今、もう一度
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/08/15 18:43:27
3年前に投稿した詩ですが、終戦記念日に添えて、再び投稿します。皆さんに想い出していただきたく。
弔詞 石垣 りん
職場新聞に掲載された一〇五名の
戦没者名簿によせて
ここに書かれたひとつの名前から、ひとりの人が立ちあがる。
ああ あなたでしたね。
あなたも死んだのですね。
活字にすれば四つか五つ。その向こうにあるひとつのいのち。悲惨にとぢられたひとりの人生。
たとえば海老原寿美子さん。長身で陽気な若い女性。一九四五年三月十日の大空襲に、母親と抱き合って、ドブの中で死んでいた、私の仲間。
あなたはいま、
どのような眠りを、
眠っているだろうか。
そして私はどのように、さめているというのか?
死者の記憶が遠ざかるとき、
同じ速度で、死は私たちに近づく。
戦争がおわって二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えている人も職場に少ない。
死者は静かに立ちあがる。
さみしい笑顔で
この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。
私は呼びかける。
西脇さん、
水原さん、
みんな、ここへ戻って下さい。
どのようにして戦争にまきこまれ、
どのようにして
死なねばならなかったか。
語って
下さい。
戦争の記憶が遠ざかるとき、
戦争がまた
私たちに近づく。
そうでなければ良い。
八月十五日。
眠っているのは私たち。
苦しみにさめているのは
あなたたち。
行かないで下さい 皆さん、どうかここに居て下さい。
職場新聞に掲載された一〇五名の
戦没者名簿によせて
ここに書かれたひとつの名前から、ひとりの人が立ちあがる。
ああ あなたでしたね。
あなたも死んだのですね。
活字にすれば四つか五つ。その向こうにあるひとつのいのち。悲惨にとぢられたひとりの人生。
たとえば海老原寿美子さん。長身で陽気な若い女性。一九四五年三月十日の大空襲に、母親と抱き合って、ドブの中で死んでいた、私の仲間。
あなたはいま、
どのような眠りを、
眠っているだろうか。
そして私はどのように、さめているというのか?
死者の記憶が遠ざかるとき、
同じ速度で、死は私たちに近づく。
戦争がおわって二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えている人も職場に少ない。
死者は静かに立ちあがる。
さみしい笑顔で
この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。
私は呼びかける。
西脇さん、
水原さん、
みんな、ここへ戻って下さい。
どのようにして戦争にまきこまれ、
どのようにして
死なねばならなかったか。
語って
下さい。
戦争の記憶が遠ざかるとき、
戦争がまた
私たちに近づく。
そうでなければ良い。
八月十五日。
眠っているのは私たち。
苦しみにさめているのは
あなたたち。
行かないで下さい 皆さん、どうかここに居て下さい。
防人の詩 ナターシャ・グジー https://www.youtube.com/watch?v=8dUOGXII_jk
いつも何度でも ナターシャ・グジー https://www.youtube.com/watch?v=xQJog0rs7Eg
鳥の歌 ナターシャ・グジー https://www.youtube.com/watch?v=0fBS_HEvJXs