海辺
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/05/29 13:59:55
この前海に行ったのはいつ頃だろう
サンダルを手に持って波打ち際を歩く
小さな足跡が波にさらわれて
どんどんと消えていく
あの足跡はどこに行くんだろう
そんなことを言ったらあなたは笑うけど
あなたが消えてしまったら
私はどうしたらいいんだろう
こうしてまた海にやって来て
消えていく足跡を見るのだろうか
小さな貝殻を拾った
透き通ったピンク色の貝殻
その辺を探したらもっとあって
あなたに見せたら
あなたは静かに微笑んだわね
時が止まってしまえばいい
こんなに思ったことは初めてかもしれない
あなたとこうしていたい
日が暮れかけて夕日が沈んでも
あなたと見つめていたい
あなたはどう思っていたのだろう
波にはしゃぐ私のことを
何を思ってみていたんだろう
貝殻を拾う私を
その微笑みからでは分からない
本当は知っていたの
一緒に海に来るのが最後だってことを
だからあなたの傍には居られなかった
いい思い出だけがあればよかった
今日は泣かないって決めてきた
悲しいときにはいつでも
あなたが傍にいてくれた
でももうこれからはそれもだめね
あなたはあなたで生きていくんだわ
それでいいの それでいいのよ
さようなら
いつもいつも優しかったあなた
心の中では忘れられないけど
いつか忘れていくんだわ
それでいい それでいいの