三輪の山里(練習)
- カテゴリ:自作小説
- 2017/09/20 01:10:32
毛の国の毛とは、五穀豊穣の穀であり、二毛作とは、二種の穀物栽培を表す。
この国は後に「上毛国」と「下毛国」とに分かれた。
「上毛国」は、時代を下ると「上野国」と名を改め、大国とされた。
この国の中央部には、二つの山がそびえ、東を赤城、西を榛名と呼んだ。
榛名山麓には、古い時代に朝鮮半島から馬と馬具と、それぞれを生産する技術がもたらされていた。
武士の時代になると、これらの馬を操り武具を携えて、戦場に出る侍が誕生した。
いわゆる坂東武者である。
関東の戦国時代は、この地方を室町幕府から、独立して治める鎌倉公方と、
それを補佐するはずの、関東管領との間で起こった戦に始まる。
天文7年、戦乱を逃れるようにして、上野国へやって来た少年があった。
名を「文吾丸」と言った。
「あの山は何と呼ばれるのですか?」
海辺で育った幼子は、初めて見る山の景色に、目を丸めていた。
「はんな山、中央よりやや右手の尖った嶺は、黒髪山と言うのじゃ」
男は続けて語った。
「あの山の中腹に箕輪城はある、だがその前に、平井へ上がらねばならぬ」
烏川を船で遡上してきた一行は、合流地点を西の鏑の支流へと向けた。
さらに、川とつながる水堀に入り、船着き場を降りるとそこは木部城内であった。
「長旅お疲れであろう、ささこちらへ上がられよ」
一行をむかえたこの主は、関東管領上杉家の重臣、木部駿河守範次と言う。
離れに通された一行は、旅の疲れを流し、くつろいでいた。
「道中大変だったようじゃが、御子の無事を見てほっとしたわ」
「はは、で大膳亮殿、殿はいずこへ」
「平井にて、御子と左京亮を待ちかねておる」
こうして夜が明けると、長野家家老の下田大膳亮を先頭に、一行は鎌倉街道上道を平井へ向けて下って行った。
ちょいと文章が堅かったかもしれん。
練習だから気軽にこの子の行く末を語ってみよう。
つづく (多分つづかない、しかし300コイン欲しい)