ハロウィンと蝙蝠
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/10/10 00:51:44
蝙蝠といえばあまりいいイメージはないと思います。吸血だったり、バンパイアだったり・・・。
その中でも、イソップ童話の獣と鳥の話が一層よくないイメージを与えてるのではないかと思うのです。 両軍を飛び回り、上手く立ち回ったものの、結局は両軍から嫌われ昼間は出ることを許されず、夜だけ飛び立てる。
この時の蝙蝠の気持ちをだれか、わかっていたのでしょうか?
獣でも鳥でもない蝙蝠の気持ち・・・。それは両軍の誰よりも大きく暖かいものではなかったのかな?そんな蝙蝠が大好きになる話です。
昔々、あるところに大きな森がありました。その森ではたくさんの動物たちが一緒になって、とても仲良く暮らしていました。
しかしある日のこと、狐と鶴が些細なことでケンカを始めてしまいました。
最初、それは単なる小さないざこざでした。ですがその波紋は段々と大きくなっていき、ついには獣vs鳥の争いにまで発展してしまったのです。
森の中で巻き起こる全面戦争は、一進一退を繰り返し続け、何日も、何ヶ月も、何年も続いていきました。
みんな、この戦いは無駄だということに気付いています。意味のないものだということに気付いています。
ですが、彼らには後戻りをする勇気がなかなか出てこず、またそれぞれの大将が負けず嫌いだったこともあって、お互いに仲直りすることをなかなか切り出せなかったのでした。
その中で、双方を和解させようと立ち上がったものがいました。
それは、蝙蝠です。
容姿があまりよくなかった蝙蝠は、他の動物や鳥たちから、ちょっと嫌われていました。
それでも、蝙蝠はみんなのことが大好きでした。獣と鳥たちが仲良く一緒に過ごしているのを静かに見下ろすのがとても大好きでした。
それゆえ、みんなには早く仲直りをして欲しいと強く願っていたのです。
ある日、戦況が獣たちに有利になりました。
蝙蝠は獣の大将のところまで飛んでいき、必死に訴えます。
「ねぇ、争いはもうやめようよ。仲直りしようよ」
しかし、勝利が目の前にあるというのにいまさらやめられるか、と願いは聞き届けられませんでした。
結局鳥たちは何とか体勢を立て直し、戦況はまた睨み合いへと戻ってしまいます。
そしてまたある日。今度は鳥たちがいっせいに獣たちを攻め始め、勝利まで後一歩というところまできました。
蝙蝠は、今度は鳥の大将のところまで飛んでいきました。
「もういいでしょ? 前みたいに仲良く暮らそうよ」
しかし、ここでも蝙蝠の願いは聞き届けられることはありませんでした。
そして獣たちは何とか持ちこたえ、戦況は結局振り出しに戻ります。
蝙蝠は、早くいつもの平穏な日々に戻りたくて、何回も何回も何回も、繰り返し訴えました。
「こんないがみ合いに何の意味があるの? 普通の暮らしが一番の幸せなんだよ?」
「仲間を傷つけることに意味はあるの? 傷ついてまで何をしたいの?」
「何で……何でみんな仲良くしてくれないんだよ!」
何回も、何回も、何回も……。
そしてある日、獣と鳥たちの間で、ある噂が囁かれるようになりました。
『蝙蝠は、獣が有利になると獣側に、鳥たちが有利になると鳥側につく卑怯な奴だ』
この噂は瞬く間に広がっていき、ついには獣と鳥たちはそろって蝙蝠を非難するようになりました。
『卑怯者・・・。蝙蝠の卑怯者!』
蝙蝠はどこへ行っても獣と鳥たちに追い立てられてしまい、ついには森を追い出されてしまいました。
大好きだった仲間たちの非難の声を背にして、こうもりは独りで飛んでいったのです。
でも、こうもりは寂しくなんてありませんでした。
なぜかって?
だって、獣と鳥たちが一丸となって自分を非難したのですから。
自分が悪役になることで、みんながまた力をあわせたのですから。
自分が森を出ることで戦争が終わったのですから……。
それからというもの、蝙蝠は夜に飛び回るようになりました。彼らが仲良く眠っているのを、夜中にこっそり見るために。
ここまでには、ならないでください。誰にでもなれるようなことではないですよ。
CRYさんはCRYさんらしくがんばればいいのですから
物知りってわけでもないですよw
蝙蝠は卑怯者じゃないよって言ってあげたい・・・
蝙蝠だけに責任を押し付けた動物は後悔していないのかな~とか色々考えちゃいます・・・
普通が1番!!だけどそれが1番難しいんですよね・・・
私も蝙蝠のように広い心で憎まれ役になれるような存在になれるよう努力しなくては・・・
きょうちゃんってば、物知り!!(*^^)v
これはオリジナルではありませんよ。獣と鳥の話を誰かが独自解釈したものじゃないかな?
割といい話なので、気に入っています。
きょうちゃんってば、童話作家さんみたい!!
全体のことを一番思っている人が、一番つらい立場に追い込まれるのですから、切ないですよね。
それでも蝙蝠はだれも恨まず、寝顔を見て回る。なかなか出来ることではないですが、そういう人になりたいです。
そうですね、人間界でも十分起こりえる話ですね。
だれかが蝙蝠の真意に気付いていれば・・・。結局は遅すぎるのかもしれませんが、蝙蝠をまた迎えてくれたら嬉しいですね。
そうですね、みんなが蝙蝠の想いに気付いて仲直りするって話もアリかもしれません。
それでも元の話よりはずっとましで救われています。
優しくて強くなければ出来ませんよね。世界の悪意をその身に集めるなんて・・・。
なかなか難しいでしょうが、こういう人になりたいですね。
そうですね、獣と鳥の中に、1人ずつでも判ってくれる人が居たら仲良く戻れたかも知れません。
自己犠牲がすぎるように思いますね。いい話だとは思いますけどね。
本家のイソップ童話よりもよほどいい話だと思います。
蝙蝠を見るたびに、この話を思い出しますね。
なんだろう、切なくなりますね…。
おはようございます^^
これは人間の世界にもある話ですね^^
言葉を受け入れる勇気。いつまでも持っていたいですね^^
そう思わずにはいられませんね~^^
自分が悪ものになって去る事で戦争を終わりにしたんですね(>_<)
強くて優しくないと出来ないことですね。
なんか考えさせられちゃいますねぇ・・・。
蝙蝠のことをわかってあげられる動物がいたらよかったのになぁ。