【お話】思い出に、赤いガーベラを。
- カテゴリ:コーデ広場
- 2019/05/01 14:46:02
手向ける花は、赤。太陽のように輝いていたあなたには、おとなしい色は似合わない。
もらったステキコーデ♪:9
わたしたちは、時の管理人。
何かがきっかけで、ゆがみ、よどんでしまう、時間の結び目を、
ほどいて、流して、滞りなく世界がまわるよう、
ひそかに、静かに、働いている。
時代の中で、世界の合間で、
触れ合う人、すれちがう人がいる。
一瞬の出会い。
それでも、それが、いつまでも永劫の中に、響いていることがある。
この瀑布の側で、
かつて、時の結び目が、よどんだ。
世界に傷を残しかねないそれを修復するために、
わたしたちは集まって、原因を取り除こうとした。
その時の出会いを、
今も思い出す。
あなたがいた。
あなたがいた。
ねじれ、よどみが暗くひきつれそうになる、その結び目を、
ほどく、ただなかに。あなたがいた。
あれから、どれほどの時が流れたのだろう。
管理人であるわたしでさえも、気が遠くなるような時間の流れ。
それでも、思い出す。
あなたがいた。
あのときの、わたしたちには。あなたがいた。
あなたが、いた……。
白い花は、手向けない。
ひるみ、力尽き、諦めそうになったわたしたちを照らしてくれた、あなたは、
正しく太陽のように輝いていた。
似合うのは、輝く色。
だからわたしは、赤や黄色、金色の花を、
毎年、この場所に手向けに来る。
はるかな時の彼方に去った、あなたの面影を、
偲ぶのではなく。
生きるために。
この記憶を新たにし、共に生きてゆく。そのために。
***
赤いガーベラの花束で、お話が作りたかったので。