Nicotto Town


ヤツフサの妄想


悪魔なので邪神を育てる事にした 14話

~ そして平和へ ~



「ゲホッ、ゲホッ・・・ ああ、死ぬかと思った。」

水爆並みの爆発でも、ルシファーは満身創痍になったが生き残っていた。

「これに懲りたら、我のコレクションを壊すでないぞ」

「クッ、殺せ!」

「そのセリフは女騎士以外認めんのじゃ! それに目から〇動砲より弱くしたのは、お主がベルゼバブの大陸から来た難民の世話をさせる為じゃ」

「・・・」


その会話にバアルが割り込む。

「邪神様・・・ 大陸の住民全てとなると、ルシファーの王国には入りきらぬのでは無いでしょうか・・」

「心配いらんと言うておろう、ベルゼバブの領土である大陸は、ハエの王ベルゼバブの影響で、メチャ臭っさいので元々住民も魔物も少ないのでのぅ」

「・・・」

「でもまぁ、気が向いた時にでも大陸を直しておくかの」


バアルもルシファーも口をポカンと開けて何も言えなくなった。

こうして第二次魔界対戦は終結したのである。



薄藤色から泡藤色へのグラデーションの空に、空の色を移した若紫の海。

邪神様とバアルは、第二次魔界対戦の後、海岸で黄昏の時を過ごしていた。

美しい。

そうバアルは思う。

海岸は静かに波の音だけが響く。

先に口を開いたのは邪神様である。

「のぅ、バアルよ」

「何でございましょう邪神様」

「おぬしは神とは何か考えた事は有るか?」

「私は昔から天界に住むものが神で、魔界に住むものが悪魔だと思っておりました。 邪神様から世界に神が4柱しか居ないと聞くまでは」

「確かに我はそう言った。 じゃが実際どうじゃ? 悪魔はここにおるし、元は神と崇められたりしておったじゃろ」

「それ故に今は何が神なのか悪魔なのかわかりません」


バアルはぼんやりと海を見ながら答える。

その目には何も映っていないかのように。

「実はな、我の言う神とは緒元の神の事でしかないのじゃ。 そして今居る神とか悪魔と言うのを作ったのは緒元の神ではない」

「では私たちはどのように生まれたのでしょう?」

「人間じゃ」

「人間?」

「人間の想像力が具現化したものが、お主たちなのじゃ」


そう言えば以前、邪神様が「今居る神は『ぼくのかんがえたさいきょうのかみ』じゃ」と言っていたのを思い出す。

「では私を含めた悪魔も、天界に居る神や天使も人間が作ったと?」

「そうじゃ。 人間が自然の不思議を見て『こうだったらいいな』と思い続けた結果、天界や魔界に具現化した存在なのじゃ。 我と違い宇宙の誕生から存在したエネルギーが具現化したものではないのじゃ。 それ故人間が滅びれば、神も悪魔も伝承する事が出来ず消え去ってしまう、人間の祈りから生まれたもの。 我はおぬし等も人間も、どちらの誕生も見て来た。 そしてどちらも可愛い我が子じゃと思っておる」

「ハハハ・・・ 邪神様、それだと何処かにド〇えもんとか居そうですな」

「おぬしがドラ〇もんを知っていたのは驚きじゃが、確かに天界に住んでおるぞよ」

「天界って凄い所なんですね・・・ 以前私が天界に居た時には感じませんでしたが」

「天界が凄いのではない。 凄いから天界なのじゃ」


バアルは自分の存在が人間の思いによって出来たと言う事を聞かされて、人間界を侵略する意味をぼんやりと考える。

「さて、せっかくの海じゃ! 泳ごうかの!」

「私は遠慮しておきますよ」

「付き合いの悪い奴じゃて」


そう言うと邪神様は海へチャプチャプ入って行った。

バアルはそれをぼんやり眺めていたが、ふと気が付くとそう言えば頭のヒラメが無くなったままだと気が付いた。

それになんだかさらに退化してレベル1になっている。

『もう形もタコじゃなくてクラゲと火星人のハーフみたいになってるな』

そのまま波間に漂う邪神様を眺め続けた。




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