Nicotto Town


✪マークは作り話でし


庭先

庭先の椿の枝に小さな餌皿をつるした。
都会にも野鳥はやって来る、
特に冬場となると食料が少ないからかも知れない。
残り物のハチミツとナッツとバターを固めたキャラメル、
ついつい自分で食べてしまい少なくなってしまった。
野鳥にはチョットした思い出がある。
幼い頃に祖父の裏庭に大きな樫の木があった。
夏も終わりの夕暮れ時の突然の雷、
そこに巣をつくっていたムクドリの子供が驚いて落ちてきたのだ。
幼い私は何も知らずに手に取って巣に戻してあげたが、
少し経つとまた下に落ちている。
ピイピイと鳴くその鳥がかわいそうで祖父に相談すると、
いちど巣から離れ人の手に触れた小鳥は、
その匂いから子供とはみなさなくなってしまうと言う。
だから戻してやっても巣から追い出されてしまうのだと、
みんながみんなそうではないのかもしれないけれど。
そしてある程度育ったひな鳥は、
人工の餌は食べないのだと言う。
試しに私は色々と与えてみたものの、
やはり口にすることはなかった。
鳥には人のおよびがたい誇りがあるのだろう、
どんどんと弱っていくのは目に見えて明らかだった。
私は掌で看取ってやりたいと思うのはこちらの勝手だ。
だがそのひな鳥は「大丈夫 ちゃんと独りで逝けます」、
そんな声が聞こえたような気がした。
足はすでに立たないのに頭だけ持ち上げて、
しゃんとしているように見えた。
「最後は止まり木へ戻してください」と眼で訴えてるように思えた。
瞼を閉じることなく逝ってしまったその眼を瞑らせる、
切なさで視界がにじんで手元がよく見えなかったのを覚えている。
子供だった私は泣いた、
悲しみで涙が枯れるということをこの時に知った。
涙が枯れてもしばらく私は声を殺して泣きながら、
死んだひな鳥を綿でくるんで土に返してあげた。
祖父が綿玉をひとつこしらえて小枝に刺してくれた、
魂の器になるようにと、
そして、
いつしかどこかへ消えていけるようにと。
昔はお正月飾りにも紅白の玉を連ねた餅花は、
本物の繭やもち米で作られていたとこもあったそうだ。
そんな飾りも見ることもなくなったのに、
ふっと思い出したら記憶が蘇った今日でした。









アバター
2018/02/06 18:48
情景がぐっと伝わってきて、なんとも切ない涙がにじんできた‥です。
おじいちゃん、小さいブラしゃんにも、自然の厳しい摂理をちゃんと教えてくれたのね。
そこに初めて触れた孫の涙ごと引き受けて。。そしてこしらえてくれた綿玉。
繭玉や綿玉という風習、わたしはよく知らないのだけれど、“魂の器” という見送り方は、
人の持つ優しさから生まれた形なのね。
アバター
2018/02/06 10:47
鳥の世界にも厳しいものがあるようですね。
子供心に悲しい思いをされたけどひな鳥を葬ってあげた
優しいブラさんの原点はここにあるのだと思いますね。
綿玉を小枝にさして下さったおじいさまも素敵です。
アバター
2018/02/06 09:29
悲しかったね。。。(T_T)
わたしも昔、同じようなことがあったよ。
綿で包んでお花と一緒に埋めたっけ...(´;ω;`)
おじいちゃまが刺してくれた綿玉の話、興味深いです。知らなかった。。。
アバター
2018/02/06 08:30
昔のほうがしゃんとしてたんだね
アバター
2018/02/06 04:27
こういう場面を想像するだけで、もうだめです
心が痛くなります

自然は厳しいですね~
人間も見習わなくてはいけないのでしょうね~~('_')
アバター
2018/02/05 22:13
♪夏が過ぎ 風あざみ 誰のあこがれに さまよう・・・♪



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