「年金ようかん」の話。①
- カテゴリ:日記
- 2018/07/30 07:35:43
朝日新聞日刊・7月29日(日)の4面に下記のような記事が記載されておりました
ので観覧下さい。
「年金ようかん」どう分ける
将来に残すべき分 今の高齢者に移転
少子高齢化が進んだ平成の間、年金への関心は高まった。限られた財源を
どう分かち合うべきか、世代間の折り合いをつける難しさが鮮明になった。
制度への信頼を揺るがす運営組織の不祥事も頻発した。
(編集委員・浜田陽太郎)
「僕らの分は僕らで守る」
二年前、慶応大学の学生だった小池豪太さん(22)と金岡弘記さん(23)は
驚いた。
「このままだと、若者から今の受給者への年金資産の移動が続いちゃう」
社会保障のゼミで年金制度の成り立ちを勉強した。
彼らがまだ小学生だった2004年、日本の年金は大きな転換を遂げていた。
それまでは、一定水準の年金給付を維持するため、保険料を値上げするのが
原則だった。しかし、少子化が進んで現役世代が減る中、この仕組みのままだと
保険料を際限なく上げ続けることになってしまう。
そこで、発想を転換し、保険料には上限を設けて、その範囲内に給付を抑える
事にした。保険料は予定通り、13年間にわたって段階的に引き上げられ、昨年、
厚生年金は標準報酬月額の18・3%、国民年金は月1万6900円で固定された。
年金は5年ごとに先の100年を見通し、その間に保険料と税、積立金の取り崩し
でいくら収入があり、どのように給付とバランスをとるかが計算される。
その結果で算出される巨大なお金の塊を、小池さんらは「ようかん」に例える。
そのようかんを今の高齢者と、将来の高齢者である若者の間で分け合うとどう
なるのかを考えるのだ。
高齢化で年金受給者がようかんを食べる期間が延び、今の高齢者の取り分が
増える。そこで一人分の食べるようかんの「厚み」を抑えることにした。
これが「マグロ経済スライド」だ。
年金の給付額を改定するときに、現役世代が減った分と今後の平均余命の
延びの分を差し引く。
ただ、この仕組みは、うまく働かなかった。
年金の制度設計には、賃金や物価が上昇するという前提がある。
賃金や物価がマイナスの場合はマグロ経済スライドを発動しないことになって
いる。
年金の名目額を下げてまでスライドを発動しない「各目下限」と呼ばれる
ルールである。
平成は長引くデフレで平均賃金が伸び悩み、マイナスの年も多かった。
そのため、マグロ経済スライドが発動されたのは15年度の一回だけ。
今の高齢者のようかんを薄くできず、現役世代の将来のため残すべき分が
今の高齢者世代に移動していった。
「僕らの年金は僕らで守る」
そのためには、「マグロ経済スライドをフルに発動する必要がある」と考えた
小池さんは、官僚や政治家、そして年金を受給している退職者の団体と対話
を重ねることにした。
この続きは「年金ようかん」の話。②を観覧下さい。