【アナカン】 最初の離婚報告
- カテゴリ:自作小説
- 2019/12/30 23:51:32
「離婚?」
「ああ。離婚した」
最初の結婚はカレッジを卒業して数カ月後だったが、わずか1年ちょっとで容易に破たんした。
結婚をすると告げた時、一瞬さびしそうに顔をゆがめ、それでも笑って「おめでとう」と言ったモーヴは、
今日、眉間に軽く皺を寄せ…。怒っているような、困っているような……。
「いったい何が原因だったんだい?」
……この表情は、何だったろうか? いつだったか同じような表情を見たことがあった。
と、レドはウィンザー&ニュートン校時代の記憶を辿る。
『……カー、マインっ』
4年になってすぐに生徒会に所属したことで、ようやく手に入れた念願の個室だったが、
それを5年になって自ら手放したのは、一学年下のモーヴがキッカケだ。
あの時の彼はレドにとって、黙して涙を流している印象が強い。
次いで頭に浮かぶのは、モーヴが好きだった彼の同級生、カーマインの名を口にしている顔だ。
『カーマイン、カーマイン……、カーマイン』
レドがモーヴと知り合った始めの頃、その名は笑顔とともに語られ、
カーマインとの交流が進むにつれ次第に、苦笑であったり、切なそうな表情が伴うことも増えていき、
事故の後は、泣き顔や悲壮、または空虚な表情と対になっていった。
「……カーマイン」
夜ごとうなされ、しがみつくモーヴを見ていられなくなったのは、レドの弱さだ。
レドはモーヴをベッドに押し倒す。
やや乱暴か、とも思ったが、ベッドであれば、さほどの衝撃もないだろう。
そのまま覆いかぶさり、首から胸へと唇を這わせる。
モーヴはピクリと身体を震わせ、全身の緊張を深めたが、ただそれだけ。
カーマインを思う涙は止まることなく、
かといって、抗うこともなく、レドのなすがままだ。
モーブは今、夢と現実の狭間を漂っている。
そこに付け入るのは、さすがに躊躇われ、レドはいったんはモーヴの身体から離れたが、
(寒い……)
離した途端、体温が急速に失われていくのを感じ、レドは再び、モーヴを強く抱きしめる。
レドはもう自分を止められるとは思わなかった。
「ぜんぶ俺のせいにしていいから……」
「レド、ねぇ、レド。人の話を聞いている?」
「もちろんだ」
もちろん、ちゃんと聞いている。
ただ少しホルベイン寮の部屋でのあれこれを思い出していただけ。
そんなことを口にはせず、頷いてみせると、モーヴは、ため息をついた。
「僕は、ちゃんと幸せになれって言ったよね」
その一言で、ああ、そうだ、あの時だ。と記憶がつながる。
抱き合った後、いつもはあまり口を開かないモーヴが、
珍しく上半身を起こし、上からレドを見下ろして言った…… あれは卒業を間近に控え
レドの寮生活がもうじき終わるという頃だった。
『僕は大丈夫だから。レドこそ、ちゃんと幸せになる努力をするんだよ』
あの時も、怒ったような困ったような、なんとも言えない表情をしていた。
ただ、言ってすぐ、モーヴは上から深いキスをしてきた。
終わった後に、さらに煽るのか、と、そちらに意識を取られ、今の今まで忘れていた。
「ああ、覚えているよ。心配はいらない。そのうちまた結婚するさ」
言ってレドは口の端を軽く上げ、ニヤリと笑ってみせた。
人づきあいが苦手、というよりも軽く人間嫌いの傾向があるレドの一面に、
モーヴは気づいていたのだろう。
「凝りてないんだね……」
「人間は失敗する生き物だろう?」
そう言うと 「そこで開き直るんだ? なんか釈然としないんだけど」 と、
モーヴは思いきり顔をしかめ、レドを睨みつけた。
~ * End * ~
モーヴ:ミュ☆ミュさん
カーマイン:ネコ衛門さん
レド:和.com
以下、2019年に書いたのです。先日ようやく公開しました (*ノωノ)
【アナカン】 モーヴの結婚式当日
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=180002&aid=68122152
■――
晶元P制作美麗まとめサイト
【シーズンⅠ】
https://jackthenikotto.wixsite.com/nicozaka46/blank-17
【シーズンⅡ】
https://eleonorra.wixsite.com/anakan/portfolio-2
コラボ作品ライトニング(こちらから各ブログに飛べます)
https://writening.net/page?E67Zsx
――■
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そこを知りたかったんだ。
23歳 最初の結婚
24歳 最初の離婚 ※独白がこのへん
こんな感じです。
>最初の結婚はカレッジを卒業して数カ月後だったが、わずか1年半で容易に破たんした。
結婚したとき20歳、離婚したとき21歳だろうか?
幻のカーマイン、たぶん必要なんだよ、私の書くレドには。
> 全然カーマインはセルリアンしか見てないんだけど
そりゃ~その通りなんだけどね。
でもモーヴはちゃんとカーマインの中の貴重な「途切れない友人枠」を
キープしているみたいだから。
10年全く交流を持たないセルリアンと、10年交流を続けてきたモーヴでは、
どちらが良いのか、ちょっと悩むね。
看病~相談あたりのモーヴは充分! 無自覚な小悪魔だったけどぉ?
さらに突っ込んだ小悪魔にする気?
そりゃ~楽しみだ!
それは良いですよ。けど。それならレドって…… よく生徒会に入れたなw
4年でも5年でも、どちらでもお任せします。修正は簡単だし。
むずむずする? そりゃ~でしょうね~。書いた私は、もっとむずがゆい ( ̄~ ̄lll)
大当たりです! 響さん (*´-ω-`)・・・ 開き直るのに三か月近くかかったんです。
いやいや、レドはそんなに可哀想ではないですよ?
ミュ☆ミュさんの書くモーヴを読んだら、その感想は一瞬で吹っ飛びますw
全然カーマインはセルリアンしか見てないんだけど どうしようもなくモーヴの好きな顔のタイプとでも言ったらいいのでしょうか。。。カーマインの完全な美に焦がれるモーヴを手のひらであやすレドですね〜
レドって 線が細くてシニカルな大人のイメージで
なんかえっちー❤︎
それにしてもどこまでも優しいなぁ
>レドがなんか可哀想になってきた^^;
モーヴがもっと小悪魔化しますよーっ
えーっと 最初はそうでもないんだけど
「レドの艶聞が絶えない」あたりから レドは僕のだから っていう路線にシフトだな。
いやぁ 楽しいなぁ。
こういう風に繋がったんですねー
(*-ω-)(-ω-*)ウンウン
なんかねぇ(´ω`*)。o○
なんとも言えずいいよねぇ
なんか前腕がむずむずしてくるんですよねー
青春の蠢きっていうか ねー(((´゚艸゚`*)))クククッ
ところで
そうか レドは4年から生徒会だったんだね
ウチの話で生徒会は寮の自治会で役員は人気投票みたいな選挙で決まる
ってしたいんだけどいいかな(・・?
ホルベイン寮では4年生からも選ばれるってことでいいかな
レドの暴走、淡々と受け入れてるモーヴ
レドがなんか可哀想になってきた^^;
人間、一番欲しいものがわかっているのに手に入らなかったら
代替品では絶対に満足できないもんね。
幸せになる努力をするんだよ
はレドにしてみたら針みたいに突き刺さる言葉だろうな・・
開き直りが必要だった、は↑このお話のあたりだろうか。
拝読できてとても幸せです!
ありがとうございます^^
私が言うのもナンですが、混乱する気持ち、すんごく解ります。うん。
こういう展開になるなんて、あり得なかった! ハズなので。
いちばんの要因は、ネコさんの 10 years after です。
私、学生時代がどうしても書けなかったんですよ。
10代後半の微妙な年齢に私自身があまり興味を持っていないというのもあって。
ところが、ネコさんの 10 years after を読んで、
27歳が17歳を振り返る、というシチュエーションがもう! オモシロくて。
ミュ☆ミュさんを巻き込んで二人で悪ノリし~。
その結果が、この最初の離婚報告でしたw
なので、最初のしか読んでない茜さんが、この展開を飲み込むの、
すごく時間がかかったと思います。申し訳ない。
レドだって、レスキューの気持ちがゼロではないんですよ?
ただモーヴが苦しんでいるのに耐え切れず、先にへこたれたのがレドだったという……。
そういう話なんですwww
ちょっとイロイロ書ききれてない部分があるのは解っているんですが~、
独白の前にコッチを読んでもらわんと~。
ちょっと待ってくださいね、混乱してる。
そっかー。
ただのレスキューではなかったのかー……そうかー。
これ読んで、結婚式当日見るとまた見方が変わっちゃいそう。
先に「【アナカン】 独白または告白 」読んで、もう一度全部読み直そう(いそいそ