典侍と、
その反対、温明殿から渡って来たらしい八意尚侍が、おそらく進むに進めずにいるのだろう。
その場に立ち尽くしていた。
( Help me! Veuille bien m'aider ! Helfen Sie mir bitte! )
とにかく助けて~と深雪典侍は念を送るが、
揺紫典侍は晴れやかな笑みを浮かべ、ふぃと身をひるがえして紫宸殿の影に姿を消す。
八意尚侍は、爽やかな笑顔で空を見上げ、さぁ午後もガンバりましょう的な表情で目線を遠ざけた。
思わず崩れそうな脚に力を入れ、ふと視線を南庭に向ければ、日華門を潜り抜けて踏み入れる贄が目に映る。
これを好機と言わずして何を! とばかりに深雪典侍は心の中でひそかに拳を握り。
「鏑木衛門佐殿、丁度よいところへ」
深雪典侍が声を掛ければ、その隣に帝の存在をみとめ鏑木衛門佐は、すかさず膝を折る。
「和泉命婦は気分が優れぬご様子。房まで送って差し上げてくださいね」
哀れな贄が、聡くも場の状況を読み固まっている隙に、
深雪典侍は、ささ参りましょう! とぷるぷる震える帝を促し、進行方向にいる八意尚侍と、ひそかに頷きあう。
真昼の陽に照らされる左近桜は静かに、やがて南庭を薄桃色で染める時を待っていた。
~共有物語企画~
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
深雪典侍 ミュ☆ミュさん
揺紫典侍 ケイト☆さん
八意尚侍 カトリーヌさん
今上帝 ロワゾ―さん
空木宮 ネコ衛門さん
鏑木衛門佐 黒沢大和さん
和泉命婦 和.com
実は途中から深雪典侍に視点を変えちゃっているですよ~。違和感なく読めるといいけど (*´-ω-`)・・・
お待たせしました いや待ってないかもだけどもww
ねこちゃんもライトニング作ってくれたみたいだけど
源氏遊びの方のライトニングにも入れたよーーっ
和泉ちゃん男装ホストデビュー〜
平安カラーまんぐわ第二話更新しましたわん
https://manga-lab.net/title/viewer/339211
お暇なときにどうぞ〜
深雪典侍にも、揺紫典侍にも八意尚侍にも、さぞや世話かけていることでしょうw
そして全力で恋する和泉命婦 素敵です~!
というか帝の側をダッシュする宮中女性 初めて見たかも (o゚ェ゚)・;'.、ww
寂しい空木宮は 和泉命婦の (*◔‿◔)ノ⌒❤ で埋まって幸せになるといいよ
如雪事件、右大臣身罷り空木宮孤立
↓
空木宮に和泉が恋文をおくるw 面識なく宮困惑
↓
空木宮、鬼(曹達)と会い自分を差し出す(桜が咲くまで待てと条件付き)
↓
空木宮、男装の和泉に会う
↓
帝が宵の宴を開くにあたり空木宮を招待(=和泉が文使い)
…… 大雑把にはこういう流れかぁ ( ̄~ ̄lll) ふむふむ
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=48178&aid=68618606
何年ごし(・・?
でも書き出しがマジ落ち込んでる頃書いたので
超しちめんどくさくてごめんですー(ノ∀`*)ペチ
ε=ε=ヽ(○´Д`)ノ
次の時にはぜひ! ぜひ! どうぞ。
そうしたら、きっと空木宮様の魅力を滔々と、延々と語る和泉に出会えます。
仕事に戻れず困りまくる揺紫典侍 _(L〃_ _)ノシ バンバンバン‼
とか、容易に想像できたりw
しかし現実の私は人の恋路にどうしようもなく鈍いので
「どうかなさったの?」とか言って深雪にとっての鴨になって
うかうかと近付いて行ってしまいそうです。やばいやばい。
しかし色気のかけらもない女上司に連れて行かれるよりかは
空木様の出没スポット教えてくれる
イケメン鏑木様に送られた方が和泉命婦にとって何倍もましですね。
うーん空木様ってお美しいんだけどぼーっとした性格がちょっと難ありって感じww
両想いになれればいいのにな。
え? マジですか! ええ、立ちます立ちます、さささ参りましょう。
そして今すぐ、宮様の出没スポットを!!!
え (@_@;) みんな? 和泉は確かにそんなキャラだけど、みんなも?
おおヾ(≧▽≦)ノ゙ 空木宮様、やっぱり良い男じゃないですか~w
あとでこっそり空木様の出没スポット教えますから。
そうそう、ちゃんと立って。
なんか急に元気におなりで・・・。
>名前覚えてもらえるんだな。
これは何とも……ハードル高いねぇ _(L〃_ _)ノシ バンバンバン‼
>風の中に季節を感じていらっしゃるんだわー みやびー とか 遠くから
うん。この和泉、私にも見えるwww すんごい和泉っぽいw
エメさんのイメージって、ずっとこうだよね~ (。-‘ω´-)ンー
私には、この印象ないんだけどな~。なんでこんなに違うんだろう?
>その魅力に気づくか だよねー(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
そもそも空木宮様の目には和泉は全く映ってないだろうからね~。
難しいところだよねぇ (((o≧▽≦)ノ彡
でもまぁ和泉の最終目標は『愛人兼侍女』だから! ← 奥さん目指すには身分足りない
気長にガンバると思うよw
あるあるw
何も考えてなくてぼんやり庭を眺めてるだけでも
風の中に季節を感じていらっしゃるんだわー みやびー とか 遠くからうんうんってうなずいてる和泉様が見えるw
>CEOの執務室に入室を許されるだけの格(ギリギリ末端)を持ってはいるが、
>CEOの弟である非常勤取締役に惚れ込み、きゃぁぁぁステキーと、
>仕事そっちのけで陰ながら眺めては喜んでいる正社員みたいな?
これはわかりやすいw
かなりギャグ要素多めの少女漫画だけど、ある日その弟さんをなんかのときに助けて
名前覚えてもらえるんだな。
いじめてくん ( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
ほらほら
風雅で名をはせる女官 じゃんかー
オラ(中の人)は今トルコのドラマの頭いいかつ恋にいちずな女官にハマってるので
そのイメージで
和泉ちゃんは頭。゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!! しゅてき~(´∀`*)ポッ
と思ってます~(´∀`*)ウフフ
問題は←のこの( ゚ ρ ゚ )ボーっとしたうっちゃんが
その魅力に気づくか だよねー(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
>こらっ 揺紫典侍にげるなーっ
これは間違いなく思っているヾ(≧▽≦)ノ゙
次に宮様がいらっしゃるとき? でもそれまでに、きっと何度かまた……
こんなメンドーな目に合うんですよw
実はすでに忘れているんだけど……
和泉の主観によると、
> 空木宮様は、風雅で静謐、侘び寂にも通じており、お声は涼やか。
> まなざしにも色気があり過ぎるくらいあり、
> お姿、どころか仕草ひとつにも、あふれるほどの気品がある!
という感じで、和泉にとって空木宮様は、
超イケメーーーン(イケてる面ではなく、イケてるMen)なんである。
詳しくは https://genji2017.blogspot.com/2000/07/httpwww_5.html ← ここから飛べます。
この和泉に関して最初から 『文字で読む少女マンガ』 のノリを基本としているので、
たくさんは書けないw
CEOの執務室に入室を許されるだけの格(ギリギリ末端)を持ってはいるが、
CEOの弟である非常勤取締役に惚れ込み、きゃぁぁぁステキーと、
仕事そっちのけで陰ながら眺めては喜んでいる正社員みたいな?
いやいや! これは夢を見すぎです (((o≧▽≦)ノ彡 こんなに良い女ではありませぬw
>ひたすら( ゚ ρ ゚ )ボーっとしてることでしょう
でも和泉は、そのぼーっとしたところを『風雅で静謐』と変換する女 _(L〃_ _)ノシ バンバンバン‼
違和感なく楽しい展開を堪能いたしました。
>「そんなことを言ったって…… このところ宮様成分がゼンゼン足りなくて栄養失調なんですぅぅぅ」
ここで爆笑w
仕事がすっごくできそうなのに恋する乙女モードの和泉命婦はかわいらしいけど
深雪典侍的には めんどくさい 誰かなんとかしてくれ
こらっ 揺紫典侍にげるなーっ って思ってるんだろうな。
鏑木衛門佐 来てくれてよかったーーっw
次に空木宮様がいらっしゃるときにはお声かけますねーw
そこんとこ 見(読み)過ごしてた(・A・?)あんな しゃっきょーばっかのやつ
ほのぼのしてる といえば それが魅力? いじめてくん的な?
こういう人っていますよね~、職場に!!(微笑)
お仕事と言う場でも、熱く恋をふりまく恋愛命の人。
月並みなドラマや漫画では、そこでコワイお局様が登場して、一喝~、
というところだけど、ここは宮中、帝の御前、別の展開がありそうですね!
和泉命婦は頭いい見た目もいいセンスもいいと三拍子そろった女(๑•̀ㅂ•́)و✧
っていう感じですよねー(´∀`*)ウフフ
上司の三人もそれぞれ能力高い方々ですが
ぼんやりの空木くんは和泉ちゃんの機知についていけなくて
ひたすら( ゚ ρ ゚ )ボーっとしてることでしょう(((´゚∀゚`)))ァヒャヒャヒャ
上司を困らせる女! 和泉www
そして笑いもこらえている、ハズw
素直ヒート…… 迷惑な場合もあるけどねw 見ている分には悪くないよねw
ぷるぷる帝ちゃん、かわいい❤
さすが、美雪ちゃんは、しっかりもんw
揺紫ちゃん、八意ちゃんのクールな感じもよく分かるなぁ~
愉しかった♪
宮様顔出して欲しいですよねー(o´艸`)
私も出してくださってありがとうございます。
スルーしたけど許してね。(o´艸`)