悪魔なので邪神を育てる事にした 8話
- カテゴリ:自作小説
- 2018/10/15 20:11:49
~ 人間界は世知辛い ~
「邪神様、痛くないのであれば何を泣いておられるのです?」
「それがでんがな。 邪神はんが撃たれてすねるさかい、帰りにアキバの虎〇穴とかメ〇ンブックスに寄って本買うたんや。」
「無かったのじゃ・・・ ヲ級たんの薄い本が売り切れておったのじゃ」
「ヲ級ですか?」
「邪神はん、艦娘ファンですねん。 ヲ級は空母ヲ級の事でんな」
「邪神っちキモー☆ ヲタクだったんだ~」
「うるさいのじゃ! 犬飼なんぞ昔からロリじゃぞ! 赤ずきんちゃんの時代から進歩しておらんのじゃぞ!」
「犬飼とは誰の事で?」
「ワイですわ。 魔界ではディクって名前ですけど、人間界では都合が悪いんで犬飼実て名のうとります。 人間界では戸籍とか口座とかマイナンバーとか無いといろいろ苦労しまんねや」
「あ~それわかるぅ~ 手っ取り早く風俗で稼ごうと思ったら~ あの業界って外国人とか家出少女とかに厳しいって言うか、無理系? とりま女の子は家出少女とか言ってヲタクの毒男リーマンに魅了の魔法使うと、ほいほい連れ込まれてそれなりに何とかなるけどねぇ」
「ワイは背乗りしたわ」
「それって~ 赤ずきっちの時にぃ~ お婆さん喰っちゃった系?」
今の話を聞いていると、どうやら人間界に潜伏するのもかなり難しいか。
人間界での邪活をする上で、視察をすべきだと思っていたが、姿が目立つ私では人間に化けねば活動もしづらいかもしれん。
実はバアルが人間化するとイケメンだと言う事に本人は気づいていない。
何とかして私も人間界に入る方法を模索せねばならぬと言う事か。
活動拠点となる場所も確保したほうが良いだろう。
「ところで人間界には天使もいるはず、奴らはどうやって活動しておるのだ?」
「天使とかぁ~ 殆ど橋の下の段ボールに住んでるぴょん。 時々補導されててチョ~うける」
「そやね、悪い事出来ひん天使の方が苦労してますな。 日雇いで現金収入でないと金ないよって」
「我は住所をメイド喫茶に偽造して口座を開設しておる、保証人は代行サービスじゃの。 実際人間界ではそうでもしないと活動出来ん」
「となると私めもそのように裏から手をまわして人間界に入らなくてはならないと言う事ですか、活動拠点となる場所も欲しいですし」
ここは素直に人間界に詳しいものに知恵を借りる事にした。
しかし邪神様から意外な答えが返ってくる。
「拠点を作ると言うなら何も我の様にこそこそせずとも好い方法があるぞよ?」
「な、なんと! 邪神様、それはいったいどの様な方法でしょうか」
「我は仕事とかしたくないからこういう事をしておるが、バアルは勤勉じゃし元々農耕の知識も多い。 会社を作って高齢化で耕作放置された畑を耕すだけでも十分いけるじゃろ」
「それはよいのですが、人間界での身分証明などに使うものはどうしたら」
「言ってなかったかのぅ。 魔界の神殿には住所があるのじゃ、ここを出身地にして転居したことにすれば身分証も口座もマイナンバーも貰えるぞい」
なんだとおおぉぉぉ
と言うか神殿に人間界の住所があるとは知らなかった!
通りでア〇ゾンから荷物が届くはずである。
「とりあえずじゃ、魔界の入り口に最も近い魔境グンマーか魔界都市アキバに会社を設立し、活動しつつ拠点を増やし、魔界の入り口を増やすとよいぞよ」
「宗教法人も大規模に立ち上げたらええんちゃいますか?」
邪神様や犬飼ことディクの言う事は解る。
しかし何かが欠けているのではないか?
万全な備えをするのであれば、戯れに人間界で遊んでばかりいる邪神様や人狼の言う事だけを聞いていては、思わぬ落とし穴があるかもしれない。
邪神様自身未来が見えて居るのであれば、警察などに追い掛け回され銃で撃たれるなどと言う事はあるまい。
ここは未来を見通す事の出来る悪魔で、バアムの同期でもある堕天使バルバトスに聴いてみようと思った。
話が盛り上がっている邪神様とディクが「冥途喫茶を経営しよう」等と言っている横を、バアムは一旦用事があると言って神殿を抜け出し、バルバトスの居る魔界の兵舎へと向かった。
「邪神殿がそのような事を言ってたのか。 ハハハハハハハ ッゲホッゲホッ 笑死ぬかと思ったぜ」
「笑い事ではないぞバルバトス、人間界への拠点作りはもはや一刻の猶予もならぬ」
狩人のような恰好をしたバルバトスは、一軍を率いる将でありながらも隠れた財宝を見つける能力と未来や過去に精通し、百戦百勝の悪魔である。
人間界に精通していると思ったサキュバスも人狼も活動そのものは限定的過ぎて、これからの拠点作りには方向性も見いだせない。
ならばある程度未来を見通す事の出来るものに、どの様な未来があるのか聞いてみる事が手っ取り早いのではないかと思ったのだ。
問題は未来と言うのは不確定であり、何をしたらと言う事を具体的に聞かなければどんな結果になるのか答えが出せない事である。
「まぁ、拠点作りをしたいと言うのはわかった。 が、君の得意な農業などに手を出してもよいことは無いな、むしろ無駄に財を捨てるようなことになる。 それに宗教法人も大きくやれば悪手だ。 やるならもっと裏社会で暗躍し、最初から邪神教をあまり広げない事をお勧めするよ」
「私は元々は古代パレスチナでは豊穣の神とも呼ばれ、異教徒の制圧によって悪魔とされた。 それゆえ農業には精通しているがそれ以外は詳しいわけではない。 邪神様がネットで色々見ているのをたまに聞いているだけで詳しくわからんのだ」
「ほほぅ、邪神殿がネットをねぇ・・・ うむ、この機会に邪神殿を働かせてはどうか? それならよい未来が見えるぞ」
「邪神様を働かせるだと? 幾ら同期とはいえ言って良い事と悪い事が有るぞ!」
「落ち着けバアル。 邪神様の力は魔力にあらずではないか。 それに我らが悪魔が悪魔たる所以を忘れたわけではあるまい。 邪神様とて同じことよ。 今現在、魔界や天界よりも人間界が活発化している。 それは人間が文明を発展させ、魔界や天界の魔法よりよりも優れた科学技術を元に、昔と違い少ない労力で大きな収穫をしているからだ。 ならばその力、利用しない手はないだろう?」
バアルは昔の苦い思い出がよみがえる。
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この物語はめっちゃフィクションです。
基本邪神の設定を面白おかしくさせる為に適当に考えました。
神様仏様を信じている人ごめんなさい <(_ _)>
バアルは悪魔辞典にも乗っている結構メジャーな悪魔ですw
https://ja.wikipedia.org/wiki/悪魔の一覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/バアル
因みに参考になって居るのはゲームの「グランブルー」の画像をイメージしています
https://lh3.googleusercontent.com/7pibB-rxYUK0fuwjEP8EuuKNta4EpXfYBPcnZ1oRZUFJPn2Su93v2cL6DtII76q-Ke7rr-wXOuqykZtOI2QOr3001ikouehPpnJF9ejracgY
因みに親も嫁も妹もいます。