Nicotto Town


今年は感想を書く訓練なのだ


夢と可能性について考える

夢についてある辞典を調べたら、このように解説されていた。
1 睡眠中に、感じる一連の観念や心像。
2 将来実現させたいと思っている事柄。
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。
以後夢について特定の意味を表わしたい時は、夢(1)と言う風にする。
決めかねたり、あいまいにして置きたい時は、夢とだけ記す。

ある二人の若者が、公園のベンチで空高く引かれる雲を眺めていた。

「おまえ、夢を見たことがあるか?」

「なんだよ、藪から棒に」

「恐竜に追いかけられる夢は、たまに見るな」

「おまえネズミにでもなったんかよ」

「そうじゃ無くて将来どうしたいとか、夢があるだろ」

「ああ!それか、研究所で宇宙の謎を解き明かす」

「まあ、希望のとこ受かんなくて夢となったが」

「そうか、でも夢で終わりにして良いのか?」


数年後に再び二人は、空を眺めていた。

「あの時の安室ちゃんの歌覚えてるか?」

「ああ、見るもんじゃない、語るもんじゃない」

「叶えるものだから、Chase the Chance」

「それで研究の話はどうなった?」

「挿げ替えたよ、今は研究書の流通販売の仕事をしている」

「将来は輸入や反訳など、自分の会社を持ちたい」

「そうかそれはすごいな、それで夢の目処はたったのか?」

「ああ、なんとかな、そういうお前はどうなんだよ」

「俺の夢は、どうやら夢じゃないらしい」

「まだ夢の中なんだ、分不相応ってことか」

「なんだよ、夢のないことを言うなよ」

話をさかのぼり、ここは小学校の授業参観の日
教室では、親御さんたちが見守る中、先生はお決まりの質問を投げかけた。

「皆さんの将来の夢を聞かせてください」

「では、発表したい人?」

「はい、宇宙飛行士になりたいです」

「私はピアニストになって演奏したいです」

事前に同様の「お題」でもって書かれた作文が張り出されていた。
それらを見ると、どれも夢があり微笑ましく読まされた。
中には、現実的でしっかりとしており、感心させられた。

ところが大人になると、いつまで夢を見ているんだ。
現実を見て、しっかり目標を立てて生きろ。こうなる。

「夢って何なんだよ、夢は夢(2)であって目標じゃないだろ」

「叶えられないなら、夢(2)じゃないなんて言うなよ」

まだ俺は夢(3)の中さ、目処は立たない。
「諦めなければ、何とかなるよ」
その囁きを胸に、小足に歩む馬鹿な男と秋の夕暮れ。




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