Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


お遍路三日目 土佐上川口~四万十大橋~久百々


2020年2月16日 朝から雨。
 
7時15分出発。
晴れていれば、とても眺めのいい宿なのだろうけど、
今日も朝から雨。
目の前の海も、灰色にくすんでいる。

ザーザー降りではないけど、
しかし、しっかり降っているので、
朝から雨具を着込んで、出発。

女将さんも従業員さんも、とても感じがいい宿。


今日は、ひたすら黙々と歩くのみ。
窪川にある37番岩本寺から、
足摺岬の先端にある38番金剛福寺までは、
四国お遍路の中でも最も距離が離れていて、
途中で二晩泊まらないと辿り着けない。

7時45分。
途中の休憩所で、ちょっと靴を直す。
豆を潰さぬようにテーピングして出発したのだが、
それがちょっと違和感になっている。

やがて遍路道は国道を外れ、
海岸線沿いの入野松原の中を進んでいく。

海岸沿いに植えられた松林の中を歩いて行くのだが、
雨なので、今一。
晴れていれば、風景のいいところだと思うけど、
へんろ道を示す案内板が少ない。
何度も地図やスマホでルートを確認。

8時半。ネスト・ウエストガーデン土佐という宿泊施設の
手前にあったトイレで、トイレ休憩。

この雨だが、日曜日なので、
多くのサーファーが灰色の海の上に浮かんでいる。


ここから先、ルートはいくつかわかれる。
中村市を通っていくルート、
四万十川の河口近くを渡し船で渡るルート、
しかし、私は、四万十大橋を渡るルートをとる。
このルートが最短で、しかも確実に渡れるルートだと思うから。

蛎瀬川の堤防沿いを歩いて、蛎瀬川を渡る。
このルートは、地図には載ってないが、
へんろ道の案内標識はあった。

四万十大橋ルートは、
しかし、四万十川まで辿り着くまでが結構退屈だった。
加えて、雨のため、道路の端に大きな水たまりができている。
水たまりを除けながら歩くと、道路の真ん中を歩くような形になり、
車にとって、私のような歩き遍路は邪魔だろう。

それほど交通量は多くないが、
しかし、見通しのいい道なので、
そこそこ車はやってくる。

そして、私の横を通過する際、対向車線に大きくはみ出して、
私に水しぶきをかけぬよう、気を使って走ってくれる。

10時55分。
四万十大橋のふもとにあるローソンで休憩。
トイレを利用して、ATMから3万円を下ろし、
チョコを二種類、211円で購入。

ここは四万十大橋のふもとにあるせいか、
車がひっきりなしに訪れる。

しばらくすると、助手席に犬を乗せたおじいちゃんが、
軽トラを運転して、買い物に来た。
ところが、このおじいちゃん、
車から降りると、歩くのすら覚束ない。
前かがみの姿勢で、よろよろしていて、大丈夫だろうか。
そして、こんな人が運転していて、大丈夫なんだろうか。
いろんな意味で不安。

かといって、免許を返納してしまったら、
このおじいちゃんの生活自立度は、大きく低下してしまうのだろうな。
うーん…。
11時20分、ローソンを出発。


四万十大橋は、片側一車線の細い橋。
だが、距離は、500メートルぐらいある長い橋。
河川敷は、広くない。
でも、水が流れている部分は、多摩川や荒川よりも広い。

ここはもう、四万十川の河口近くだけど、
四万十川は、川のすぐ側まで山地が迫っていて、平野部分が少ない。
四万十川が美しいのは、
川の水量を大きく減らしてしまう大規模ダムがないし、
流域にも人家が少ないからと言われているが、
むしろ、流域に平野部が少ないため、人家が多くならなかった。
だから、四万十川の清流もまた、保たれてきたのではないだろうか。

対岸へと渡り、しばらく四万十川沿いの町を歩く。
このあたりも、へんろ道の標識が少ない。
やがて、道は国道に合流し、四万十川を離れて、山の中へと向かう。

途中、へんろ道を示す矢印が、真念庵を経由する脇道の方を差していた。
でも、この道は、地図には載っていない。

おそらく、この道は、峠の山道を通って真念庵に向かう旧道のようなので、
雨の山道は危ないし、峠を昇り降りしなくてならないので、
そのまま国道のトンネルを通っていくことする。

13時05分。
新伊豆田トンネル手前の今大師という無人のお寺で休憩。
バターロール1個、朝食に出たバナナ半分、チョコを食べる。

とても徳の高いお坊さんで、だから、今大師と呼ばれたらしく、
四国を巡礼中、この近くで亡くなったらしい。
ちなみに、このお坊さんの出身は、長野県富士見町。
つい最近、富士見町を訪れた私が、偶然ここで休んだのも、何かの縁か。
13:20分出発。

新伊豆田トンネルは、全長1600m。
入口から出口が見えるので、すぐに通過できるような気がするが、
通り抜けるまで、20分ぐらいかかる。

14時00分。
トンネルを抜けて、しばらく歩いたところにある休憩所&カフェで、
トイレを使用。

ここで歩きのお遍路さんを見かける。
お遍路の道を逆に廻る「逆打ち」だろうか。
それとも足摺岬から戻ってきて、
ここから真念庵経由で三原を抜け、
39番の延光寺に向かうのだろうか。

今日のゴールまで、あと9キロ。あと2時間半といったところ。
午前中は元気なのだが、
この時間帯になると、もう足が棒のよう。


14時55分。
下ノ加江という街の旧道途中にあった倉庫のベンチで休憩。
チョコを食べ、水を飲む。
あと4キロ。今日は雨なので、ゴールが待ち遠しい。
この時間になって、ようやく雨が上がってきた。

下ノ加江を過ぎると、再び道は、
海岸沿いを辿るルートになる。

16時00分。
今日泊まる民宿に到着。
ここは、久百々川が流れ込む浜に広がる小さな漁村。

お客は、私一人。
この時期、お客さんは少ないようだが、
それでも、夕食の時に聞いたら、
昨日も一人、歩き遍路のお客さんがいたらしい。

足がふやけ、豆が拡大している。
小指に巻いたバンドエイドもズレたり、外れたりしていた。
雨具を着込んで歩いたせいで蒸れたのだろうか、
ふくらはぎがじんましんみたいになっている。

お風呂に入り、洗濯(無料)をし、エアコンの前で干して、この記録を書く。
今日は早めに寝よう。
天気予報では明日、西日本は大雪になると言っているが、
ここ土佐清水市の天気予報は、なぜか晴れ。

  民宿 二食付き6500円
  ローソンでチョコ二つ 211円

  この日の歩行距離 27.2キロ。

今日は、雨の中の辛い歩きだったので、
余計なことを考える余裕がなかったみたい。




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