Nicotto Town


✪マークは作り話でし


✪ 果物店

旅先で大きな栗の木を見かけた、たわわに実った栗の果。
私は勝手に、あの大きさは丹波の栗でしょう!と思った。
それと通りをはさんだ向かいに、
私の視線は果物店にそそがれていた。
硝子戸を備えた昔ながらの店構えで、
奥の壁には柱時計や色褪せた木箱が積み上げられている。 
妙になんだか懐かしい気がして、店の前で足を止めた。
店番をしながら黒いきゃしゃなスッールに腰かけて、
その女性は退屈そうに本を読んでいる。
列車が通り過ぎる振動で硝子戸がピリピリと音をたて、
天井から吊り下げられた電燈がゆれている。
立ち止まった私の背後で、
時間が波のように引いたり寄せたりしていた。
「いらっしゃいませ!」その女性に声をかけられた時、
果物店の奥にある時計の音は止まった。
思いもよらぬ、あの人。
そう、忘れはしない初恋の相手である。
かれこれ30年は経っただろうか?、私の顔を覚えてるだろうか?
随分と太ったからな自分。
「何にしましょう?」思いのほか虚ろな声、
私はザルに入れられた栗と柘榴を指さして「これ、お願いします」と言った。
お金を払った私にその女性は、
「この中に燈を入れときましょうか?」と言った。
「燈って?」私は何のことかわからず聞き返した。
「だって柘榴祭りにいらっしゃるんでしょ、今夜は満月ですから」、
そう言って柘榴の果に銀色の粉のようなものを振りかけてくれた。
すると柘榴の果はにわかに輝いて、
そのルビィ色の光が舗道を淡紅く照らした。
気が付くと周りは薄暗くなり、
月は高く黄色みをおびた白で街を照らしている。
「なるほどね、柘榴が月の紅を吸い取ったというわけか」、
そんな言葉が不思議と自然に出た。
少しその燈で歩いて振り返ると、
硝子戸や柱時計にまぶしい電燈は変わらないのに。
店先には髪の白い主人らしき老人が笑っていた。



アバター
2018/09/16 01:49
夜分です ^ - ^ お話とちょっと関係ない内容ですが…
最近PC調子悪いままなのでスマホでinしてるっす。
14日の朝、数日ぶりに訪問して日記をまとめて拝読中、
何故だか1個前のお話『紅彗星酒』の項を開くと、固まる画面、
何度かトライし文章の前半部分読みかけてると、またもフリーズし落ちる。
落ちるのでまたログインし直し、同じく項を開こうとするとフリーズする。
スマホのせいだと思いながら今晩再度開くと、やはり固まる、落ちる。
他の日記は通常に読めるのよ!なんでだろう? 最後まで読めないのは
とても気になる気になる〜 耳のお酒あたりまではなんとか読めたのね。
お話マークの記号のせいかな?とか思ったけどこの『果物店』は大丈夫。
なんなんざんしょ??

酒呑みを自粛中のわたしには、禁断のストーリーなのかいな?!
ブラしゃんだから何か不思議な御呪いかけてるんかいな??
わたしを寄せ付けちゃならんストーリーなのかなぁ?!?
…と、ブラしゃんワールドの不思議が、スマホ画面からも届くのであった ^ - ^;
おやすみぃ
アバター
2018/09/15 13:06
☆マークだから作り話?

アバター
2018/09/15 13:04
日記投稿からの訪問です。
ザクロ祭りって、あるんですね。
調べたら、長野県?でいいんでしょうか?

何だか詩的な言葉が興味をそそりますね。幻想的。
アバター
2018/09/15 11:56
柘榴が光る様子を思うと・・・本当に美しいでしょうね^^
アバター
2018/09/15 08:55
30年もたったのね
アバター
2018/09/15 08:09
まぁ~~~~!!゜∀゜!!

な、、、気分になりました^^
アバター
2018/09/14 20:49
時に褪せぬ色^^。



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