Nicotto Town


ヤツフサの妄想


魔法使いの俺が異世界で本当の魔法使いになる 2

~やっぱり本当の異世界だったわ~



なんだろう、この違和感は。

まず臭い。

うん、凄く臭いんだ。

確実に日本のなんちゃって外国なテーマパークじゃ匂わないって言うか、もしファンタジーの世界だとしても、エルフとかお姫様とかと縁遠い匂い。

う〇こ臭い。

よく見ると道のあちこちにデカい糞が落ちてる。

どう見ても人間の出すサイズじゃねぇぞ!

そう言えばなんとか言う映画で幽霊の刑事が「お前、西部劇がカッコいいと思ってるだろ? 違うんだよ! 本当は、まず臭せえんだ! 馬糞がそこら中に落ちてるんだよ!」って言ってたけど、それかもしれない。

そんな事を考えて居たら、道の人垣の向こうから結構高い目線で見下ろして寄ってくる、兵士風の男が来た。

やっぱり馬に乗ってるよ!

あんな高い所からだったら、人垣なんて関係なく先が見えるもんな!


「おい、そこのお前!」

人垣が急に馬を通すように割れる。

「さっき変な言葉で話していたらしいな、この国の言葉がわかるか? 俺はメリモア公国治安兵のスタウトだ、理解が出来たなら首を縦に振ってくれ」

首を縦に振るとスタウトと言う皮鎧を着た兵士が、馬に乗ったままこっちへ来る。

後ろにも部下と思われる兵士が2人、こっちは徒歩だ。

俺がこの世界に来てから兵士が来るまでが速すぎる。

気が付くまでどのくらいボーっとしてたのかは分からないが・・・

確かに気が付いた時にはすでに野次馬が居た。

結構ボーっとしてたのかもしれない。

だとしたら、騒ぎを聞きつけた兵士が上司に連絡して、急いで馬で駆け付けたのかも。

徒歩の兵士はこの辺りを巡回中だったとか?


そんな事を考えていると、スタウトと言う男が5メートルくらい離れたところで馬を止めて、また話しかけてくる。

「いきなり街中に現れたと聞く、どういう状態なのか聞きたい。 詰所までついてきてもらおう。 拒否は出来ないと思ってくれ。 わかったら首を縦に振れ」

再度俺は頷く。

頷いたとたん2人の兵士は走って駆け寄り、俺に縄を掛けた。

「ちょっと待ってくれ! 縄は要らない! 普通についていくよ」

「どうやらこの国の言葉が普通に話せるようだな。 だが突然現れたんだ、何が起こるかわからん。 縄を解くのは危険と判断する。 しばらく我慢してくれないか」

こうして俺は縛られたまま2人の兵士に脇を抱えられて引っ張られ、歩いて数分の石造りの詰所らしき所に連れて来られた。

伝達が速いはずだ。

かなり近い所に詰所が有ったのだ。

詰所と呼ばれるところは近くの建物より少し小さめだが、逆に言えば周りの建物が2階建てから3階建ての結構大きな建物と言える。

詰所は交番みたいなものかな?

日本の交番よりは何倍もデカいし、石のレンガで作られていて小さな砦みたいな作りだが・・・

それに櫓が付いている。

そこだけは木製だけども、かなり高くて廻りの家を上から見れるくらいの高さはある。

建築の基準は結構高そうだ。


中に入ると丈夫に作られている意味がすぐに分かった。

幾つかの留置所と言うか牢屋がある。

兵士はここで入り口と中を見張り、騒ぎを起こした者を一時的に閉じ込めて処分が決まり、次第次の場所へと移されるか釈放となるのだろう。

それにしても何だろう、地下牢とかじゃないのか?

入り口入って奥にそういう施設が直ぐに見える。

そりゃ監視には都合がいいけど、外との隔たりは分厚い木の扉だけしかない。

盗賊の一味とか捕まえてたら、仲間が数で押したら突破されちゃうんじゃないか?

縛られたままそんな事を考えて居たら、嫌な予感がしてきた。

そう思ったとたん兵士はいきなり身体検査を始めて、俺の持っていた時計から眼鏡まで取り上げられた。

「眼鏡が無いと物が見えないんだ、それだけは返してくれないか?」

「こう言うのも決まりでな、異国ではどうか知らんが諦めろ」

服も取り上げられ、簡素なポンチョみたいなものと紐を渡された。

これで腰を縛れと言う事らしい。

下着が無いぞ!

しばらく俺もここに留まる?

飯は出るのか?

と言うか、布団が無いぞ?

あの奥にあるきったない藁で寝るのか?

そ、そんな訳ないよな。

隊長さんらしき人もいるし、牢屋は空。

直ぐに事情聴取があると思っていたが、当てが外れた。


スタウトと名乗った男はそのまま出て行った。

他の兵士は取り調べをしないみたいだ。

取り調べは尋問管が来ると言われ、そのまま牢屋にぶち込まれた。

「尋問管はいつ来るんです?」

「わからん、尋問管は忙しいからな。 2~3日中には来るだろう。 いきなり街中に人が現れたんだからな」

「そんな事態でも2~3日かかるんですか?」

「ああ、凶悪犯罪もあるんだ。 どうしても早く尋問して仲間がいるかどうか確認しないと危ないんだ」

『それもそうだ、この創りじゃ直ぐに突破されたら折角捕まえた犯人をみすみす逃がす事になる。 けどそれでも俺の事だって異常事態だろ、早く来てもいいんじゃないか?』


食事は1日1回だった。

物凄く腹減った。

飯もまさに"臭い飯"ってやつだ。

確かに栄養は考えられてるだろうけど、食材は確実に廃棄する部分だし、味付けなんて何もない。

ただのごった煮だ。

やはり布団は出されず、シラミでもわいてそうな藁で眠る事になった。

トイレもまともに無い。

小さな樽が隅にあるだけ。

3食昼寝付きかと思ったが、とんでもなく甘かいって事がものすごく苦痛で仕方ない。

しかも衛兵は2~3日と言っていたが、尋問管が到着したのは1週間掛かった。





カテゴリ

>>カテゴリ一覧を開く

月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.