このまま往くか
　其れとも､､､

別に迷ってる訳じゃない
　只　､､､

改まる理由もない
故に､､､

　強く踏む　激しく吹く
　耳を塞ぎたくなるような
　　声高な悲鳴のような音で
　
　風の音さえも　きっと懐かしいと思うのでしょ
　きつく結わえた髪さえも　乱れ暴れてる

　そうよ　私達はそう在り続けてきたのだもの
　
　　給料の大半もボーナスの全ても
　　注ぎ込みながら共に居た
　　錆付き穴が開いた箇所は一生懸命磨いて
　　　塞いで､､､油まみれの日常も
　　　　貴女と共に過ごす時間と
　　　　貴女共に挑む時間に
　　　　　私は喜びを感じていた

　いつも待ち伏せしている２台の車
　合図一つも無く毎日挑んでくるの

　つんざくような金切り音が激し喜びを歌ってた
　　握るハンドルも　こんな時ばかりは
　　　私に　身を委ねてくれるの
　　　　だから　いつも応えてきたわ？

　　そうでしょ？私の素敵な相棒
　　　-　Lady？　-

　　振り切る快感
　　遠く置き去りにしていく壮観
　　そして　私達だけが奏でるMelodyは
　　　誰にも真似は出来はしない

　　走行距離　１８万㌔
　　　あっちこっち壊れてぼろぼろで
　　　修理できる職人も廃れ
　　壊れたドア一つ探すのに一年がかりとかね

　　其れでも良かった
　　　一緒に過ごせて幸せだった
　　　　雪が降り積もっていた翌日に
　　　　　貴女を見たらrightがつけっぱなし
　　でもね　普通じゃないから
　　　　　貴女は平然と早く走ろうと施すの

　　思いっきり走りたい時は軽井沢
　　　其処に入る時の直線で
　　思いっきりアクセル踏んで
　　　貴女の要望に応えるの
　　　私の気持ちも満ち溢れ
　　
　　　　-　Lady　-

　　　出会えてよかった
　　　私が手に入れた初めての家族
　　　
　　　本当の自立を得たのも
　　　辛く苦しい時も貴女の中でなら
　　　　本音で泣けた喚く事も出来た


　　　其れでも　最後は訪れる
　　　　
　　　お別れの前に吹かせた音は
　　やっぱり大好きな貴女の歌声

　　二度と聴く事の出来ない最高な音
　　　　私達は無敵だったの

　　共に過ごせてよかった
　　気まぐれな貴女は機嫌が悪いと
　　　気持ちよく　走ってくれなかったけど

　　好敵手が現れたら
　　　鼻歌を鳴らすように闘争心を燃やしたわ

　　　炎のように熱く　見透かすように冷めていて
　　　　其れでも　気持ちが繋がっていた

　　　　　唯一無二の此の魂の半分

　**************************************************
　フェアレディZ31型　此の車が当時の愛車でした。
　型の古さからして　色々修理箇所なんかでちゃって
　給料もボーナスも全て注ぎこみ其れでもちまちま
　色々調べて自分でも出来る修理なんかしたり
　
　　晩年彼女は　足元に穴が開く程ひどい状態で
　　でも　もう直しようがなかったのです
　フェアレディと聞くと車好きな方は日産を思いだすかもしれませんが
　私の愛車は　元はダットサンというメーカーが日産に吸収されたので
　日産の作業員さんでは直しようがなく　ダットサンからの作業員さんに
　いつもお世話になつていました

　品川区にフェアレディの専門店あったような気がするけど

　この時代　騒音だと苦情がくるでしょう
　私の愛車のエンジンの音は女性の甲高い悲鳴のような音で
　其れがどれだけ出力の高いものだったのか判ります

　　又　気まぐれな彼女と几帳面な私の性格が何故か相性よく
　　女手で彼女を手入れするのがとても幸せでした

　　１８万㌔　この時の彼女はエンジンは問題無かったのですが
　　外見はひどい有様でした

　　泣く泣く彼女を手放す時　目の前で引き揚げられた彼女の
　　魂ともいえるエンジンが　落ちた時
　　涙をこらえるのがぎりぎりでした

　　私は　車に乗せられるのが大嫌いです
　　車は自分の手足であり　それでいながら良き相方で在るのが望ましい。

　　今は片目が見えないなど　色々ある為に
　　セリカでいます←クーペは譲れない

　　とても　お利口な子で　とても素直で
　　反抗もしない　言われた通りにする

　　此れは車の未来も含め理想なのでしょうが
　　私には　自分で背負う覚悟と義務の放棄にしか感じ取れません

　Ladyは　Ladyのおかげで家族になつた
　　捨てられたロシアンブルーmixの猫を乗せて
　　　遠出もしました。


　家が在り　レディと出勤も帰宅もし　帰ったら
　ロシアンブルーmixの彼女が待っていて
　　私はたった三人の家族なのに
　　　其れがとても
　　　愛しく決して壊れないで欲しいと
　　　　願い続けていたのデス

　　　でもそれは　叶わなかったけど...