【アナカン】 結婚式当日
- カテゴリ：自作小説
- 2019/11/20 13:09:02
「君は…カーマイン？」
モーヴ ミュ☆ミュさん
カーマイン ネコ衛門さん
レド 和.com
モーヴの結婚を祝うパーティー会場に、慌てて駆けつけた様子の彼を見つけ、
レド軽くは目を見張る。
「ああ、遅くなってすみません」
ずいぶん変わったね、誰だかわからなかったよ…と、
誰にでも当てはまりそうなチープな感想を口にして忙しなく来賓控室へ移動する。
本当に変わったかどうかなんて、レドには解らなかった。
カーマインのことをレドはほとんど知らない。話をしたことも数えるほど。
ただモーヴの目に映る一方的、かつ二重三重にも美化された彼を、
これでもか！ と聞かされただけだ。
こちらで着替えて…と控室のドアを開けた時、レドの目の端に、
あの事故があった〝古城のバルコニー〟が映った。
途端にモーヴの悲鳴が、耳の奥に甦る。
だが、それはもはや、リアルに響くものでも、レドの表情を変えさせるほどのものでも
無くなっている。
カーマインは大丈夫なのだろうか？ とさりげなく様子を窺うが、
上手に感情を隠しているのか、彼にとっては過ぎ去った遠い事柄になっているのか。
夕暮れの光に照らされたカーマインの横顔には、何の感慨も浮かんでいないように見える。
来賓控室のドアを閉め、その場から数歩離れたレドだが、
ふと足を止め、カーマインが礼服に着替えているであろう控室のドアを振り返る。
（こんなに感情をオモテに出さない生徒だった、だろうか？ 彼は……）
...10 years after
『本当に！ 天使なんだよ、彼は』
最初にポートレイトのモデルを頼んだモーヴに、
やや怒った顔 （当然だろう） で、しかも気味悪そうに身を引いたという。
それのどこに天使たる要素があるんだ？ とひそかに思ったのは心の中に留め置いた。
『美しい彼の表情ひとつひとつが、まるで輝く宝石のようなんだ』
早口でまくし立てるモーヴのカーマインは、
彼を知らないレドに、表情ゆたかな生徒という印象を植え付けていた。
そんなことを思い出し、見るともなしにカーマインの姿を眺めていると……。
モーヴに向けた笑顔は心からのものであったろうが、
他の来賓に囲まれているカーマインは、妙に作られた笑みを貼り付けている、と思わせる場面も散見された。
これが10年という時間なのだろうか。
モーヴはあの後もカーマインとは交流を続けてきたはずだ。
今の彼を、どう見ているのだろうか。
最も、結婚式の主役であるモーヴに、そんなことを気にする余裕はないだろうけれど。
「どうしたんだい？ カーマインをそんなに見つめて。妬くよ？」
はぁ？ と思わず声を上げたレドに 「っていうかカーマインは僕のだから！ あげないから」と、
花嫁がメイクを直しに行っているであろう、その隙に、悪趣味な軽口をたたく。
10年を経ても変わらないモーヴに安心し、
そして、そのセリフ！ 今日は特にマズイだろうと思い直し、
レドはモーヴの額を軽くぺちんと叩いた。
*～ *** ～*
モーヴ ミュ☆ミュさん
カーマイン ネコ衛門さん
レド 和.com
モーヴの結婚式を終えた、その夜。レドは自分の部屋の広さに戸惑った。
昨日と何ひとつ変わらないはずのそこは、三度の離婚をした後にすぐ越してきて、
その時は部屋の狭さに、不思議な解放感を覚えたものだ。
レドはシャワーを浴び、半ば濡れたままの身体にスタンドカラーのバスローブを身に着け。
ややソファーに浅く腰を下ろし、ソファーテーブルの上に両足を投げだす。
手に持ったロックグラスを目の高さまで上げると、氷がカラリと小さな音を立てた。
「Here's to ……」
何に？ そんなのは決まっている、モーヴに、モーヴの幸せな結婚生活に。幸多き未来に。
だが、続く言葉がレドの口から発せられることはなかった。
昨日と何ひとつ変わらないはずのそこは、三度の離婚をした後にすぐ越してきて、
その時は部屋の狭さに、不思議な解放感を覚えたものだ。
レドはシャワーを浴び、半ば濡れたままの身体にスタンドカラーのバスローブを身に着け。
ややソファーに浅く腰を下ろし、ソファーテーブルの上に両足を投げだす。
手に持ったロックグラスを目の高さまで上げると、氷がカラリと小さな音を立てた。
「Here's to ……」
何に？ そんなのは決まっている、モーヴに、モーヴの幸せな結婚生活に。幸多き未来に。
だが、続く言葉がレドの口から発せられることはなかった。
～ * End * ～
.
テラスハウスは賃貸です。借り物です。
最初の結婚で引っ越すのと同時に、契約解除して返してます。
ロンドンのテラスハウスって、結局それほど使えていないと思うんだよね (*ﾉωﾉ)
良い大学って、のきなみロンドンにないんだもんｗ
＞三度の離婚をした後にすぐ越してきて
最初のテラスハウスは最初の離婚をしたあとに売ったんだったよね。
ある種の絆があるのは間違いないけど。恋愛か？ 恋愛なのか？
でも、この時点、または独白の時点では、恋愛と言ってもいいのかもれない？
オトナですよ、この時、27歳ですからｗ
17歳ではありません。
でも、3回の離縁の被害者(と言っていいはず)の事を妙に考えてしまったｗ
男同士の絆(恋愛かどうかは置いといても)の中には女は混ざれない
自分がそう思ってるからだろうなー。
モーヴって自分が想われてる事気付きもしないんだろうか。
それとも結婚して倦怠期とかが来た頃
ふとカーマイン以外の事思い出したりするのかな。
モーヴが何度か、ミュ☆ミュさんの「アナカン」でぺちんと叩かれてますｗｗｗ
それを借りてみました (((o≧▽≦)ノ彡
お嫁ちゃんのことを思えば、額ぺちん程度では済まないでしょうけど。
でもまぁ、この話は視点がレドですから！
またもう一度これ読むと違った味わいがあります。
額ぺちんするレド……
＞カミングアウトしたらダメでしょう。面白くなくなるから。
＞秘密がいいんだ！ 秘密が…… 和ちゃん的には。
とっても同意 ( ･ㅂ･)و ｸﾞｯ !
ちーと不満である～ (*´-ω-｀)・・・
まぁ、書いた時期を考えると仕方ないけど……
祝う気持ちに嘘はないけど、ストレートには言葉にできない。
ってトコロが私好みなんだわ (((o≧▽≦)ノ彡
カミングアウトしたらダメでしょう。面白くなくなるから。
秘密がいいんだ！ 秘密が…… 和ちゃん的には。
降りしきる雨を見上げながら打たれる自分をクスクス笑ってもよかったね
穏やかな優しさがじんわりとすれ違う大人なレドのモーブへの愛着を垣間見た気がします
誰にも言わないけど そこはそれ ３回も離婚したような奴はゲイだし
仮面夫婦はもう諦めてカミングアウトしたら どう？ ← このセリフは好きな人に言ってもらいましょう