悪魔なので邪神を育てる事にした 24話
- カテゴリ:自作小説
- 2018/11/19 18:37:06
~ 明日を救え ~
バアルはこの時どうなったのか状況が把握できないでいた。
しかしこの偽ゴー〇ドライタンとか言うゴーレムと思われるロボットと言う物の中に居れば、確実に人間に怪しまれてしまう。
幸い外は夜。
建物や街灯の明かりで見つかりやすいとは言え、急いでここから空を飛んで逃げればやり過ごせるだろう。
問題は消えた宇宙人がこの後どう出てくるかがわからない事だ。
バアルは社員である悪魔達の居る方へ飛ぶ。
その中から友人であるバルバトスとルシファーの右腕パイモンを見つけだした。
パイモンはルシファーの部下で有り実力者、バルバトスは未来を予見する能力がある。
「バルバトス、ここに居たか! パイモンも丁度良く一緒にいてくれて助かった」
「あたりまえよ、あんな魔界にも地球にも無いはずの科学力を野放しに出来ないから、バルバトスと相談していたの」
「そうだったのか、私もその事で聞きたいことが有ってお前達を探していたのだ」
「お前の聞きたい事はだいたいわかるぞ、あの宇宙人を名乗るモノの次の一手だろ?」
「その通りだ。 このまま何もないとは思えんのでな」
「すでにパイモンの予想する宇宙人の力を踏まえて、奴等のこの先の行動を見てみた」
「で、どうなのだ」
「不味いな。 衛星軌道上から巨大なエネルギー兵器を使うだろう、それも地球で凍り付いたスノーボールになる位のな」
「衛星軌道上・・・ 我らの翼ではそこまで飛べぬ、どうすれば」
「邪神が居ればなんとかなるのに、こういう時に限って居ないのよねぇ」
その頃邪神様は、SNSで知り合った仲間と麻雀していた。
『くっ、私が飛べるのは空気がある所までだ。 星の外からの強力な攻撃をどう防げば良いと言うのか!?』
そう言えば社員として無理やり連れて来たアスタロトが居る事に気が付いた。
アスタロトは、呼び出した者に科学的知識を与える悪魔ある。
彼ら相談すれば!
間に合うのか?
直ぐに気配を感知する魔法を最大に広げる。
どうやら一旦魔界へ逃げようと、魔界の入り口アキバに向かっているらしい。
バアルは全力で彼を追った。
邪神様の様に音速を突破する事は出来ないが、それでもマッハ0.75、時速にすれば918キロだ。
航空自衛隊のジェット練習機T-4と同じ速度が出る。
素早くアキバの入り口に加速する!
鶯谷駅から直線距離で約30キロ、空を飛んで時速910キロで移動すれば僅か2.4秒くらいの距離だ。
そしてアスタロトを捕まえると、対処するにはどうしたらいいのか聞く。
「どうしたらいいのだ、アスタロト!」
「俺の力じゃ何にも出来んぞ、知識はあってもな」
「だから、私やバルバトス、パイモンで防ぐ方法は無いか聞いている」
「ならば、俺も加わるなら最低限度人間に被害を出さないくらいはできるだろな」
「どうすれば!?」
「皆で魔力を合わせ、多重決壊をピンポイントで複数重ね掛けして、威力を最小限に吸収するしかあるまい」
「・・・」
「なにを黙っているのか?」
「あまり科学的じゃない気がしてな・・・」
「そんなことは無いぞ? エネルギー兵器の種類によって違う魔力展開をしなくてはならんのだから」
「そ、そうか・・・ とにかく頼む」
「まず、あの攻撃を散らしてはまずい、散らしても大気が凍り付く。 それでは人間は呼吸も出来ん。 つまり光線状の冷気をシールドで包むんだが、しかしそれだけでは足りぬ。 シールドに包まれても熱を吸収し続けてしまう、だから熱吸収を止めるための遮断膜をシールドの上に掛ける。
これだけでも1人では無理だ。 二人で同時に魔法をリンクして展開しないと大きな被害が出る。 更にこれを消してしまわないといけないのだが、これも熱力学第二法則で消せるレベルではない。 すでにあれならばマックスウェルの悪魔とも言える、どうしても全てが無に帰すだろう」
ゴクリ・・・
バアルは理解が及ばなくとも、そのすごさは伝わる。 冷や汗をかき喉を鳴らして話を聞くしかない。
「閉じ込められた超超低温以上の低温の粒子、もはやマイクロ特異点(マイクロブラックホール)の激流とも言えるあの粒子のビームを閉じ込めたシールド内で特異点特有の次元のゆがみが発生するのをコントロールし、全て1点に集め巨大ブラックホールになる直前、次元に穴をあけるのだ。 そうすれば次元の彼方にありビームを散らす事が出来る。 これには、シールド、遮断、粒子の集中、次元の穴の制御と4人の力をシンクロして行うしかあるまい。 その為にも我らが心を一つにする必要がある」
「そうか、まず心を1つにすることが必要なのだな」
「そうだ、心を一つにする。 つまり俺ことアスタロトの心と1つになる事で、知識すら共有しタイミングと分担を合わせ行うと言う荒業だな」
この会話は全てバルバトスやパイモンにも通じている。
直ぐに皆が集まり、自分たちの周りに大きな魔法陣をいくつも描いていく。
これは防御の為ではなく、シンクロするための魔法陣だ。
既にみなうっすらと汗をかいているのは今までやったことがないシンクロ多重魔法に力み過ぎているからと言う事だろう。