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【ロイト】 フェーレース誘拐事件 カズール.5 


フェーレース人身売買組織壊滅作戦 (鰐江)3
  http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=634351&aid=66189127

この話は、上記  ↑ の直後となります。

ノワール・結
  http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=802706&aid=66247512
フェーレース事件 ルイ
  http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=446840&aid=66223738

上記  ↑ とは、同時進行のハズです (*ノωノ)





「オマエはとにかく証拠を集めてこい」

鰐江捜査官は、にこやかな顔で言った。その手は爆発炎上し、黒煙を上げる孤児院を指している。
こんなところに飛び込んだら、死にそうですけど ?!

「骨はちゃんと拾ってやる。だから安心しろ」

そのセリフのいったいどこに、安心できる要素があるというのか…。
この指令をこなしたら給与アップするだろうか。せめて危険手当くらいは出るだろうか。
そんなことを頭の中でつらつら考えていると、

「愚図愚図するな !! さっさと動けっ」

鰐江捜査官の怒声が降ってきた。
それを聞いて、この人は本当にブレないなぁ…と、深くため息をつく。

「……鬼ですね、相変わらず」

そんな口答えのような感想が意外だったのか、鰐江捜査官は片眉を釣り上げる。
その顔を見て、ふっと口から笑いがこぼれたのを自覚して、
カズールは炎のなかに飛び込んだ。

  + + +

孤児院の中は、ミゴトな…と思えるほど炎に包まれていた。
炎が、燃えさかる別の炎の影を作り、床も壁も、天井ですら影が出来ている。

(ココ、入れそうだな…)

自分をその炎の影に忍び込ませ、そのまま影から影へと渡たり歩きつつ各部屋を物色する。
どの部屋も炎が猛威を振るい、家具もインテリアも無残な状態だった。

だが、1階奥の執務室だけは、高性能の防火壁が使われているのか炎の侵入を辛うじて防いでいる。
それも時間の問題だろうな、と思いつつ、影から出て、書類を漁った。

帳簿のようなもの、納品伝票や領収書などもあるにはあったが、どれもこれも少額だ。
子どもの不正売買に関わるようなものとは考えにくい。
そもそも紙で保管はしないだろう。執務室とはいえ、たいしたものがあるとは思えなかった。

(なのに、どうしてこの部屋だけ防火性能が高いんだ ?!)

この部屋に何かあるのだろうか…。
壁や床を探ると、床の一部に何かが引っ掛かっているような凹凸があった。
ほんの少しだけ、床が持ち上がっているのか ?!

カーペットを捲ると、床の一部が持ち上げられ、地下通路になっていた。
人が二人、肩を並べられる程度の狭い通路。
薄暗く、わずかな灯りだけがともって小さな影を作っていた。

どこまで伸びているのか、走っているような足音が反響している。
こちらに向かってくるのではなく、逆に遠ざかっているような、そんな音。

その地下通路に出来るだけ静かに下り、わずかな灯りが生み出す影に身を沈め、
そのまま影の中を走った。
灯りは一定間隔でともり、その影もまた、途切れることなく続いている。
この影の中なら走っても反響しない。足音もしない。近づくまで気づかれないだろう。

そんなことを考えながら、数分も走ったか。
前方に人ひとりの背と、地下通路にあるのよりも強い灯りが見えた。

「持ってきたか」

前方の強い灯りから声が響く。まだ少し遠いように思える。

「ああ、ヤバい書類は全て回収してきた」

応えた声は、かなり近かった。通路を走っていたヤツだろう。
足が止まり、声に安堵が含まれていた。男のようだ。

カズールは書類を持ったヤツに近づき、そっと影から出て背後を取る。
後ろから抱きしめるように片腕で腹を抑え、もう片方の手で口をふさぐと、
男は緊張して身を強張らせ、喉仏を上下させた。それから身体をガタガタと震わせる。

「静かにしてくれたら、苦しまないで済むよ ?!」

できる限り反響しないよう耳元で、穏やかに、なだめるように声をかけた。
ついでに胸も押し付け、男の首をわずかに後ろにそらさせる。
それで男の筋肉の緊張が少しだけ解けた。

その一瞬を見計らい、カズールは男の首を後ろにそらし骨を折る。
首の骨を折るのは、チカラが無くともコツさえつかめれば、それほど難しくなかった。

「早く上がって来い」

強い灯りの向こうから再び声が響く。
カズールは、絶命した男から書類を受け取り、そのままゆっくりと歩いていく。

こちらからは逆光で相手が見えない。どこまで近づけばバレるだろう ?!
そんなことを考えながら……。
出口だと思われる光の中から手を伸ばした男の手を思いきり自分に引き寄せた。
うわっと声を上げながら、男が落ちる。そのまま持っていたタガーで喉を引き裂いた。

段差がそれなりにあったようだ。落ちた時の音も決して小さくはない。
だが、それに反応する声は幸いにして無かった。潜んでいるような息づかいも感じられない。
カズールは男の持ち物を確認し、警戒しながら段差を超える。

そこは、さほど広いとは思われない部屋だった。
机がひとつ。椅子がいくつか。システムと思われる本体がひとつ。
カズールはそれを起動し、自分の胸元に声を掛けた。

「エンマ、解析を頼みます」
《 ……公安メンバーは本当に人使いが荒いですね… 》

思考機関エンマの合成ヴォイスが脳内に響く。
やや呆れたような色が含まれているのを無視して。机にある書類をかき集めた。

書類はノアールが用意した隠れ家に収集し、
データはエンマに管理しておいてもらえば、いつでも使えるだろう。

《 データ収集・解析ともに完了 》

エンマの合成ヴォイスが再び脳内に響いたのを機に、カズールは外に出ようと再び部屋を見渡す。
その部屋には、窓がふたつだけ。ドアというものが存在しなかった。

「エンマ、ついでにこの場所の座標軸を地図に落とし込んでおいて下さい」

場所の位置確認を頼み、カズールは窓を開け、外へ出てノワールの隠れ家に走った。



ARCHMASTER Presents 壮大な電車ごっこ 〜2018年6月まで

  + + +

ロイトで遊ぼう♪ 企画 外部サイト
https://jackthenikotto.wixsite.com/royal-train

  + + +



ビエラーとカニャールのつながりの証拠、手に入れました (●ゝω・)ノ
地下通路の向こう側は、森に近い居住区にあると思って下さいw

6/29 にアップしたかったんですが…間に合わんかった !! すんません~~~。
.

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2018/09/29 19:40
ロイトサイトまとめに苦しみ中!
うぉおおお ここはどこなんだ
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2018/07/04 14:55
乳マッサージはいらん !(o ̄^ ̄)o

なぜここで大江戸捜査網 ?!

カズールがカッコ良い唯一のシーンだ~ (*ノωノ) どんだけ不遇なんだ、コイツw

特別ボーナス、無いだろうなw ウチのロイトはニコ随一のブラックだ ヾ(≧▽≦)ノ゙

影に入っている途中で火が消えたら?
影からはじき出されるか、影に飲み込まれるか、どっちか、かな?
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2018/07/03 00:01
火事の中の影に入るって
すごい高等技だよねー(゚▽゚;)
入ってる最中の影がパッと消えちゃったらカズールはどーなるんだろー(´ω`*)。o○

そしてカズールは殺しも静かにやるのねー(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


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2018/07/01 21:25
お、カズールが内心のぼやきを口に出すとは珍しい。
皆、ミッションを経て少しずつ距離感が変わりつつあるのでしょうか。

流石、スニーキングミッションの鮮やかさにかけてはカズールは随一ですね。
これはボーナス弾んで貰わないと。
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2018/06/30 16:16
カズールさんには鰐江さんはドSキャラになるのですね~( ̄∇ ̄*)ゞ
お給料も危険手当てもたぶん決裁されるのは総帥なので報告は行ってるはずなので特別賞与も出るかもですね~v(・∀・*)出たら豪遊しましょう♪ヽ(´▽`)/
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2018/06/30 13:27
死して屍拾うものなし!

炎の影にも入れるんだ!
思考機械ですら愚痴るおにちくw
ノワールの隠れ家で乳マッサージしてあげる❤︎
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2018/06/30 10:42
鬼じゃないよ?
シゴくのは愛だ!
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2018/06/30 09:23
お疲れ様ですー
しかし鬼だな・・・。
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2018/06/30 08:44
(ΦωΦ)フフフ…カズールかっこいい!そして、ワニワニのおにちく!!
休暇なはずだったのにいっぱい働かされちゃったね〜
おつですにゃ〜。
あとはノワールといちゃいちゃしとく??w
(こっしょり。ノアールになってるよーw)
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2018/06/30 07:14
 ワニさん、やさしいのかも。較べるに、、一切関知しないミッション・インポッシブル・フォースや、死して屍拾うもの無しの大江戸の奉行所とかより、ブラック度は低い。そりゃ~安心ですよ!www
 お話の目の付けどころ、なぜ防火性能。ここんとこ上手いなぁー!今はこういう主人公の視点に引き込まれます!(もし十津川警部だったら、200ページ進んだって絶対気付かないwww) 押収証拠もきっちり!
 



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