Nicotto Town


シグキーリア


friend-名も無き物語-第25章 その②


   friend-名も無き物語-第25章 その②

  「僕達は慌てて逃げた。勿論弟もつれて・・・。」
 と親方のウォーラルは
 僕達に向かってそう言うと続けて、
 「だけど・・・・・・炎の勢いに負けて・・・・・・その手を
 離してしまった・・・・・・。」
 【回想シーン】
 森の住ポケ
 「おいっ!無茶だ!よせ、ウォーラル!!」 
 ウォーラル(幼)
 「け、けどっ!!弟が・・・弟が・・・・・・!!」
 森の住ポケ
 「すぐに消火隊が来る!!それまでは俺達が何とか
 奴のところまで行けるよう踏ん張るから!!
 お前は早く安全な場所へ!!」
 ウォーラル(幼)
 「嫌だっ!!弟は・・・私が助けるんだっ!!」
 森の住ポケ
 「無茶いうな!!お前はまだこんな業火の中
 突っ込めるような身体じゃないだろ!!
 死にに行くようなものだぞ!!」
 「僕は何もできなかった。」
 と親方のウォーラルは
 僕達に向かってそう言うと続けて、
 「僕達の住処を奪っていく炎に対して・・・・・・何も・・・・・・。」
 と親方のウォーラルは僕達に向かって
 そう言うと更に続けて、
 「そして・・・・・・そのあと消防隊によって鎮火した。
 僕はすぐに弟を探しに行った。
 はぐれたあの場所には・・・・・・全身火傷を負った
 弟の姿があった。」
 【回想シーン】
 ウォーラル(幼)
 「!い、いたっ・・・!!」
 ウォーラル弟
 「・・・・・・お・・・・・・ねぇ・・・・・・ちゃん・・・・・・?」
 ウォーラル(幼)
 「よかった・・・・・・!火傷は酷いけど焼け死んでは
 なかった・・・!!
 今すぐ治療を・・・・・・!」
 ウォーラル弟
 「・・・・・・おねぇ・・・・・・ちゃん・・・・・・

 ・・・だっこ・・・・・・して・・・・・・。」
 ウォーラル(幼)
 「うんうん!する!!いくらでもしてあげる!!
 ごめんねっ!!あの時手を離してしまって・・・・・・!!」
 ウォーラル弟
 「・・・・・・おねぇ・・・ちゃん・・・・・・


 ・・・あった・・・・・・かぃ・・・・・・。」
 森の住ポケ
 「あ、いたぞ!おーいウォーラル!!
 見つかったか!?」
 ウォーラル(幼)
 「ええ!ここにいるわ!!
 早く!酷いやけどなの!!」
 森の住ポケ
 「わかった!すぐに治療する!
 早く診せてみろ!!」
 森の住ポケ
 「・・・・・・ッ!?」
 ウォーラル(幼)
 「・・・・・・?どうしたの・・・・・・?」
 森の住ポケ
 「・・・・・・こいつ・・・・・・
 もう・・・息をしてないぞ・・・・・・。」
 ウォーラル(幼)
 「・・・・・・!?
 う、嘘・・・・・・嘘よ・・・!
 だっていま、私を呼んで・・・・・・だっこしてって・・・・・・
 確かに目も口も動かしてしゃべっていたもんっ!!」
 森の住ポケ
 「・・・・・・そうか・・・・・・。あいつ・・・・・・最期の力を
 ふり絞って・・・・・・お前の胸元を死に場所に選んだのか・・・・・・。」
 ウォーラル(幼)
 「そ、そんな・・・・・・嘘よ・・・!!
 さっきまで・・・・・・ちゃんと反応していたのに・・・・・・!!」
 森の住ポケ
 「・・・だが、もう心臓の音は聞こえん・・・・・・。
 体も冷え始めて・・・・・・」
 ウォーラル(幼)
 「やめて・・・・・・やめて・・・・・・ッ!!
 イヤ・・・・・・嫌だ・・・・・・嫌だよ・・・・・・ッ!!
 うっ・・・・・・ウッ・・・・・・
 あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・。」
 「弟は・・・・・・僕の腕の中で息を引き取ったんだ。
 その事実を受け入れられずに、僕はずっと
 燃え尽きた森の中で泣き腫らしていた・・・・・・。」
 と親方のウォーラルは
 僕達に向かってそう言うと続けて、
 「そして・・・弟の遺体はここに埋葬された。
 ここはとても綺麗な海の景色が見えるから・・・
 せめてここで安らかにと思って・・・ね。」
 と親方のウォーラルは僕達に向かって
 そう言うと更に続けて、
 「僕があそこにギルドを建てた理由の1つは
 ここに弟が眠っているからでもある。
 ここはギルドから比較的近いからね。
 こうやってたまに顔を見せたり、花を届けたり
 するけど・・・・・・今でも心が痛むよ。あの時の僕は
 無力だった。
 肉親が不明だった僕達姉弟・・・・・・僕は唯一の
 家族すら守れなかったんだ。
 けど、いつまでも引きずっていては、弟も安心
 して眠っていられないだろうから・・・・・・なるべくは
 明るくふるまっているんだ。
 思い出す度に心が苦しくなるし、この苦しみ
 から逃れるために過去を忘れたくもあるけど・・・、
 こうやって比較的近くにギルドを造ったり、
 墓参りに来ているあたり、やっぱり僕にとって
 弟は切り離せない存在なんだろうね。
 ・・・・・・すまないね。こんな話に付き合わせて
 しまって。」
 と親方のウォーラルは僕達に向かって
 微笑みながらそう言ってきた。
 「いや・・・・・・こちらこそすみません。まさか
 亡くなっているとは思わなかったもので・・・・・・。」
 とカゲロウは親方のウォーラルに向かって
 すまなさそうにそう謝った。
 「私達・・・・・・どうしてこうも他ポケの辛い過去を
 ほじくり返しちゃうようなことをしちゃうん
 だろう・・・・・・。」
 とミスティアは親方のウォーラルに向かって
 溜息をつきながらそう言った。
 「・・・いや、それは違うよミスティア。」
 と親方のウォーラルは溜息をつきながらそう言った
 ミスティアに向かって微笑みながらそう言った。
 「えっ・・・・・・?」
 とミスティアは親方のウォーラルに向かって
 驚いた様子でそう言った。
 「みんな誰でも、生きていれば辛い過去の1つや
 2つ、持っているものなんだ。」
 と親方のウォーラルは驚いた様子のミスティアに向かって
 微笑みながらそう言うと続けて、
 「ただその形はみんなそれぞれ違う。僕や
 ワラビちゃんのように、家族の死だったり、
 仲の良かった友達と喧嘩しちゃったり・・・・・・。」
 と親方のウォーラルは驚いた様子のミスティアに向かって
 微笑みながらそう言った。
 「うっ・・・・・・。」
 とカゲロウは親方のウォーラルにそう言われて
 小さく呻いたのだった・・・。

                  その③に続く




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