『曲輪にさく桜』というタイトルで
- カテゴリ:自作小説
- 2017/09/25 00:07:08
『曲輪にさく桜』というタイトル
そこで詠んだ犬和歌(犬も食わないというあれ)
戦国時代のお侍さんを偲び、春から秋にかけての物語ふうに詠まれています。
※曲輪とは、土の城の一角で柵や土塁に囲まれています。かなり粗末です。
風光る けふのくるわに さくはなよ あらよの武士は なむと思はむ
はなのみは あすのくるわに ちりぬれど またもむすばめ 三輪の里山
このみより まさりておしく あるものは みをまつ家の かまどの煙
春風に ふかれ家路に まふ桜 ともにかへらむ かのひとなれば
さみだれに うたれて鳴くか ほととぎす かへれぬみとは 思はざりしを
あまのかは あの待ちひとが きみならば せをかへりみず 今そ渡らむ
中秋の 月をあなたと みるよるは 池の水面を すくひて愛でる
かれはまひ 西の彼方へ たつとりに かまどに煙る 秋の夕暮れ
こうして一つの物語は終わりました。
さてここでクイズです、この物語の荒筋やいかに?
ヒント、登場人物はお侍さんとその妻です。
そして物語の出だしはこうです。
出だし
春の明るい日差しの中、さわやかな風を受け、桜の花が咲いている。
古城跡公園を歩く私は、ふと語りかけた。
「おお桜よ、侍は戦の中で、貴方をどの様に愛でたのか、教えておくれ」
つづく
もし私のブログを見つけて、つづきから荒筋をコメントしてくれるお方があるとすれば、感謝です。
秋の夜長に、チョイとしたお遊びですが、お付き合いいただければ幸いです。
「ありがとう」言葉しか送れませぬが。 藤原吉春
Ps、かなり無茶ぶりだよなこれ、しかしこう言うやんちゃも人生のひと時、便りを待つとしよう。
無茶ぶりにコメントありがとう
本当に無茶な遊びだたようです
せめて、私の歌に込めた荒筋を語ってお礼といたしましょう。
①風光る けふのくるわに さくはなよ あらよの武士は なむと思はむ
春の明るい日差しの中、さわやかな風を受け、桜の花が咲いている。
古城跡公園を歩く私は、ふと語りかけた。
「おお桜よ、侍は戦の中で、貴方をどの様に愛でたのか、教えておくれ」
②はなのみは あすのくるわに ちりぬれど またもむすばめ 三輪の里山
箕輪城(三輪の里山)は今、敵に囲まれている。
桜の花よ、わが身は明日にでもこの曲輪で散ることになるであろう。
花のようにこの身が散ったとて、又来る春に花を咲かせてくれるなら本望である。
侍は、残された家の者たちが、長い冬(乱世)を超えることを願った。
③このみより まさりておしく あるものは みをまつ家の かまどの煙
私の命より、はるかに大切なものは、
私の家族が暮らすかまどの火が絶えずに上ることである。
④春風に ふかれ家路に まふ桜 ともにかへらむ かのひとなれば
とうとう桜(侍)は散ってしまった。
妻は家路を帰る道すがら、春風が桜の花びらを巻き上げている。
足元に絡んでくるけど、これがあの人ならばどんなに嬉しい事だろう。
⑥さみだれに うたれて鳴くか ほととぎす かへれぬみとは 思はざりしを
桜はすっかり散ってしまい、青葉が茂っている。
その枝に、雨に打たれながら不如帰が哀しそうに泣いている。
これは、もう戻れぬ身(夫)であるを憂えて泣いているのであろうか。
⑦あまのかは あの待ちひとが きみならば せをかへりみず 今そ渡らむ
天の川の向こうで待っているのがあの人(夫)ならば、
私(侍の妻)はたとえ深みにはまろうとも、迷わず渡って行くでしょう。
⑧中秋の 月をあなたと みるよるは 池の水面を すくひて愛でる
秋の名月が登っている、共に見た月を忘れることは出来ません。
この月を貴方と思い、手にすくい取って愛しんでおります。
⑨かれはまひ 西の彼方へ たつとりに かまどに煙る 秋の夕暮れ
渡り鳥(夫)が西の彼方(西方浄土)へ旅立っていきました。
貴方の守ったかまどの煙が、秋の夕暮れに立ち上っています。お別れですね……
夫婦の物語はこうして終わった。
一面の薄紅の中に映るのは、幾年月を超えてよみがえる桜の記憶。
桜を見上げる時、侍はいつも故郷のそれを重ねていた。
懐かしく、愛おしむ眼差しは、いつしか惜別の色を帯びていく。
もう帰れはしない、そう思えば思うほど、想いは募るばかり。
春も夏も、そして秋も、桜の傍らで侍は妻を思い続けた。
星に、月に、その姿を重ねながら。
そして秋の終わり、誰も居なくなった曲輪に佇む桜が見たのは、
夕暮れに向かい列をなす鳥と、細くたなびくかまどの煙。
*****
初めまして。
とても印象深い記事だったので、にわか仕込みですが一筆取らせていただきました。
あらすじには、長かったですね^^;
二首目以降は、桜が語ってくれた、お侍さんの物語です。
£ゆうなさんばーじょんは、しっかりと私の思いを汲んでおられます。
ありがとう
ありがとう
ありがとうおぉぉぉ
今宵は心に名月を仰いだ気分であります。
それとも、現代の「私」でしょうか。
公園と書かれているところをみると、現代かなと思い、綴らせていただきます。
勘違いでしたら申し訳ありません。
(「私」ver.)
戦により散ってゆく命の中、桜の花びらも後を追うように散っていったのだろう。
残された愛すべき人々は、その後どうなったのか。
三輪の里山がそんなにも穏やかなのは
残された子孫が累々と血を受け継いだからなのだろう。