現代日本のタマ文化
- カテゴリ:音楽
- 2019/09/08 08:05:23
ネコの話じゃなくて、真空管のお話でございます。
近年、音楽之友社が真空管を使う組立キット付きムック本を出してまして、
どれも売れ行き好調だそうです。タマ好きの一人として喜んでおります。
最新作は12AU7を使ったFMチューナーのキット。道楽にも程がある。
ラックスマン製のキットというだけでマニアなら飛びつくであろう。
スマホでラジオを聴く方々には永遠に縁のないシロモノですな。
タマの魅力を語り出したら何時間でも語れるわけですが、
まずは人間同様に、一本一本が個性のカタマリだという点でしょう。
同メーカーの同じ品番でも明らかに違う。そこが欠点であり魅力である。
電極をガラス管に入れて真空にしただけのモノですから、
真空の度合によって音色が違います。新品の真空度は高いけど、
経年変化で少しずつ真空度が下がる。増幅率や特性が変わる。
新しめのタマはパワフルでシャープだけどキンキン鳴る気がする。
コイツを何十時間も酷使してると、次第にマイルドになってくる。
オーディオ界でよく言われるエージングという過程ですな。
私はなぜかパワー管のEL34というのが大好きである。
アメリカ製はギラギラだがヨーロッパ製はどこか繊細である。
国産でもヨーロッパ的なヤツがあり、そういうのを狙って手に入れる。
しばらく鳴らしていると高域が落ち着いてくる。その音が好き。
酷使するとハイがさらに落ちてくるので、ウチワで扇いだりする。
数十年前のヘタったタマでもそれなりに鳴る。優しい音である。
熱を持って動作がトロくなることを熱ダレといいますね。
トランジスタや大昔のパワーICでも起きる現象なんですが、
アナログ電子部品というのは、それも魅力であり、唯一無二の音を出す。
オカルトも山ほどある。真空管を電熱器であぶると復活する(やった)とか、
スロバキアの会社は某〇〇社の製造ラインをそのまま使ってるから音がいいとか、
真空管を地球の磁場に合わせ横置きにするほうがいいとか。どれも面白い。
日本の大企業KORGが超小型真空管『NuTube』を市販してるが、
低電圧で動作させてるためか、私の好みではなく残念。
タマって数百Vで駆動させ、ヒーコラ言わせてナンボのモノなのです。
音楽之友社にオネガイ。プリメインのキットも出しましたよね。
でもプリだけタマってインチキですよ。タマの魅力は電力増幅でしょ?
プリはICにして、6V6や6BM8を一本、トランスはタカチってのを出してよ。