Nicotto Town


まったり時間。


【お話】思い出に、赤いガーベラを。

手向ける花は、赤。太陽のように輝いていたあなたには、おとなしい色は似合わない。

もらったステキコーデ♪:9

わたしたちは、時の管理人。


何かがきっかけで、ゆがみ、よどんでしまう、時間の結び目を、

ほどいて、流して、滞りなく世界がまわるよう、

ひそかに、静かに、働いている。

時代の中で、世界の合間で、

触れ合う人、すれちがう人がいる。

一瞬の出会い。

それでも、それが、いつまでも永劫の中に、響いていることがある。

この瀑布の側で、

かつて、時の結び目が、よどんだ。

世界に傷を残しかねないそれを修復するために、

わたしたちは集まって、原因を取り除こうとした。

その時の出会いを、

今も思い出す。

あなたがいた。

あなたがいた。

ねじれ、よどみが暗くひきつれそうになる、その結び目を、

ほどく、ただなかに。あなたがいた。

あれから、どれほどの時が流れたのだろう。

管理人であるわたしでさえも、気が遠くなるような時間の流れ。

それでも、思い出す。

あなたがいた。

あのときの、わたしたちには。あなたがいた。

あなたが、いた……。

白い花は、手向けない。

ひるみ、力尽き、諦めそうになったわたしたちを照らしてくれた、あなたは、

正しく太陽のように輝いていた。

似合うのは、輝く色。

だからわたしは、赤や黄色、金色の花を、

毎年、この場所に手向けに来る。

はるかな時の彼方に去った、あなたの面影を、

偲ぶのではなく。

生きるために。

この記憶を新たにし、共に生きてゆく。そのために。

***


赤いガーベラの花束で、お話が作りたかったので。




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