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西郷どん 感想文

西郷どん 第27回「禁門の変」
NHK 日曜夜8時~
▼平岡円四郎
今回の感想に入る前に、慶喜の家臣で暗殺された平岡円四郎について書いておきます。
前回の感想で慶喜暗殺未遂事件は創作ではないかと書いたのですが、
創作にしては今回えらく掘り下げてるなと思い、調べなおしてみたところ、
平岡円四郎はドラマにあったように水戸藩士によって暗殺されています。
しかし慶喜を暗殺しようとしたのではなく、どうも平岡自身を狙ったようなのです。
平岡は慶喜からの信任篤く、自身も慶喜のために活動していた公武合体派の志士の1人でしたが、
慶喜の手先として攘夷派から目をつけられ、暗殺されてしまいました。
ドラマではこの事件を拡大解釈し、慶喜の身代わりとして殺されたことにしたのでしょう。
ただしこの時期の平岡は、慶喜の代わりに動いているようなものでしたから、
平岡暗殺の報せを聞いた慶喜が、生きた心地がしなかったのは、あながち間違いではないと思います。

▼桂小五郎と中村半次郎
今回は、吉之助と桂小五郎の出会い、中村半次郎(桐野利秋)との再会、
池田屋事件をさらっと、そして禁門の変までが描かれました。
まず桂小五郎ですが、言わずもがな後の木戸孝允です。
この人は逃げてばかりのイメージがありますが、実際は文武両道で剣の達人だったようですね。
しかし過激な攘夷を叫ぶ久坂玄瑞ら松下村塾出身者や来島又兵衛とは違い、
上海へ渡航以来慎重派となっていた高杉晋作と同じく、慎重論を唱えていました。
なのでドラマで桂が言っていたことは、彼が実際考えていたことに近いと思いますが、
まさかあの時期に薩摩の西郷と接触するなどということは、ありえないかなと思います。
ましてや慶喜とまでw
ただこの時期桂が京で長州藩のために活動していたことは確かで、
ひょっとしたら別の形で吉之助と会ったこともあったかもしれません。
さすがに慶喜とは無理かなと思いますが。
一方、中村半次郎は、吉之助がまだ若い頃に薩摩で畑泥棒をして
男たちに追いかけられていたところを助けた少年です。
これも多分創作なんでしょうけども、まぁこのくらいならいいと思います。
しかし、「人斬り半次郎」という物騒な二つ名は、池波正太郎の小説のタイトルから来たもので、
実際に彼が暗殺を決行したのは1回だけだったようで、それも1867年なので、
この時点で「人斬り半次郎」と呼ばれることはなかったと思います。
この時期、長州寄りの考えを持ち、長州に踏み込もうとしたのですが、入れずに断念したようです。
この1点だけ見ても、どちらかというと思慮深い人物のように思えます。
なので平岡暗殺を疑われるようなことも、まったくなかったのではないかと思います。

▼禁門の変
吉之助はひたすら戦になることを恐れ、長州と刃を交えることを避けようとしていましたが、
実際はどうだったのでしょうか。
確かにこの時、薩摩藩の動きは実に鈍かったです。
吉之助は「この度の戦いは、長州と会津との私闘である」と言い、御所の守護に徹底したそうです。
実は吉之助は沖永良部から戻ってきて以来、世間で薩摩の評判が酷く悪いのを、
回復するために奔走していました。
京では長州贔屓の風潮が盛んだったのです。
だからまず吉之助は、自分がまだ流されていた頃に起きた、八月十八日の政変で手を組んだ会津と
距離を置くことから始めたんだそうです。
他にも経済的な理由が薩摩の評判を落としており、それに対する処置も行いましたが、
ドラマにはあまり関係ないので掘り下げないでおきましょう。
ドラマではさらっと語られていた池田屋事件が、禁門の変と大いに関係があるそうです。
というのも、池田屋事件では会津藩お抱えの新撰組が多くの長州藩士を殺したり捕縛したため、
長州藩内の過激派の暴走を抑えられなくなったのです。
京へ向けて長州が出兵したのも、当初武力で押さえつけるつもりはなく、いわゆる抑止力を
期待したらしいですが、来島ら過激派を抑えられなくなって交戦に及ぶことになってしまったとか。
ちなみにこの来島を長州力が演じてましたね。
久々に長州見たけど、じいさんになってたなーw
ドラマに出るなんて珍しい…というか初めてではないでしょうかね?
よく見えなかったけど、ラリアットしてませんでしたか?w
それはさておき、私にはどうにも吉之助が「民のため」に
長州との戦を回避しようとしたとは思えないんですよね。
京での人気が高い長州と戦いたくない、戦力を消耗したくないなどの、
薩摩藩中心の考え方だったのではないかと思います。
京を火の海にしたくないという思いも、薩摩の求心力を考えてのことだったのではないかと。




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