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安寿の仮初めブログ


お遍路八日目 愛南~柏~柏坂越え~津島


2020年2月21日。朝は快晴、午後から曇り。

今朝の夢。

家のそばを竜巻が通過している。
電話で「お母さん、早く帰ってきて」と母を呼んだのだが、
母は、
「私はお前を捨てて、鬼のところに嫁ぎ、鬼女になったので、
 何を今さらお前に会いになどいけるだろうか」
と答える。

夏目漱石の『夢十夜』のような夢を見てしまった。


7時15分出発。
この旅館は、大正元年創業だが、
ご主人に聞くと、跡継ぎがいないので、
ほどなくして営業を止めることになるだろうという話。
歩きのお遍路も減っているということだし、
これも時代の推移というものか。
でも、もったいない。
                                                 
小学生が集団登校していく。
でも、まだ、7時半頃。
こちらの学校は、朝が早いのだろうか。
みんな、ちゃんとお遍路に挨拶してくれる。

8時15分。
国道の八百坂峠を通過。
バス停で待っていたおじいさんに、時間を聞かれる。

ここから再び海沿いの道になるので、
所々で、足摺宇和海国立公園の半島や島々、
そして豊後水道を見渡せる。

9時30分。
柏の集落に入り、ほどなくして柏坂入口に到着。
ここまでは、国道沿い歩き。

すぐ近くに、最上階にプラネタリウムみたいなドームがある
愛南町役場内海支所があり、
その向かいに、お遍路向けの休憩所がある。

トイレもあるので、使用。
愛媛県に入ると、公共トイレの設備が貧弱。
ここも工事用のトイレ。
それでも洋式のトイレで、まだキレイな方だと言える。

これから山道になるので、自動販売機で、水110円を購入。
カメラをザックにしまって、9時50分出発。

最初、川沿いに上流へと進み、
やがて左に折れて、山の斜面を斜めに登っていく。

すぐに急な登りになり、
しばらくすると、緩く登っていく感じになり、
また急になりと、緩急が連続する登りだが、
急登というほどではない。

それよりも登山道が幅広い。
おそらく重機を入れて整備したのではないだろうか。
その点で、登りは、とても登りやすい。

途中、何箇所かベンチも用意され、
この地の風情を詠んだ野口雨情の詩も表示されている。


10時55分。
柳水大師に到着。
休憩所があり、そばに大師像と、
ちょろちょろの流れだが、湧き水がある。

この水も、大師が杖で突いたら、湧いて出たんだそうだ。
何かありがたいことがあると、
四国では、弘法大師のおかげになっていることが多い。

近くには、トイレもあるが、
およそ使う気にはなれない。11時05分出発。


10分もしない内に舗装された車道を横切る。
これは、柏坂の山の上に立つ風力発電を建設するために作られた道だろう。
まだ新しい。

車道を横切って、遍路道は、もう少し登りが続く。
山仕事のおじさんとすれ違う。

11時30分。
峠を通過。見晴らしはない。
峠には、ベンチと、やはり使う気になれないトイレがあるだけ。
そこからしばらくは、水平な道が続く。
標高だいたい460m。
柏坂展望台があるはずだが、それらしきものは見当たらない。

しばらく歩くと分岐があり、
左下に降りると、そこに清水大師がある。

昔、少女のお遍路がここに来た時、
ノドの乾きで倒れてしまったそうだ。
その夢に弘法大師が現れて、
ここの地面を掘ると水が出ると告げ、
目が覚めて地面を掘ったら、本当に水が出て、
その水を飲んだら、患っていた労咳も治ってしまったということ。

でも、私に言わせれば、
そんな霊験あらたかな夢を見せる力があるのなら、
わざわざ地面を掘らせずに、水を出してやればいいのに…。
そう思うのだが…。

ここも薄暗く、展望がないので、11時40分に出発。
風力発電のプロペラが廻る風切り音が聞こえる。

すぐに分かれた道と合流し、
以前と同じ、ほとんど水平な道を行くと、
「つわな奥」展望台という場所があり、
ここからは宇和海がキレイに見渡せるので、

12時05分。
ここでザックをおろし、写真を撮り、伊予柑を食べる。
ここのトイレは、まだましなので、使わせてもらう。

風があってちょっと寒い。
薄雲が広がってきた。ここからカメラを出して、12時30分出発。

ここから道は下りになる。
下りは、傾斜こそ上りよりも緩いが、
道は狭くなり、あまり整備されていない。
カメラを出すのは、ちょっと早かったように思う。

セクハラまがいの民話を紹介した案内板も倒れていたり、
読めなくなっていたりで、なんか陰気な感じがする山道。

13時05分。
茶堂休憩所を通過。ここも展望はないし、トイレもない。

ここを降りると、すぐに人里に出るが、廃村といって良い。
果樹園などが、まだ営まれているようだが、
倒壊した家の横を遍路道は通っていく。
車も入ってこれるようだが、遍路道は、山道。
まだ標高が200mある。
一回滑って、仰向けに転ぶ。

昨夜、旅館で同宿だったご夫婦のお遍路に抜かれた。

やがて道は、谷筋に入り、
「三本松大橋」と書かれた小橋を渡って、

13時45分。
ようやく舗装された道に出て、
人が住んでいる人里を通っていくようになる。

14時05分。
地図を確認するために、橋のたもとで一度ザックを下ろす。
雨が降りそうな空になる。

14時15分には、国道に出たが、
遍路道は、芳原川の川沿いを歩く形で続いている。

川沿いに桜が植えてあるので、3月はきれいだろう。
しかし、この川沿いの道は、結構長い。

15時05分。
津島に入る手前に、へんろ休憩所があったので、トイレを使わせてもらう。
…が、平地でも…。
今日のルートは、トイレのせいで印象が悪い。

津島町に入り、国道沿いを行く。
コンビニで、今日の夕食と明日の朝食を買って、

16時05分。
ビジネスホテルに到着。
二食付きの民宿に泊まりたかったが、すべて満室だった。
ビジネスホテルだから、バスが狭くて、
大きな湯船で足を労りたい身には不満が残る。

明日の午前中は雨で、かなりの悪天候らしい。
お遍路最終日だというのに、やれやれ。
   
   水        110円
   ビジネスホテル  4500円
   洗濯機      200円
   乾燥機      100円
   コンビニで今日と明日の食事 1360円
     夕食は、お弁当とサラダ、ドレッシング、エナジードリンク。
     朝食は、パン二種類と野菜ジュース。

   今日歩いた距離 27.3km




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