Nicotto Town



着ぬ


 眺めし 愛し 其の幹に
  頬ずりをし もうすぐ散るだろう花々に
    微笑みを投げかける

 川は緩やかに流れ
   命は思惑から解き放たれ
    自由という不自由を満喫し

 やがて 此処に 還って来る

  不実を不誠実とし
   実はずの無い果実を口にし
    其の甘美な液を滴り流しながら
     私は 貴方は
   常世を絶つ鋏を二人で抱え
     そして 切る

   ああ 輪廻の向こう
  愚かも 罪も 等しく私は持ちながら
   其れでも
  貴方を 此処で 待つ

   枝垂れ桜の夜着を羽織
    常世の治世を思い出し
       笑む


  忌わしきは 我が身
  穢すだけならばこの羽衣も
  鮮やかな桃色を剥奪され
  慮辱されるがままに
 
 名を 失うだろう
 それほどの 頼りなさで
 其れでも 私は此処に佇む

  瀬々らぐ水の流れが
 散る散る花弁を拾い流して逝くよ





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