新怪アウトプッター(21)
- カテゴリ:自作小説
- 2018/01/30 12:54:26
月末の1日前に由梨花は引っ越しした。母と父が軽トラックで駆けつけ、手伝ってくれた。実家は農家だから、軽トラックは常備品である。移動する新築マンションは車で10分ほどの距離だから、何回か往復すると午前中に終わってしまった。結婚しているわけではないから、荷物といっても大袈裟なものではない。
「次に引っ越しする時は、御婿さんと一緒がいいわね。」
母が早く結婚相手を決めろと催促した。一人娘だから、早く農業の後継ぎを決めて欲しいという願いが父にもあるからだ。
「今時、田舎で農業したい人を探すのは大変よ。」
由梨花は余計な干渉をしないでと、押し返すと父親が言い返した。
「そうでもないよ。近頃はネットで繋がっているから、自宅にいても仕事ができるというではないか。それにさ。農業もパソコン時代だからな。昔みたいに勘でやるんものではなくなってきている。おとっちゃんの頭では無理だが、若い人の頭を借りなければならない時代になってきている。」
要するに父母の願いはネットに対応できる婿さんを早く探して、結婚してくれというのが一致した意見であった。
久しぶりに家族が揃ったので、都心で中華料理でも食べようとなった。軽トラを駐車場に置いて、三人は電車で繁華街へ出た。由梨花にしても、久しぶりの一家団欒になったので嬉しかった。改札を過ぎ、交差点で信号待ちをしていると、道路の向こう側を歩いている男女に由梨花の視線が釘付けになった。あれは先日、出会った湯之原であり、腕を握り合って歩いているのは経理課にいる入江美佐子ではないか。由梨花は目を疑ったが、目の前の情景は事実であった。背も高く、切れ者だと好感を抱いていた湯之原が後輩の入江美佐子に奪われたではないか。由梨花にはショックであった。盗聴器事件に続いての衝撃に由梨花は憂鬱になった。恐らく、この二人の情景が残像として胸に刻まれたのかもしれない。半年後、由梨花はS商事を辞めて、AIのソフト開発会社へ転職したのであった。
<このストーリーは二転三転して続けられる可能性がありますが、余韻を残して、今回で終わりにいたします。次回の作品も準備中です。乞うご期待。>
下のコメントの続きです
これに対して不満を解決するために、私の描いた妄想
犯人は由梨花の部屋に、スマフォの遠隔操作が出来る盗聴器を仕掛けた。
同時に何らかの方法で、由梨花のスマフォへ盗聴器から遠隔操作を受けるためのアプリを入れた。
こうして下準備が整うと、更に由梨花のスマフォへハッキングするためのアプリを仕込む。
会社では由梨花のスマフォで遠隔操作できるよう何らかの方法で会社のPCへアプリを入れさせる。
Bluetooth対応PCと、由梨花のスマフォのカップリング(連携)をさせる。
会社のネットワーク経由ではなく、由梨花のスマフォからの侵入なのでセキュリティーは、ほぼ無意味。
こうしてハッキングされて事件が発生したのであるが、何をしたかったのであろう?
過去にヘッドハンティングされて行ったお方の仕業かな。相当会社に不満があったとか。
小説に対する不本意な解釈と感想が、場合によって含んでいるものと思います。
私にたびたび感想を下さる、ごま塩ニシンさんに対し精一杯真剣にお返しがしたいだけなんです。
長文いて失礼いたしました。これからも良い小説の執筆を期待しております。
ありがとうございました。
完結したようなので、内容を分析しながら読み返しました。
小説の執筆にあたり、お役に立てればと
感想と疑問・提案などをコメントさせて下さい。
残念ながらアメショさんの言う通りですね
余韻じゃなくて不満が残る、それは
F1.スマフォの異常現象はなぜ起こった?
17.由梨花の部屋に盗聴器が、遠隔操作可能?な高度な機器。である程度解説されているが
スマフォにない音源が鳴ったってどういう事?
遠隔操作で勝手にスマフォへ音楽を送信して外部スピーカーに切り替えて流したって事かな
これを意図的にやる意味があるのだろうか?むしろ遠隔操作の誤爆で不本意に音が出ちゃった?
勝手にスマフォを操作してスマフォを盗聴器代わりにする事件は実際にあった気がするが。
スマフォって常時電源が入っていますからね。切れてるように見えるのは省エネ待機してるだけ。
F2.盗聴器を仕掛けた目的は?
小説の中では前の居住者によるもので、ランダムな新居住者への愉快犯的なものとほのめかしている
由梨花が不動産屋へ突撃したのは、前の居住者の特定と犯罪としての警察へ届け出かと思った。
しかし、只単に引っ越ししたかっただけの様で。期待外れであった。
F3.新怪アウトプッターとは何?
おそらく、新怪とはIT時代に生まれた不可解な社会現象を指していると思われる
アウトプッターとは、怪文書をプリントアウトした犯人を指すと思われる。
新怪アウトプッターとは、この小説ではM社第八回取締役会議事録の印字した犯人
それは、S商社の経年劣化したサーバーであったという事であろうか。
はっきりこの事は宣言していないですよね。あくまで湯之原の仮説。
盗聴の被害者も、ネットトラブルも、解決してない。
結局、やったもん勝ちだ。