Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


お遍路六日目 下ノ加江~三原~平田


2020年2月19日 晴れ 

7時00分出発。
宿から、昼食用のおにぎりをもらう。
ありがたや、ありがたや。

風が強くて寒いので、ダウンを着て出発。
指もこのままではアカギレになりそうなので、手袋を着用。
宿のおばさんが、私の姿が見えなくなるところまで見送ってくれる。

朝焼けの農村は美しい。

7時30分。
民宿のおじさんが教えてくれたとおり、
下ノ加江川から市野瀬川が分岐するところから、
市野瀬川沿いに三原へと向かう道に入る。

最初の部分は、新道に並行した旧道なので、
落石がそのまま転がっていたり、杉の葉が降り積もっていたりで、
人や車が通った気配がない。

7時50分。
新道との合流点で道確認のために、ザックを降ろす。
一般車は少ないが、ダンプが何台も通り過ぎていく。

9時00分。
道幅が広いところで、ザックを降ろして、ちょっと休憩。

このあたりの集落は、
もう、ほとんど限界集落だと思う。人の気配がしない。
…というか、もう限界を超えてしまっていて、廃村に近い。

暖かくなり、山あいに入ったので、風も吹いていない。
なので、ダウンを脱ぎ、手袋を外す。

市野瀬川沿いのルートは、かなり蛇行している。
道は、2車線で歩道までついているところもあれば、
車がすれ違うのがやっとのところもあり、
道の整備状況が、随分とまだら。

昔のままのところがあるから、
車の移動ルートとして使われていないのだろう。
だけど、それならば、道を整備した場所が、
はっきり言って、無駄。

真念庵経由の方が、
車の移動ルートとして使われているので、
このルートは何のために整備しているのか、
歩いている人をほとんど見かけないのに、
なんで歩道までついた2車線の道を整備をしているのか、
よくわからない。

お遍路としては、歩道が整備されていた方が確かに歩きやすいけれど、
お遍路のためなら、2車線に歩道付きの道を整備する必要はない。
それよりも落石を防ぎ、道案内を増やし、
トイレ付き休憩所を整備してくれた方がいい。

 
9時45分。
芳井の集落に遍路小屋があり、そばに湧水が流れ込んでいるので、
その水でノドを潤す。
しかし、この遍路宿にはトイレがない。
このルートは、三原までトイレがないのが難点。

10時30分。
道を工事している現場にトイレがあり、
「通行者の方もお使い下さい」と書かれていたので、
トイレを使わせてもらう。

さっきのダンプは、この工事現場から土砂を運び出していたのだ。
今も、こうして道の整備は行われている。
それ自体は、悪いことではないのだが、
しかし、いったい何のための整備?

11時20分。
三原村に入って、しばらく歩くと天満宮があり、トイレがあるので、
ここで一度、ザックを降ろす。

今までの道は、車がそこそこ走っていたので、
コンビニなども見かけ、トイレも使えたのだが、
このルートは、ここから先もトイレが期待できないので、
早め早めにトイレを使う。

ここまでが、だいたい16km。
あと14km、歩かなくてはならない。

三原村の中心、村役場の前を通っていく。
ちょうどお昼休みの時間帯に通過したので、
役所や事務所から出てくる人たちと出くわしたのだけど、
人影が少し増えた程度。

  お昼時で、これかあ…。


12時30分。
三原の集落を出るところで、道端に腰掛けて、おにぎりを食べる。
ほんとに静かな村。人の気配がない。
幻想文学に登場する、眠り続けているような村。
12:45出発。


三原村からは、中筋川沿いに下っていく道になる。
途中に休憩所やトイレがあるけど、
道から外れた高台にあったり、谷底の公園にあったりで、
お遍路が気軽に立ち寄って、利用できる場所にはない。
清水川の道端にある休憩所は、半壊しているし、トイレがない。

中筋川は、やがて蛍湖というS字型の人造湖に流れ込み、
道は、そのS字型の湖の上を、$のように貫いて進んでいく。
湖の上に出る前後に、二つのトンネルがある。

この道とトンネルがなければ、
S字型の湖に沿って延々と続く湖畔沿いの道を
歩きへんろは、辿っていくことになるわけで、
とんでもなく大変。

しかも、中筋川は、市野瀬川と違って、谷が深い。
だから、昔の遍路道は、この中筋川を辿るルートではなく、
その東側の峠を越えるルートになっている。

この場所は、この道があることで、本当に助かるなあ。

蛍湖を過ぎて、しばらく下ると、平野に出て、
平田の集落へと入っていく。
このあたりも、お遍路の道案内がほとんどないので、
スマホのグーグル地図を見ながら移動する。

14時30分。
平田川を渡ったところ、あと3キロの地点で、
ザックを降ろし、一休み。
そばの自動販売機で、お茶を買おうとしたら、売り切れ。
仕方がない。そのまま、もう少し進むことにする。

あ、電車が走っている。
これは、窪川から中村を経て、宿毛に至る、
土佐くろしお鉄道・宿毛線。

この電車に乗れば、窪川から宿毛まで、
特急だと1時間程度、普通を乗り継いでも2時間程度で着いてしまう。
なのに、へんろ道を辿りながらだと、5日もかかる。


15時15分。
今日の民宿に到着。
39番札所の延光寺は、すぐそこなので、
宿に荷物を置いて、まずは参拝。

15時20分。
延光寺到着。誰もいない。

ライターを持っていなかったので、灯明の火を付けられない。
…と思っていたら、ちょうど地元のおばあさんが来て、
灯明を点け、お参りしていったので、
その火で私も灯明を灯し、線香に火を付ける。

他に見かけた人は、
車で訪れて、手も合わせずに、写真だけ撮っていったおじさんだけ。

誰もいない境内で、一人納経をするのは、気持ちがいい。
目洗い地蔵があったので、水にタオルを浸して目を拭う。
納経300円。

16時00分、宿に戻る。
ここも、今日のお客は私一人。
おじさんが一人で経営している。
お風呂に入り、洗濯をする(無料)。
インスタントコーヒーやお茶を無料でいただくことができた。

おじさんに聞くと、
冬の時期はお遍路をする人が少ないだけでなく、
そもそも歩きで遍路をする人自体が、
めっきり減ったそうだ。

それゆえ、お遍路が泊まるような宿も、
どんどん少なくなっているらしい。

  この宿も、いずれは…。

そんなことを考えてしまう。
お寺のそばだから、
お遍路にとっては、何かと便利な場所にある宿なのだが。

     民宿 二食付き6600円
   納経      300円

  今日歩いた距離 30.1km




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