【DH】「ユベール」4 終話
- カテゴリ：自作小説
- 2018/12/16 15:38:29
ユベール3 行方
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=688666&aid=66922500
の続き。
＋ ＋ ＋ ＋ ＋
「ねぇ、主様の従兄弟殿ぉ、それもうただキスしたいだけじゃろ？」
「和衷、黙って。」
「さっきまでは、くちうつしでお水を飲ませてたけど、今はお水を口に含んでもおらん」
「うるさい、和衷。」
従姉妹のアルシアは追手ではあったが、彼女は俺を探すという名目で家を出ることで自由を謳歌しているらしく、家の者に知らせるつもりはないようだった。 好都合だ。
そんなある日、俺の幼馴染で家に仕えていたセレスが処刑されたと報じられたことを知り、アルシアを訪ねた。セレスは俺にとっては親友であり兄弟のような仲だった。同時にアルシアを傷つけて逃げた罪人でもあった。セレスの心の内を、真実を聞く間もなかった。心残りのひとつ。 俺にとってももうひとりの探し人だった。
そこで唐突に知らされたレトの居所。
情報の出どころも、信ぴょう性もどうでもよかった。俺の心は沸き立った。ようやく手に入れた手がかりだ。
瀕死の状態と聞かされても、レトに会えるという喜びの方が勝っていた。 使い魔「和衷」を強引に借り受け、和衷の案内で辿り着いた古城でようやく俺の探し人を見つけたのだった。
アルシアの使い魔「和衷」の邪魔にもめげず、俺は口移しでレトに水を飲ませ続けた。 少しづつ顔に生気が戻っているのがわかる。
「あっ、目を開けた」
「あぁ・・・神よ・・・」
いつもは儀礼的にしか「神」などと口にしない俺が本気で神のご加護に感謝した。
「今助けてやるからな。」
「呪いが解けたのをいいことに、キスしまくってましたよ、この人！」
「黙ってろ、和衷！」
「あっ、レトが笑った」
「主様の従兄弟殿、悪いけどそれ、にがわらいじゃｗ」
和衷の悪態がおかしくて、ついにはようやく息を吹き返した俺の想い人を抱きしめながら笑い出した。
+ + +
親に結婚を反対されて家出をした恋人だと宿主に説明をして、ここに匿っていることは内密にしてもうらうことにした。 ただ、いつ追手が来るかも知れず、宿主に迷惑がかかることを心配していると俺が言うと 宿主夫婦がたまに使っていたという山のコテージを使えと提案してもらった。どんなところでもいい、レトと一緒にいられるなら。
+ + +
「レト、もう起きても平気？」
朝、目が覚めて台所に行くと、ようやく起きられるまで体力が回復した彼女がお茶を飲むためのお湯を沸かしているらしい。
レトが柔らかな微笑みを俺に向けた。
ショールを肩にかけて後ろから抱きしめる。
「まだ寒いよ。ほら手もこんなに冷たい。」
彼女の両手を俺の手で包んで温める。
ふわりと抱き上げると椅子に座ってレトを膝の上に乗せ 髪に、額に、頬に、くちびるにキスを落とす。 レトが消えずに傍にいてくれる毎日が愛しい。
「お湯が沸いたわ」
くすりと笑ったレトと目が合って、心が暖かくなる。
「お茶は和衷が淹れてくれるから、きみはここに・・・」
言い終わらないうちにまたキスをする。
「へぇへぇ。お茶を淹れればいいんですね。」
ちょっとふてくされた顔の和衷に右手の人差し指を立てて「その通りだ」の合図だけ送る。
カチャカチャと食器が立てる音に、ふわっと薫るお茶の香りに、お湯の蒸気でだんだん温まっていく部屋に、膝の上の愛しい恋人に、生意気だが仕事が早い使い魔に、俺は幸せの意味を知らされる。 家の為に生きられなかったことを父には申し訳ないと思うが、今この幸せを手放すつもりは全くない。
従姉妹のアルシアにもいつか平穏で幸せな日々が訪れますように。 俺は頭に思い浮かんだ従姉妹の顔に静かな祈りを捧げた。
+ + +
「……和衷、今日はもういいよ。それよりお茶を入れてくれる？」
「うん、わかったー」
「お茶は、甘くないのを頼むね……」
「うん、わかったー」
「お茶は、甘くないのを頼むね……」
主様に留守中の3年間の話をしようとしたが、今日はもういいと言われた。
「まだまだ聞かせたい話がいっぱいあったのに」
和衷はお茶の準備をしながら、おもしろかった日々を思い出していた。
「野草を採りに3人で山に行ったら、熊を見つけちゃって、気づかれる前に3人で走って逃げたこととかｗ」
あの時の主様の従兄弟殿の慌てふためいた顔と、レト様を肩に、私を小脇に抱えて走った時の必死の形相とかｗｗｗ くすくすと思い出し笑いをしながら和衷はお茶を淹れる。
3人で変装をして町に食料や香辛料を買いに行ったこととか。「パパ、これ買ってー」って子供のフリしたら、レト様が乗ってきて「僕にいはこれー」ってお菓子持って来て、「お父さん、かわいい子供たちに囲まれてお幸せですねぇ」って店主に言われた時の主様の従兄弟殿のなんだか嬉しそうな顔とかｗｗ
主様には、ひとつ今までと認識が変わったことをお伝えしなければな。 和衷は窓の外を見ながら考えていた。 主様の従兄弟殿はお城に居た時と違ってよく笑う人だったよ。ホントにいっつも笑ってた。主様にも好きな方ができたら、あんな風にお笑いになるのだろうかね？ そうだ。 「俺に何かあったらいつかアルシアに渡してくれ」と言われた手紙があったな。 あれを主様に渡さなきゃ。
何気なくポケットに手を入れたら、しおれた花が出てきた。
あぁ、あの時の。
3人で花を摘みに行った時だ。
主様の従兄弟殿が敷物の上に座って、その膝の上にレト様を乗せると、レト様が私を膝の上に乗せたんだ。
「髪を編んであげる」
と言われて細いみつあみを上手に結い上げるとそこに刺してくれたお花だ。
あの後、レト様がどこかから来た男たちに攫われて、主様の従兄弟殿と私が後を追ったんだけど、おもしろかった日々はいきなり終わりになった。主様にはちゃんと報告しなければなぁ。
「ユベール・・・ レト・・・」
しおれてもう元には戻らない花をコップの水に差すと和衷は声にはならない声でふたりの名前を呼んだ。
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ARCHMASTER 2018下半期企画 Dark Hero サイト
https://jackthenikotto.wixsite.com/dark-hero
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レト （ユベールの恋人） ネコ衛門さん
使い魔・和衷 和.comさん
呪術士アルシア 和.comさん
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レト （ユベールの恋人） ネコ衛門さん
使い魔・和衷 和.comさん
呪術士アルシア 和.comさん
ユベール 黒沢大和
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どこの時代か、どこの国かは定かではないが、ユベールとレトが生まれ変わってもお互いに惹かれあい、幸せな一生を送ったというのは、また別のお話。
家とか地位とかいらない
好きな人と一緒に居たい・・・
人生短かったから良かったようなもので
これ長生きしてたらダメダメ男だった気がするｗ
うち今朝舞妓はんなんえ( ´∀｀) またゆっくりよらしてもらいます
うちにも欲しい〜 ユベールはいい具合に遊ばれてる感じが♡(｡￫ˇ艸￩)
とりあえずは、レトとユベールに幸せな時間があってよかったなぁ。
ちょっとほっこりした(｡◕ ∀ ◕｡)
らぶらぶな山荘生活をもっと読みたいけど
それがパッと終わる日が来るの知って読んだら辛さ倍増するかな；；
ユベール、両腕に美人抱えて走るとか力持ちだ！
コーデもお話の度に違っててそれぞれカッコよくて楽しかった♪
セレス目線のお話も読めたら嬉しいなとか
アルシアも幸せになってほしいなぁとかね。
いいな、やかん
なんだほのぼのした御伽噺じゃないか
アステリアが星を爆破させて用のない婚約者を亡き者としたって
俺は気にしないよ
不幸にするネタはいくらでもあるが
俺様が敵でなけりゃあいいんだよ
コラボは本当に楽しかったよ。
スピンオフだからこの辺で終わらせたけど
頭の中では楽しかった3年間がいろいろ思い浮かんだ。
レトは優しい希望の星のまま アステリアに変わることなく
平穏で楽しい日々を送ったと思うんだよね。
家に帰してあげるということも考えなくはなかったけど
そうしたら一緒にいられなくなるかもだからねー。
ユベールは片時も離したくなかったんだろうな。
読んでくれてありがとう！
かわいいレトとのお話が終わっちゃうのはユベール的には残念だけど
なんせスピンオフだからｗｗ
いつかまた回想シーンとかあったらいいねぇ。
すごいよかったー
和衷がカワイイ～
すごく幸せそうな楽しい３人の日々
明るい部屋のなかでお湯がわいて３人でお茶する姿とか
森の中ユベールとレトが手をつないで歩いてると
その前を和衷がε=ε=ε=ε= ﾜｰｨヽ(｡･ω･)ﾉ ﾀﾀﾀﾀ･･･って走っていくところとか
キラキラした光景が目に浮かぶよう(´ω｀*)｡o○
ほのぼのしてしんみりして
最高にステキなお話でした(*´▽｀*)
本当にありがとー.ﾟ+.(´∀｀*).+ﾟ.
しばらく余韻を楽しむ(´☯ω☯) ﾟ｡✧
和衷がかわいすぎてｗｗ
小生意気なキャラにしちゃったけど
ユベールにもレトにもすごく愛されたと思うよ、和衷。
わからないところは、わからないままに
しあわせだったらしい っていう話で終わらせてみました。
あとは☤ネコ衛門☤さんがルパンとアステリアで
隙間を埋めてくれるに違いない！ ←他力本願ｗ
3人でタペストリーを紡いでいくような楽しいコラボでした！！！
こちらこそ ありがとうございましたーっ！！！
ありがとうございます～ ヾ(≧▽≦)ﾉﾞ
主人公が思いのほか動かずに七転八倒した「アルシア」だが、
大和さんのおかげで、なんとなく、まとまったわー❤ 嬉しいわーーー。
冷静に考えると、ユベールもレトも、山あり山あり…な人生なんだけどね、
それをあまり感じさせない幸せそう～～～なイメージがあって、読後感がやっぱり幸せ。
堪能しました。ありがとうございます (｡- 人 -｡)
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☤ネコ衛門☤さん
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