【ロイト小説】 カズール・コム 4 乱戦
- カテゴリ:自作小説
- 2018/04/13 21:48:30
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04 乱戦
デズモンド・カラート侯爵は、惑星アビロの貴族に生まれ、13歳で爵位を継いだ。
長姉は歳が離れており、幼い頃に嫁いでいるため、交流はほとんどない。
その代わり4歳年上の次姉が、カラート侯爵にとっては、姉であると同時に母代わりでもあり。
また庇護者であったとも、導師のような存在でもあったとも言われている。
その姉に、親族から縁談が持ち込まれたのは、カラート侯爵15歳の時だった。
相手は惑星コフラーの貴族で、姉もその縁談を喜んだが、諍いの結果、姉の婚約者であった男性が死亡。
手にかけたのはカラート侯爵であったが、公に正当防衛が認められ罪には問われていない。
だが姉はその直後に出奔し、消息は現在も杳として知れなかった。
……私はトレインの一角にある資料室でカラート侯爵のデータを引き出していた。
だが解ったことはオープン情報だけ。これ以上は、情報があったとしても私には見られない奥の奥だろう。
ため息をついて情報収集を諦め、私は指定された集合場所に急いだ。
すでに鰐江捜査官、ルイ捜査官、機関士サクラ、テロ対策官イリヤの4人が集まっていた。
「遅くなりました」
「早く始めろ」
「はい…」
言って私は、1つのコンパートメント室をまるごと影で包み始めた。
+ + +
「いったい何が…」
自分のコンパートメント室が一瞬で薄闇に包まれ、カラート侯爵の戸惑う声がする。
だが、それも一言だけ。すぐに側近と護衛の美女たちが、カラート侯爵を背にかばい前に出た。
何が起こっているのかは解らなくとも、危険であることは察知したようだ。
すぐさま武器を手に、冷たい目でこちらを捉える。
その動きに、鰐江捜査官の口の端が上がり、手にした日本刀を静かに鞘から抜き放つ。
…と同時にやや前傾で走り、いちばん近くにいた護衛の胴を撫で斬った。
それが合図であるかのように乱戦となり、凄まじい殺気が敵側から放たれている。
敵に比べ、我がロイト公安黒服組の気配は、ミゴトなまでにバラバラだ。
少数メンバーで動く時、司令塔となるのは多くの場合、イリヤだった。
本来なら鰐江捜査官、もしくはルイ捜査官が行うべきことだが、このふたりはダメだ。
信頼のおける少数構成のせいか、こういった乱戦時は特に敵をブチのめすことに夢中になる。
したがって戦況を俯瞰し、イリヤが適材を適所に配す役目を担う、それがこの少数構成のが常だった。
鰐江捜査官は愛刀を喜々として振るい、カラート侯爵の護衛を一人、また一人と排除する。
敵の一人が、乱戦から離れ、カラート侯爵の護衛に向かうのを見て、
イリヤは、敵の前方に先回りさせるかのように、鰐江捜査官をテレポートさせた。
戸惑うことなく鰐江捜査官は、身を屈め、手にしていた日本刀を容赦なく斬り上げる。
血しぶきが上方に吹き上がったが、
鰐江捜査官は、返り血ひとつ浴びることなく、その身を翻した。
イリヤは、テレポート能力を持っている。
遠く惑星で何かが起こった時、たいがいの場合、真っ先に駆け付けるのがイリヤだ。
だがそれだけではなく、限定された範囲内ならば、他者をテレポートさせることもできる。
テレパシー能力も持っているので、さっきのような時はたぶん、何か一言、
合図のような言葉を鰐江捜査官に伝えているのだろう。
鰐江捜査官はもう新たな獲物に目を向けている。
いずれにしても大した連携の良さだ。呆れながら私は見惚れた。
鰐江捜査官は日本刀を使う接近戦タイプ。
それに対して、ルイ捜査官は銃を使った中距離戦を得意とする。
愛用する銃が、さほど射程の長い銃ではないため、ある程度まで近づく必要はあるが、
怖れ知らずのルイ捜査官には、射程なんて長かろうが短かろうが、あまり関係ないのかもしれない。
ルイ捜査官の戦う姿は、氷の彫像か、と思う時がある。
普段はそれほど口数が少ない訳でもないし、他を寄せ付けない訳でもない。
だが戦い始めると、その顔から一切の感情が抜け落ちたかのように、無表情になる。
動きに無駄がなく、敵を狙う背はすらりと伸び、とてつもなく美しかった。
姿同様、戦い方も極めて冷静で、正確無比だ。
振り向くと同時に敵に命中している、といった光景は誰もが一度は目にしていた。
身体のどこかに敵をロックオンする機能が付いているのではないか。
彼女の銃だけは、撃鉄操作が実は捜査官の意思と連動しているのではないか。
ルイ捜査官に関しては、そんな噂が後を絶たない。
このメンバーで仕事をする時、中~遠距離攻撃を担当するのが、機関士サクラだ。
その破壊力は脅威的。初めて見た時は、魂が抜けるかと思うほどの衝撃を受けたものだ。
それは、ある惑星で海賊が女性を人質にとった時のことだった。
サクラは足元の石コロを拾ってその石に、よろしくね ^^ と可愛く声を掛けたかと思うと、
目にも止まらないスピードで投げ、気づくと海賊の頭が消えていた。
いったい何事が起ったかとコチラもうろたえたが、もっとタイヘンだったのは人質の女性だ。
隣にいた海賊の頭が一瞬で消えていたら、そりゃあオカシクもなる。
あの時のサクラは鰐江捜査官にギリギリ×ギリギリと絞られ、可哀想なほどしおれていた。
機関士サクラは、重力を操る。
石を使う攻撃などは、投げる時、当てる瞬間、それぞれに重力を一瞬で微調整するのだという。
ある程度の範囲にいる敵を狙う時は、敵の周囲の重力を操る。
一度、3人同時にペシャンコにしたのを見たことがあった。しかも本人、明後日の方向を向いて。
あれにも開いた口がふさがらなかった。
そのサクラ、戦う姿は見た目同様に愛らしく、えいっ、とか、ガンバレっ、とか重力に声を掛けている。
ただ、その掛け声の結果は、可愛らしいとはお世辞にも言えない光景が広がっていた。
⦅ カズール、右!! ⦆
突然イリヤの声が頭の中に響いたかと思うと、一瞬、眩暈がしたように視界が揺らぐ。
気付くと、私がぼんやり立っていた位置に、大鎌が振り下ろされていた。イリヤに助けられたらしい。
そんなことを思いながら、持っていた片刃剣で護衛の首を撫で斬る。
派手に血しぶきが上がって、私は大きく息を吐いた。
「そんなに退屈なら、稽古をつけてやるが…。どうする ?!」
敵を全て片付け、機嫌の良さそうな鰐江捜査官が優しげな笑みを浮かべ、私に向かって歩いてきていた。
ARCHMASTER Presents 壮大な電車ごっこ 〜2018年6月まで
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期間限定サークル 鉄道公安局
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ロイトで遊ぼう♪ 企画 外部サイト
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思ったよりも長くなり、予定したところまで書けませんでした~~~ (っω`-。)
> 本来なら鰐江捜査官、もしくはルイ捜査官が行うべきことだが、このふたりはダメだ。
> 信頼のおける少数構成のせいか、こういった乱戦時は特に敵をブチのめすことに夢中になる。
> したがって戦況を俯瞰し、イリヤが適材を適所に配す役目を担う、それがこの少数構成のが常だった。
凄ーい! イリヤカッコいい!
東雲編のイリヤしか知らないもので^^;
(すみません、イリヤそのものの話はまだ読んでないのです^^;
→ 一度は読んだかもしれないけど、寝ぼけてて頭に入ってないかも^^;)
他の者も転送させる事が出来るのですね(メモメモ)
時間のある時にカラート侯爵でアバター投稿してくれるかな
それぞれの戦闘スタイルの描き訳が…凄いなぁ。
こういう風に書けたら良いのになぁ。
鰐江さんの「稽古」発言とか…
戦闘の興奮が尾を引いているのか、
或いは戦い足りない故の発言なのか、
どちらにせよ、
全力で謹んでお断り申し上げなければならない予感がひしひしとしますw
他のメンバーの見事な戦い方に見とれていたら自分が危ないとこだったのね。
みんなカッコ良いですね^^
近接戦闘の描写が、生き生きしてますね~。(驚)
と、みなさまの設定を駆け巡ったんですが。
そんな私に都合のいい設定が見当たらなかったのでwww
仕方なく自分でやりました ヾ(--;)ォィ
時間制限がある、ってことにしようかなぁ ( ̄~ ̄lll)
ありがとう。
ww
ギリギリ×ギリギリ
めっちゃ、絞られたのねw
みんなの戦闘のスタイルがかっこいいね。
そうそう、イリアの冷静な判断がいいよね。
カズールの影を操る能力て、1台のコンパートメントを丸ごともOKなんだ。@@
すごい!
鰐江捜査官が、こき使う訳だねww
とか可愛すぎる~+゚。*ゥフフフ(*´∀`人)*。゚+
鰐江捜査官にギリギリ×ギリギリされてたのね(;´∀`)
…… カズールの心境は、まさにコレだろうな…。
エメラルドさん、どんな想像をしているんだろう ( ̄~ ̄lll)
カッコいい役やらせてもらってヨロコヒ゛ーム!(●´∀`)ノ+゜*。゜喜+゜。*゜+
またじっくり読みに来る~ヾ(*´∀`*)ノ゛キャッキャッ♪
そして お稽古ごと! ハラハラ いけないわっ(*ノノ)
↑ 中途半端なところまでしか公開できなかったから怯えている ドキドキ